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※カガリ視点
―――その晩、私は自分の部屋で休んでいたけど、どうしても気になることがあって寝つけなかった。
二人の目の前では話せなかった………気づいたこと。ジークは恐らくそれに気づいて、でもその話にもっていかなかったのはまだ早いかもしれないということだったのだろうか。
私はメイドを呼んでジークに繋いでもらい、部屋に呼んだ。呼んで数分でやってくるのは流石といえばいいのかしら。それとも―――
「呼ばれると思ったよ。さ、話をしようか」
やっぱり、気づいていた。ガーベラさんも一緒で、その手にはティーポットとティーカップが2つ。
ジークが椅子に座るとすぐに紅茶が注がれた。
「お前の境遇までは分からないが可能性があると思ったんだろう?」
「………えぇ。紫藤浩太という名前もそうだったけど………彼は世界の真実と言っていたわ。セラフィ達は気づいていない様子だったけど、紫藤浩太の発言とヴェーダという子が言っていたこととズレている気がするの。
紫藤浩太は異世界からきていたからこそ、この世界にある何かに気づけた。そして………私のお父さんはそれに気づいたか、近づいたから命を落としたのかもしれないって、そう思ったの」
その時の風景が鮮明に蘇ってくる。
優しく強かったお父さん。誰からも慕われていたし、剣士としての腕前も一流だった尊敬している人。
そんなお父さんがある時満身創痍で帰宅した。驚き、そして絶望さえ感じる私の手を握ってお父さんは言った。
『この………世界には裏………が………ある。我らの祖先と………その………仲間が託してくれた………欠片を追え』
そうってお父さんは事切れた。その時はその意味を理解できなくて、でもお父さんが私に最期に託してくれたものだからと里を出て旅に出た。
その言葉が………あの時紫藤浩太の言葉と重なった。私達の祖先は何故魔神討伐に一役買うほどの英雄だったのにその後山奥の里でひっそり暮らしていたのか。何故、過去の文献を幾ら探しても祖先に関する記述がほとんどなかったのか。
それは………何か、知ってはいけない秘密を知ったから、隠れたのではないかと。
私はこのことをジークに話した。余すことなく話した。不安と悲しみで手が震えたがジークはそっとその手を握ってくれて―――安心できた。
「辛かったな、カガリ」
そういって彼は頭を撫でてくれた。
「ここでその答えを俺なりに話すことはできる………が、恐らく7つの大迷宮を攻略すれば答えは向こうからやってくる。確信もあるぞ」
「本当に………?」
ジークはゆっくり頷いて、そして微笑んだ。
「お前の道は確かに真実へ繋がっている。そこまで連れていってやる。
約束だ、カガリ」
この世界で最も信じられる約束を交わした。
―――この時、私は再び前に進む決意を抱いた。




