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※イーリス視点
「さて、他の国の情勢についても聞こうか」
「おや、ジーク殿なら既に把握しているものと思っていました」
そう言いながらもアレイスター王子はお付きの執事に目配せをして地図を広げさせる。
現在アレイスター王子、私、ミレイナ、ジークさん、ガーベラさんの4人で情報交換と今後の対応について話し合いをしています。
勇者チームは近隣の魔獣討伐、セラフィさん、カガリさん、レインディア様、アネモネさんの4人は息抜きをしろとのことで楽しく女子会を開いていることでしょう。羨ましいと思わないこともないですが仕事は仕事。私の恋人です。
「それができたら苦労はしないさ。で、まずは近隣の国の反応と遠方もできる範囲で知りたい」
「一応こちらで分かる範囲でよければ」
そういってミレイナが地図の上に赤、青、黄の駒を置いていく。その駒が置いてある場所は全て国かそれに近い規模の土地。これは―――
「青の駒を置いた国がアルフィア王国を支持すると表明してくれた国。赤がアルフィア王国との同盟を破棄、もしくはオルトランド皇国を支持した国。黄が事態を静観している国となります」
「なるほど。ありがとうミレイナ。アルフィア王国を支持する国は古くから交流のあるトライアズ王国だけか。
で、オルトランド皇国を支持する国はオルトランド皇国の周辺にある国。大半の国は中立、か。これ俺の責任重大じゃん」
「えぇ、そうです。ジークさんが勝つことが大前提なのです」
負けたらアルフィア王国は事実上の崩壊です。魔王の手にこの国の命運が握られているという世にも奇妙な状態………とんでもないですね。
「オルトランド皇国も大国故の影響力か。しかしここまでよく持ちこたえていたよな。
内部の腐敗もあるしオルトランド皇国には勇者もいる。普通に考えれば向こうに靡いていきそうなもんだが」
「そこはアルフィア王国だからこそという部分がありますね。前にお話しましたがアルフィア王国は資源も豊富であり交易も盛んです。アルフィア王国と交流を絶つことで資源の流入ができず、貧困に喘ぐ可能性がある国も少なくないので簡単に鞍替えすることは難しいのです」
「あぁ、そうか。確かに地図を見ても周辺諸国が他の国を目指すときここを通る必要があるし、肥沃な土地と気候条件もいい。川を下れば海にも出れるし………よし、ここ征服すっか」
「「いやいやいや!?」」
流石にジークさんに目をつけられたらどうしようもないのですけど冗談にしては笑えないのでアレイスター様、ミレイナと一緒にツッコミを入れる。
「冗談だよ。さて、現状の敵味方は把握した。となると―――既に手は打ってるよな?」
ジークさんがそういって良い笑顔をアレイスター様に向けると得意げに頷かれる。
「あぁ、勿論だとも。では、それについてジーク殿とも共有しましょう」
我々とてジークさんに頼りっぱなしではいられないのです。
この国は、私達の国なのですから――――――




