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眠い!
始まりは唐突に訪れた。
目が覚めた感覚。
だが、
身体が重い。
目蓋が重い。
動けないというか、起き上がれない。
頭が痒い。
腹が減った。
口の中の唾液を飲み込む。
ん??
「はぎゃなぁ〜〜〜〜!?」
(歯がねぇ〜〜〜〜!?)
舌を動かすが、
歯が無い!?
どういう事だ!?
思考を働かせる。
何が有ったのか、
何が起きたのか、
が、
叫んだと同時に、少しずつ眠くなって来た。
うん。
悪い夢だろうから、寝よう。
こうして、赤ん坊に転生していた事に気付きもせずに、
呑気に睡眠欲求に身を任せて寝る主人公。
彼にはどうしようも無い事だった。
だが彼は知らない。
其処が魔物が闊歩する処だとは。
神も救助の使いを慌てて派遣した事も。
其処が異世界だという事も。
彼は知らない。