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暗号唱歌種明かし


 ……しばらくして尋問室にドミノさんがやってきました。


 私はポケットから例の暗号の書かれた紙片を取り出して、ドミノさんのこの暗号の解説を促します。

 ドミノさんはその紙片の怪文書っぷりに少し苦い笑みを浮かべながら、解説のためのいくつかの丸括弧を記入していきます。

 さあ、ここからです。ここからこのドミノさんの暗号唱歌の答え合わせがが始まるのです。


**


【(どんた)(どんた)(てて)つてつて(べん)(べん)】

【(どんた)(たーつ)(たつ)つ(たつ)たへいよー】

【どん(てて)(てて)(てて)(てて)て(べん)(べん)ぶいべー】

【ちゅぷちゅぷたんどたち(たつ)たどたちゅーじゅー】


【どんた】

  ドンタ。人名。通称台車乗りのドンタ。

  幼少期の棄児院在住者で、いつも台車を乗り回して遊んでいた暴れん坊。

  この暗号の詩の中では三回登場する。

【てて】

  テテ。人名。テテ王女。第一王女亡き後の現国王の再婚相手。

  この暗号の詩の中では五回登場する。

【べん】

  ベン。人名。通称もの拾いのベン。

  幼少期の棄児院在住者で、森に落ちている石の収集が大好きだった変わり者。

  この暗号の詩の中では四回登場する。

【たつ】

  タツ。人名。新生児。とある宿屋の新婚さん夫婦の愛の結晶。

  最近役所に出生届を出したばかり。この暗号の詩の中では四回登場する。


「……で、【てて】【べん】で【テテ王女を拾いに行く】、【どんた】が【車両】、【たつ】が【宿】。全部合わせて【特定の宿に車両でテテ王女を拾いに行く】、これが私の用意した正解ってことで」


「……【つて】が二回、【たち】が二回、【ちゅぷ】が二回ずつあるようですが、これは」

「そこは音を書き起こしした人の聞き取りが甘かったか、通信に使った子供の活舌が悪かったかのどっちかだね。まあ多分前者だと思うよ、こっちはちゃんと重複音が出ないよう注意しながら子供に歌わせてたんだから」


 それにこの書き起こしだと【てつ】【つた】も同様に重複して読めるとドミノさんは言う。


「……試しに歌ってみてもらえます?」

「いいよ、実際に音にすれば発音の抑揚差がわかりやすいだろうから」


 そう言いながら、暗号唱歌を軽やかに歌い出すドミノさん。

 その発音はまるで喉に幾多の楽器が詰まっているかのようでした。

 なるほど実際音を聴くと、各音かなり響きの印象が違います。


「重要な情報を含む音にはわかりやすいアクセントがついてるはず。わかるでしょ?」

 

 ……そういうわけでこの登場頻度二回以下の音たちに特別な意味はなし。

 はい、こういうのがあるからこの人の暗号唱歌は怖いのです――。


**


 私たちはそのまま、害獣課の檻車を待たせている場所へと急ぎます。


 ドミノさんが送迎車に選んだのは前列に二人が乗れるの中型檻車。

 これは荷馬車の後ろの荷台が動物用の檻になっている珍しい乗り物です。

 二人乗りを選んだ理由はもちろん王女を助手席に乗せて運ぶためですが……。


「王女様、絶対これ見たら後ろに乗りたがるよね……」

「……意地でも阻止してくださいよ。王女を檻で運ぶなんて前代未聞ですからね……」



 ――時間が惜しいからと、ドミノさんは檻車に乗って去っていきました。忙しい人です。



 

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