2-14
※セラフィ視点
「はぁ………そういう事情なら仕方ないですね」
ガトーショコラと紅茶を楽しみつつごちるミレイナ。とりあえず事情を話すと納得してくれて助かったけど真っ先にジークを責めたのは何故だったのか。半分はあってたけど人柄だろうか。
「で、金は用意できたか?」
「はい、事前に用意してもらいましたから」
ここだけ聞くと女にたかるダメンズに見えなくもなくて笑いそうになるのは内緒。マイアさんが金属製のケースをジークの隣に置くとそれを手に取る。特に中身を確認することはなく、それをガーベラさんに手渡し、ガーベラさんはジークのよく使っている宝物庫を開き、投げ入れる。
「中身なら確認したから安心しろ。というわけで臨時収入も無事に入ったわけだし、お兄さんがここは持とう」
「え、そこまでしてもらうわけにはいきませんよ!今回は私達のせいですし、私が―――」
「いいんだよ。懐の広い男アピールがしたいんだ。調子に乗せとけ」
それ言ったら台無しなんじゃ………と思うけど確かにジークらしい、かもしれない。
「ふふ、なんですかそれ。言ったらダメじゃないですか」
ミラも私の思っていたことと同じことを指摘するが、その表情は明るい。この短時間でミラとまで打ち溶けるとはなんという。
「それもそうだな。
さて、込み入った話も出てくるだろうが来て早々っていうのは流石に避けてくれるよな?」
「………えぇ、構いませんよ。明日、改めて伺います」
いつの間にかガトーショコラを平らげたミレイナは真剣な表情をしている。………込み入った話、という発言からジークは何か勘付いているのだろうか。
「場所はここで、昼前でいいか?」
「はい、それでお願いします」
「あいよ。じゃあ帰るか。下ごしらえはさせているが、セラフィとカガリの装備の調整もあるしな。今回の晩飯もガーベラに任せるつもりだからリクエストがあるならいっとけよ」
今日はとりあえず目的を果たせたので工房でゆっくりしつつ、遂に私達の装備を貰えるのかと思うと少し高揚する。カガリの持っている繋ぎとしてジークに渡されている武器すら高性能なので期待は高まっていく。
「………???」
ここでミラが不思議そうな顔をする。何か変だろうか。
「夕食ではなくおやつのリクエストですがみたらし団子とか作れますか?」
「みたらしはジーク様も好むものです。お夜食として用意いたしましょう」
ガーベラさんの返事にカガリが目を輝かせる。どれだけ好きなんだろう。
それにしてもみたらし………みたらし?なんだろう。団子というのは分かるがどんなおやつなのだろうか。今夜は楽しみである。
「えっと………」
「ジーク様、アスターより連絡です。入浴の時間を確認したいとのこと」
少し考えてこちらを見る。入浴時間について委ねられているということか。
「20時頃でどうかしら。カガリは?」
「時間的にもそれくらいでいいと思う」
「承知いたしました」
気安いやり取りにクリスまで頭の上に???を量産している。そこで遂にミラがはっとする。何かに気づいたらしい。
「ジークの工房で………生活してるの?」
「うむ。俺の工房の風呂は美容にも良いと評判だ。昨日から二人の肌のハリが違う」
確かに昨日お風呂に入ってからすこぶる調子がいい。入れば入るほど美しくなるんじゃないかと錯覚しそうになるレベル。それに疲れも癒える、至福の一時だ。
「え………ずっるーい!!!私もいく!!!」
「「「………へ?」」」
「ええよ」
「「「ええんかい!?」」」
あっさり承諾。こうしてもう一名が追加となった。




