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※セラフィ視点
車での快適な時間を過ごしていた。
「流石ガーベラさん。準備が良いわ」
「美味しい!」
ガーベラさんの用意してくれたお菓子を楽しみながらカガリと談笑していると突然車が停止する。
「さて、お客さんか。お前らここで待ってろ」
前方に人影を確認するとジークが車を降りる。運転席のアネモネさんのほうに視線を移すと備えつけられていた遠見の魔具を起動。ジークと何者かの姿と声が確認できるいうになる。
『ノワールか、お久しぶりだな。順調か?』
『皮肉にしかきこえんのう。おかげさまで順調に力を貯えているよ』
『ソイツはなによりだ。で、何か用か?』
やっぱりジークは魔王ノワールの行動に対して特に責めることはないらしい。寧ろある程度想定しているような気もするけど………?
「魔王ノワールが力をつけているのに気にしていないのはなんでかしら」
カガリが呟く。真意は不明とはいえなんだかノリが軽すぎると思うの。
「詳細は不明ですが魔王ノワールはジーク様にとって有益なカードであるようです。
だから力をつけることも抵抗がないといいますか、好都合なのでしょう」
ここでアネモネさんが考察のような解説をしてくれる。
有益なカード………ね。
「それって魔族を利用するってこと?」
「かもしれません。これはジーク様による厳命なので明かすことはできませんが何かを表舞台に引き摺り下ろすためには魔王ノワールの存在も鍵となる、とおっしゃっていました」
「表舞台に………ジークは何か気づいているみたいだけどなんなのかしら。教えてもらえないのよね?」
カガリの問いにアネモネさんは首を横に振る。うーん、これは自分で気づくなりしない限りダメということね。
『そういやお前の優秀な参謀は今日はいないのか?』
『はて、何をいっておるのか。余のアイデアに決まっておろう』
『それは嘘だろ。お前にあんなカード切れるはずがない』
その間も話は続く。魔王同士の会話はまるで世間話をするような気軽さではあるものの確実に相手の思考を探っている。
魔王ノワールはジークが警戒する影の参謀について、ジークは魔王ノワールが今回接触してきた本当の理由を探っているように思える。
『ほう………。これは是非ともゆっくり話をしたいところだが、どうかのぅ』
そう提案していると魔王ノワールの隣の空間が歪み褐色のエルフの少女が現れる。仮面の少女はでてこないらしい。
『さっさとトライアズ王国にいって迷宮潜りたいんだが………』
『では余も供をしよう。多少は戦力になるであろう』
………え?
『名案だな。車に乗せてやるから行こうか』
え、え、え、え、え、え、え。
「………冗談、だよね?」
「だと、思うのだけど………」
だというのに魔王ノワールと八星魔将が車に向かって歩いてきてるんだけど。え?嘘よね?
「というわけで仲間?が増えたぞ」
「「それ違うからね!?!?」」
もう頭が痛い。




