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※セラフィ視点
「さて、どうしたもんかな」
ジークがごちる。
戻った私達は工房に戻りカガリやガーベラさん達と合流。
イーリスさんから聞いた話について整理しつつ旅の支度を進めていた。
「どうするって………そんな凄い人がいて敵か味方かも分からないんでしょ?どうしようもなくない?」
「いまんとこ敵じゃない。魔族側の立場のやつがやったことだからな」
アイツか~って感じで頭を掻いている。
………あの時呟いた愛華という名前。もしかしたらジークの黒剣はその人に関係するものだったりするのかな。でなければあの場で不意に呟くこともなかったと思う。
「わかるの?」
「もう一度襲撃者の思考を読み直してみたら大体予想できた。
しばらくは問題ないだろうが………さてどうしたもんか」
悩みすぎてさっきまで椅子に座っていたのに移動してソファで雑魚寝にチェンジ。本気で悩んでいるか気になるところだけど………なんて考えている時にガーベラさんが私服で登場。
「ジーク、姿勢が悪いですよ?」
「あぁ………っておお。前に買った服じゃないか。よく似合ってる」
雑魚寝してだるそうにしていたジークだけどガーベラさんをみて飛び起きる。………なんかむかつく反応ね。
「貴方が選んだくれたものですから。
それで、今後について話しているようですね」
そういうなりガーベラさんは当然のようにジークの隣に座る。時々私服で現れるけどその時は大体メイドの時と雰囲気が違う。オフの日ということよね。
「あぁ。向こうの出方も気になるが迷宮攻略とカガリの故郷のことも気になる。
留守をお前達にまかせっきりになるのが申し訳ないが………なにぶん手数も足りないからな」
「では配下を作るというのはどう?今晩付き合ってくれれば元気な子を産めると思うの」
「えっ、ちょっちょっと待って何をする気?」
「聞くのは無粋というものですよ」
顔を真っ赤にしたカガリの問いに対してガーベラさんは頬を赤らめてジークにしなだれる。その姿がどうみてもあれ、あれよ。アレをあーしてあー言う感じ。からかわれてるのは分かるけど!そもそも聖霊だし配下を産み出す方法も既に聞いているし!!
「俺の魔力は好きなだけ持っていっていいが適応できるまで時間がかかるだろうからあんまりいいアイデアではないな」
「まぁ、そうね。そうなると貴方のご主人様の命令通りということかしら?」
「そうだな。この一件で一部を除いて大きな動きをできるやつはいない。
今が一番自由な時間なわけだから警戒のほうはお前達に任せてら俺の主の方針に従おう。それが一番気楽だ」
なんだが面倒くさくて丸投げされた気分だけど細かいことは気にしない。
カガリを見ると同じことを考えていたみたいで頷いてくれる。
世界は目まぐるしく動こうとも私達のやるべきことは一つ。
「「まずはトライアズ王国の大迷宮攻略よ!!」」
「了解した」
―――その後イーリスさんとジークがそれぞれ調べたこと気づいたことなどの情報を共有。
ここですべきことはその日の内に全て終え、日が沈まないうちに私達はジークの車でトライアズ王国へと向かった。
暫く皆とは会えないかもしれない。でも、きっと―――




