表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/11

五章 礼拝堂

「助けてほしい……ですか」

 フードの女性──ソリスの言葉に、ルーベンは眉間の皺を深くした。

「ともかく、中へどうぞ。人に聞かれない方がいいでしょう」

「はい、失礼します。……あら、そちらの方は?」

 ソリスは部屋に足を踏み入れ、初めてエミリオに気付いたらしく少し驚いた顔をした。

「彼は私の部下で、奇跡認定人の見習いです」

「えと、エミリオ・ラヴェニア……デス」

 いつものように語尾を「ッス」と言いそうになり、エミリオはギリギリ訂正した。相手は聖女の付き人である。ちゃんとルーベンの部下らしく見えるよう、振る舞うべきだろう。慣れないので、カタコトになってしまったけれど。

「そうだったのですね、奇跡認定人はクレメンティ様だけだと聞いていたので……。失礼しました」

「いえ、お気になさらず。彼は最近奇跡部門に入ったばかりなのですよ」

 最近も最近、奇跡認定人見習い歴二週間である。

「よろしければ、ソファにおかけ下さい」

「は、はい」

 緊張しているらしいソリスにソファに座ってもらい、話の本題に入る。

「助ける、というのは具体的に何からでしょう?聖女様が特異な状況にあるのは、先程ルクゴール教会で拝見した時に気付いたのですが」

「……聖女様は四年前から意識が混濁する薬を打たれ、ずっと利用されているのです」

「四年もですか!」

 エミリオがぎょっとすると、ソリスは痛みに耐えるような表情をした。

「四年も手をこまねいていたのか、とお思いなのは百も承知です。私が臆病なせいで、聖女様に長い間辛い思いをさせてしまって……。私はきっと、《理想郷》へは往けないでしょう」

「あっと、ソリスさんを責めてるわけじゃ!それって、顎鬚のおっさ……いえ、神父が原因ですか?」

 オッサン、と言いかけエミリオは慌てて言い直した。ルーベンが険しい目で見てくるが、曖昧に笑ってごまかす。

「はい、ベルージ神父です。前にいらっしゃった神父を追い出して、今ではほとんど村を牛耳っています」

 どうにも胡散臭い男だと思っていたが、神父にあるまじき人物だ。《理想郷》へ往けないのは、明らかにベルージの方だろう。

「この四年間のことを、詳しくお聞きしても?」

 ソリスを落ち着かせるように、ルーベンは穏やかな声で話しかける。

「ええ。……聖女様には、昔からあのお力があったのです。聖都では《祝福》と呼ばれるものだそうですね。使える方は多くないけれど、珍しくはないと聞きました」

 ソリスは聖女の力が奇跡ではない、ということは理解しているようだった。

「けれど、この村では他にない力だったのです。それをどこかで聞きつけたベルージ神父が、利用しようと思い付いたのでしょう」

「そういえば、聖女様のご家族は……?」

 娘が聖女として讃えられているとはいえ、人形のような現状を許すだろうか。そんなエミリオの疑問に、ソリスは首を横に振った。

「聖女様に身寄りはないのです。……ベルージ神父は始めに、『その力は奇跡だ、その力があれば人々を救える』と聖女様に言い寄りました。私もベルージ神父を疑うことなく、それは素晴らしいことだと思ったのです」

 ただの騙りならともかく、聖女には本当に《祝福》でも稀有な力があったのが災いしたのだろう。夕方の様子からして、聖女は実際に『人々を救ってしまった』のだ。

「聖女様も当初は皆の助けになるのなら、とご自分の意志でお力を使っていました。ですが、すぐにひどく疲弊するようになられて」

 《祝福》を多用すれば、使用者にも負担がかかる。夕方の傷を治すのにも、かなりの体力を使っていたのだろう。

「聖女様も、疲労が強い時は休みたがるようになりました。ベルージ神父は、それが気に入らなかったのでしょう。その頃から、聖女様が言うことを聞かないと薬を打って意識を混濁させていたようです」

