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※リーベ視点
―――アルフィア王国を目前にして行軍を阻むのは2人の男女。
10万の軍勢を前にたった二人で、止めようというのか。
―――いや、それは普通であればの話。だが、そこにいる男は普通ではない。
「ジークといったな、やつは。………フッ、やはり出てきたか」
隣のグラード公爵が不敵に笑う。以前の砦での戦いにおいては分身体であったためあっという間に殺されてしまったが今回はグラード公爵本体がきている。その身に纏う魔力は八星魔将でもトップクラス。本気となればあの時のようにはいかないだろう。
「おや?奴等、歩いてきましたね。まさか二人で我らが軍を止めるおつもりか?」
グラード公爵の後ろに控えている褐色の大男が呆れたように2人を眺める。彼は八星魔将の一人、ナイアス。グラード公爵に匹敵しうる力を持つダークエルフ………つまり私の同郷だ。
「お、リーベちゃんじゃん。久しぶりだね」
「リーベちゃん言うな。なれなれしいぞ」
「えー」
これから殺しあうというのになんとも緩い雰囲気だ。実力は確かだが本気でこの軍勢を相手にするつもりなのだろうか。というかその隣の女性は何者なのだろう。明らかに桁違いの魔力を保有しているし、何より聖霊の気配がする。
「あ、あの馬男。やっほー、元気?」
「フッ、前回と同じようにいくと思ったら大間違いだぞ?今回はワシも本気だ。それに、貴様を叩き潰せるだけの戦力を用意してやったのだ。怯え震えるがいい!」
高らかにそう言い切ると両腕を広げ、青い魔力が全身から迸らせる。
「うっわ香ばしいな。そして、なるほどねぇ。勝ちを確信しているからこそ出る傲りだな。
アスター、聞こえるな?確保しろ」
指輪に向けて話しかけた後、ジークは手を挙げると背後から黒剣が無数に出現させる。………本当に、出鱈目な魔力だ。詠唱せずに並みの魔族では束になっても防げない魔法を練り上げ、それすら自身の内包する魔力のほんの少ししか消費してないというのだ。
「魔王を名乗る不届き者よ。その愚かさを後悔させ、絶望の中で殺してやる!」
「はいよーおいでー」
軽い挨拶と共に黒剣が自陣に降り注ぐ。前回より強力な戦力を用意した為、前回ほど被害は出ないがそれでも痛手になる。
「死ねい!」
地を蹴り駆けるグラード公爵。相対するジークは黒剣を二本錬成し、二刀流にてその攻撃を捌く。八星魔将と異世界魔王の一騎討ちが始まった。
「ほう、公爵相手にあの余裕とは………。あの人間はなかなかにやるな」
「加勢するか?」
「まさか。公爵に恨まれたくはない」
爵位を持つ彼は魔族で名のある貴族であり超のつく名門。それと同じく高いプライドを持ち分身体とはいえ人間に敗北したのが許せないらしい。一騎討ちとなった際は邪魔するなと念を押されているため、我々は静観するのみ。
「暇でしたらお相手しましょうか?ジーク様より好きにしていいと許可を頂いております」
ジークの番?らしき女が腰から剣を抜くとナイアスが不敵な笑みを向ける。
「女といえど容赦はせんぞ?」
見目麗しい美女。ジークの傍にいたときに比べ冷たい印象を受ける。しかし―――
「いいから掛かってこい不細工。その筋肉は飾りか?」
超毒舌。開幕のあの丁寧さは何処にいったのか。
「殺す!」
火に樽いっぱいの油を流し込んだかの如く燃え上がるナイアス。こちらでは八星魔将VSメイドが始まり―――
「暇だ」
私は余った。




