6-12
※カガリ視点
「身体の調子はどうだ?」
「ばっちり。すぐにでも戦えるくらいよ」
あれから一悶着あったものの今は落ち着いて、ジークに治療してもらって傷が残ってないことは確認できた。短時間で、しかも回復した人に身体的な負担をかけずに治すなんて本当に凄いとしか言いようがない。
「そうか。それは何よりだ。
じゃあそろそろ黒影の能力開放やるか?」
そう、私へのご褒美はジークが黒影に仕込んでいたギミックを開放し、武器としての能力を十分に発揮できるようにすること。当初は魔力の通しがよくなる程度の武器にする予定だったらしいけどジーク曰く気が変わったらしく、かなりの性能を誇る武器にしてくれたらしい。
「うん。お願い」
ジークの目が一瞬赤みを帯びると黒影も全体が赤みを帯び、すぐに元に戻る。心なしか、武器が熱くなったような………?
「終わった」
「はやっ」
「そりゃロック解除だけだからな。
さて、次はその機能についてだが………圧縮と開放っていうものなんだが、それだけじゃ分からないよな」
そういってジークが宝物庫から全長2メートルくらいの岩を取り出すとその場に置く。全体が黒みがかった少し奇妙な岩だけど………これを切れということよね。
「ふっ!」
私は普通に斬りつけるが無傷。次に魔力を込めて斬るがそれでもダメ。なんという硬度だろうか。
「じゃあ今度は納刀状態で魔力を込めてその状態から振りぬいて見ろ。そうだな………居合切りっていったほうがわかるか」
「あ、それなら分かるわ。やってみる」
納刀し、魔力を込める。まだいける、もっといける、もっと鋭く、もっと鋭利に、もっと―――
「はぁ!」
思いっきり振りぬくと黒いオーラを纏った刃が発生、何度やっても傷一つつかなかった岩が両断。それどころか向こうにいたジークにまで届いてしまった。
「悪くない。初めてにしてはいいじゃないか」
しかしジークに効くはずもなく、生成した黒剣で防いでいた。まさかここまで威力が違うなんて………。消費する魔力は魔力を纏わせて攻撃するときと同じ。どんなカラクリなのだろう。解説されてもわからないかもしれないけど。
「ご、ごめんなさい」
「いいんだよ。分かってやってたからな。
それより、使い方は今の通りだ。威力は桁違いに上がるからそこだけ気をつければ問題ないだろう」
「うん、ありがと。気をつけるわ」
新たな選択肢を得られた。私は強くなれる。もっと、もっと。………そして、私はたどり着いてみせる。この世界の、真実を。