「うええ、無茶苦茶ですよ!」

「しかし、ベルージ神父には得することがないように思えますが」

 憤るエミリオを横に、ルーベンが冷静に言う。

「ベルージ神父は、表立った《奇跡の治療》以外では金銭を要求しているのです。他にも、聖女様には金属を清めるお力があるので、そちらも利用して金銭や金品を巻き上げています。騙される側も盲目的に聖女様を信じていて、大金を出せば救ってもらえると思っているようなのです」

「そんな……」

「私も、初めは聖女様の様子がおかしいのは疲れのせいだと思い込んでいたのです……。聖女様がほとんど話すことも笑うこともなくなってから、事の重大さに気付きました」

 絞り出すような声で話すソリスに、エミリオの方がやるせなくなってくる。信仰とは、救いとは誰のためにあるのだろう。

「二年前、ようやく全てに気付いた私にベルージ神父は忠告してきました。下手なことをすれば聖女様の命はない、と」

「えっ」

 エミリオは、咄嗟にルーベンの顔を見た。今まさに、『下手なこと』を話してしまっているのではないだろうか。

「それで身動きがとれず、今に至るのですね」

「はい。通報するにもできず、かといって村の者や奇跡を求めて来る人々は妄信的で信用できません。そんな中、『素晴らしい奇跡なのだから、奇跡認定をしてもらってはどうか』という話を聞いて、クレメンティ様のことを知ったのです」

「そういうことでしたか」

 ルーベンは納得したのか、小さく頷いた。

「奇跡申請をしたのも、ソリスさんですか?」

「ええ。来て頂けるかどうか不安でしたが、こうしてお話しできて少し気持ちが軽くなりました。クレメンティ様とラヴェニア様には、本当の奇跡ではないと分かっているのにお手間を取らせてしまい、すみません」

 青白い顔色で、ソリスは申し訳なさそうに言う。

「いえ、お気になさらず。それにしても、大丈夫なのですか?ベルージ神父に脅されているのに、私達を呼んで」

「近隣の村々でも、聖女様のことはかなり有名になっています。私が奇跡申請をしなくとも、誰かがしていておかしくはない状況なのです。実際最初に奇跡認定の話を出したのも、隣村の方でした。なので通報するより、奇跡認定人の方に連絡した方が怪しまれないと思ったんです。何より……」

 ソリスは泣きそうな、けれど未だ諦めぬ強い目をしていた。

「聖女様は度重なる薬の投与で、限界が近いのです。薬の副作用か、食事もあまり摂って下さらなくて。最近は意識がほとんどなく、引きつけを起こしたり気絶することもあります。それでも先日ベルージ神父が薬の効きが悪いのでもっと増やさなければ、と言っていたのを聞きました。このままでは、どちらにせよ聖女様は殺されてしまいます……!どうか、助けては頂けないでしょうか」

 必死なソリスの訴えに、ルーベンは重々しく頷いた。

「確かにこのまま見過ごすのは、人として、信徒の一人として心苦しいです。ただ、いきなり行動を起こすのも難しいでしょう。もう少し、調べたり状況を見させていただいてもよろしいですか?」

