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※カガリ視点
ジークの登録が終わり、報酬の半分を先に受け取り解散となった。
ジークのランクは私とセラフィのランクと同じであるDで登録、今回の依頼の報酬は多大な物でありいきなり全額用意することは不可能ということで先に報酬の半分、ギルドの発行している紙幣で500万を受け取っている。
「私とセラフィは近くの宿を取るつもりだけど、ジークはどうする?」
「俺は工房作ったから暫くそこを拠点にしよっかなと思ってる。部屋は十分用意してるからお前らも泊められるぞ」
工房。魔法使いの多くは自分の工房を作成し、魔法を研究したり発明をする。それくらいは常識の範囲内。しかし―――
「「「………いつの間に???」」」
「昨日から。戦力分析する序でにゴーレム達を飛ばして作らせた。
この街からそこそこ離れたところにあるが転移魔法陣を貼らせたからすぐにいけるぞ。風呂もあるから存分に寛ぐといい」
ジークのやってることは常識の範囲外だ。最早どこから突っ込んで良いのやら。
半分呆れてながら、しかしお風呂に入れるとあって私、セラフィ、ミレイナさんの3人がジークに着いていく。護衛の女性はミレイナの指示で館に戻っているが去り際に凄く悔しそうな顔をしていた………と思うけど気のせいということにする。
その後数分、人気のない路地を歩きたどり着いた先には―――
「お待ちしておりました。ジーク様」
見目麗しいメイドが一礼。その動作の1つ1つが洗練されており、違う一面も匂わせる。
「ガーベラ。連れていくのはこの3人で左からカガリ、セラフィ、ミレイナだ。登録を頼む」
「承知いたしました」
それぞれ指さしで私達の名前を告げるとそれに合わせてガーベラと呼ばれたメイドが顔を数秒見つめる。顔立ちの整った美人ではあるが表情はまるで変わることがなく、何処か無機質な感じがする。
「登録完了。ご協力ありがとうございました。
お嬢様方、これよりジーク様の工房へご案内させていただきます。こちらの魔方陣の上にお進みくださいませ。」
登録とは、何か。ただジッと顔を見つめられただけだし何かをされた気配もない。セラフィ達も動揺に首を傾げる。
「顔と魔力の波長をメイド全員に登録したんだ。そうしないと未登録の人物は入室した瞬間に工房内のゴーレムに襲われる。
まぁこれで大丈夫だ。さ、入った入った」
背中を押され私達は魔法陣の上に立つと後からジークとガーベラさんも魔法陣に入る。それに合わせて魔法陣が光を放ち、効果を発揮する。
「そういえばガーベラさんもゴーレムなんですか?凄い精巧な作りですね」
ガーベラさんの受け答えは本当に人間らしく違和感がまるでない。本当に人間なのではないかと―――
「いや、ガーベラは中身があるタイプのゴーレムだぞ」
「「「え!?!?!?!」」」
「ま、それはまた今度な」
凄い爆弾を落とされた直後、魔法陣によって私達は飛ばされた。




