9-11
※高峰総司視点
―――昼頃になってようやくアルフィア王国が見えてきた。といっても小さくしか映ってないし距離はだいぶ離れている。
ここまでの道のりは非常に業腹であった。魔王の差し金であろう罠や超遠距離狙撃によって幾度となく妨害され当初の予定より大幅に遅れてしまったのだ。
威力が高いわけでもないので死者はでなかったが護衛や馬車への攻撃は痛かった。超遠距離攻撃といった通り攻撃してきた方角が分かるだけで姿は確認できなかった。その上複数の方角から狙撃されたことをかんがみるに敵は複数いたのだろう。悪くない錬度だ。
さて、今回僕に課せられた任務は魔王討伐のみ。アルフィア王国に対しては何かする予定はないけどもし戦闘にアルフィア王国の関係者が混ざるようなら好きにしていいとも言われている。それについてはまぁ、気分で決めよう。この世界は僕の思い通りになるのだから何も心配することない。
なんて考えていると馬車のドアをノックされ、許可を出して車内に招き入れる。入ってきたリナルドが神妙そうな表情で告げる―――
「前方にメイド2名、執事1名。そして………その主と思われる青年、報告にあった魔王の存在を確認。彼からは凄まじい魔力を感じる………高峰殿、頼みますよ」
興奮する。遂に来た。魔王討伐。なんか知らないけど2人いるとはいえ魔王は魔王。僕は勇者として魔王を打ち倒し、そして英雄となる。それが目の前にある。
問題ないとだけ返して馬車を降り、そして前方へ進む。
赤と黒のメッシュの青年。歳は僕より少し上くらいに見えるが相手は魔王。アテにならないだろう。あぁ、カッコいいねぇ。きっと女の子にもモテるんだろうさ。まぁ、僕と相対したのが運のツキだけど。
背後に目を向けると見目麗しいメイドが2人。そのうち一人は本当に美しい女性で落ち着きもあり、清楚な感じ。凄い好みだ。
もう一人は眼帯をしているが2人のメイドは姉妹なのか容姿が何処となく似ている。眼帯女子も嫌いではないが姉らしきメイドをみてからだと普通だ。
執事は年老いているな。こっちをみて笑顔を向けてくれる姿はダンディな老紳士を思わせる。いいな、こういう執事が家に欲しい。
「君達が魔王だね。僕は高峰総司。もうだいぶ名が知れてしまったが異世界から来た勇者だ。
お前の野望はここまでだ」
そういって聖剣を構える。いい………とてもいい。雰囲気でてきた。
「異世界転移してチート能力貰って好き放題か。ハーレムはできたかい?」
「は………?」
今、魔王はなんて言った?
「この反応はビンゴ。同郷だな」
まさか………アイツも異世界転移してきたってのか?




