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※アリア視点
ぉぅι"ょ
「しかし強い上にこの美貌。そりゃ間に合ってるっていうのも頷けるな」
「褒めても何もでないぞ。寧ろガーベラに言い寄ろうとする奴が現れないよう牽制するのがお前の仕事だ。止められなかったら問答無用で消し炭にするからな」
「それは大丈夫だ。そんな馬鹿はここには呼ばれない」
お父様のいう通りです。相手が規格外の存在である以上馬鹿はここに呼んでおりません。下種でもクズでも実力がありアズガルム帝国に尽くす者だけが登りつめられる地位。そこに至っている者だけがここおります。
「なら安心だ。
この国は実力主義というが………やっぱり男尊女卑はあるわけで、アリアはそれが気に入らないってことか」
ジーク様がそういってこちらを見る。まるで思考を読まれたかのような発言にドキッとしたのは言うまでもありません。
「………女が活躍するのは可笑しいことでしょうか?私はそう思うだけです」
それを聞いたお父様はやれやれと言わんばかりのため息をつくだけ。元々これはお父様に一度打診したことではございましたが、結局国の有り方を変えかねないということで通ることもありません。
「まぁ俺が居た世界では女性の社会進出はしていたから俺としては差ほど違和感はない」
「本当ですか?ジーク様の世界はこちらと変わらないそうですが………」
「昔は特に女性が働くことが普通だったんだ。その中でも街のリーダーになったり国のトップになった女性もいたくらいさ」
それを聞いて諦めかけていた心に火がつく。知りたい。どんな法整備をしたのか、価値観を変えるに至った経緯、性によるハンデをどう埋めたか。気になって仕方ありません。
「気になるなら時間があるときゆっくり話してやる。お前のお父様も喜ぶだろうさ」
「おう!融通するから存分にやっていいぞ。なんなら一晩中ヤッてくれ」
やってくれ、に何か違う意味がこめられている気がするお父様に対して思うところがありつつも、異世界の制度などの情報が得られることは有意義です。今後十分に活用しましょう。
「………まぁ許可はでたし―――」
「私もそれは気になりますわ!!」
ジーク様の言葉を遮ってレインディア様が乱入。先ほどまで宰相達に他愛ない世間話をしていたはずですが抜け出してきましたか。
「お、王女さんも気になるか」
「異世界の知識は我々とは違った角度から見られたものでございますので。
それより、すんなりと受け入れられるのですね」
そう言われて私達が首をかしげるとレインディア様が一層楽しそうに笑う。
「あ、失礼しました。私、何を持って異世界人であると確信できたかと思っただけです。忘れてくださいまし」
ハッとする。あぁ、なるほど。これは墓穴を掘ったようで。やりますね女狐。
「ふふ、今後とも楽しくやっていけそうですね」
そういって意味ありげに微笑むレインディア様。
私達は元々知っていたからジーク様の異世界から来たという発言を受け入れていた。しかし、幾ら常識外の力を持つとはいえそれだけで異世界人であると認めるには余りにも不自然である。何より一番致命的だったのはジーク様の世界がこちらと変わらないと私から話してしまったこと。これはつまり―――
「気にすんなアリア。これは俺のミスでもある」
「ま、他のことに意識が回ってたからだろうな。見逃さなかったレインディアのほうが上手だったってことだ」
非公式の場とはいえこれで今後の交渉において譲歩する必要もでることとなっていまいました。大失態でございます。
―――しかしレインディア王女の戦場はここだったということに一つの親近感も覚えます。ふふ、いいライバルになりそうです。