「分かりました。私もそろそろ戻らないと、ベルージ神父に疑われてしまいますし……」

 ソリスは壁にかけられた時計を見て立ち上がった。思ったより、長く話し込んでいたようだ。

「ちなみに、ベルージ神父は一人で全てを仕切っているのですか?」

「いえ、ディーノとフレッドという二人の部下がいます。部下と言うより、私には子分のように見えますが」

「ふむ、了解しました。まずは明日、情報を集めてみましょう」

 ルーベンの言葉に、エミリオも頷いた。

「ソリスさんは、聖女様を本当に大切に思ってるんですね」

「私も、聖女様に救われた一人なのです。それでは、よろしくお願いします。どうか、お二人に《理想郷》への導きがありますよう」

 ソリスは弱々しく微笑むと、夜の中へ去って行った。聖女だけでなく、ソリスの精神状態も心配になってしまう。

「先生、明日は頑張るッス!」

 エミリオが意気込むと、ルーベンは窓からルクゴール教会を見やった。

「そうだな。まずはソリスさんの言っていたことが本当か、確かめねばなるまい。ソリスさんが嘘をついている可能性もある」

「えぇ!?」

「聖女の様子からして、何か裏があるのは間違いないだろうが。奇跡の裏と表を探る、それが我々の仕事だ。今回は奇跡ではなく、聖女の状況だが」

「うええ、ヤな仕事ッスね……」

「ああ、私もたまにそう思う。全く、とんでもない案件のようだ」

 ルーベンは窓の外を眺めながら、ため息をついた。


*   *   *   *


「ベルージ神父かい?四年位前に、前の神父がお年で入れ替わりで来たんだよ。聖女様の奇跡を見出したのもあの人さ。おかげで周りの村から人が来るようになって、うちは大繁盛だよ。奇跡にお金?いや、そんなのは聞いたことないけどねぇ」

 翌朝、手始めに宿の女将に話を聞けば、あっけらかんと返された。

「あれ……?やっぱりソリスさんは嘘を?」

「そうとも言い切れんぞ。《情報端末》で検索したが、この村は『ロッソ神父』の担当で、記録上は十六年前から交代は行われていない」

「えーと?つまり、どういうことッスか?」

「情報部門のミスでなければ、ベルージ神父は正規の神父ではないということだ」

「ってことは、偽物ッスか!」

 偽物が大きい顔をしている、という時点でエミリオからすれば大分疑わしい。

「ソリスさんの話が本当なら、完全にただの詐欺師ということになるな。金銭を取っているのは一部の層からだけで、他は知らないのかもしれん」

「きっとそうッス、金を巻き上げる悪徳神父なんていなかったんスよ!」

 憤然としてエミリオは言った。ソリスを信じたいというのはもちろんだが、人々を食い物にしている神父などいてほしくない。例え偽物でも、許しがたいのには変わりないが。

「恐らく、他の村人に聞いても女将と似たようなことしか返って来ないだろう。直接ルクゴール教会に行った方が早そうだ」

「……歩くペースはゆっくりめでお願いしたいッス」

 全身筋肉痛のエミリオは、力なく言った。


 ルクゴール教会の前は、昨日と違い誰もおらず閑散としていた。静かで落ち着いているが、昨日の喧騒を見ていると寂しくも思えてしまう。

 ルーベンが何度かドアノッカーを叩くと、ギィと蝶番が音を立てて扉が開かれた。

「はい、どちらさまでしょう?礼拝の時間はまだですが」

 出てきたのは、相変わらず胡散臭い笑顔を浮かべたベルージだった。

「初めまして。聖女様のお噂を聞いて、ラペト村のラヴェニア教会から巡礼に来ましたルーベン・クレメンティと申します」

「うへぁ!?」

 ルーベンの名乗りにエミリオが奇声を上げると、思い切り足を踏まれてしまった。ひたすら痛みに耐えながら、歯を食いしばって声を上げないようにする。よりによって、ラヴェニア教会の名を出す必要はなかっただろう。

「こちらは、弟子のエミリオです。昨日の聖女様の奇跡を見て、非常に素晴らしいと思いまして。是非、聖女様とお話できればと伺った次第です」

「これはこれは、よくぞいらっしゃいました。私はこのルクゴール教会を預かるベルージです」

 大げさな動作で、ベルージは会釈をした。

「ただ、非常に申し訳ないのですが、聖女様は日々瞑想しておられ、我々の言葉にはあまり反応していただけないのです。それでもよろしいでしょうか?」

 聖女の意識がない理由を、尤もらしくベルージは話す。村人や訪れた人々も、同じように言いくるめているのだろう。

「ええ、聖女様に一目お会いできるならば構いません」

「では、こちらへ」

 ベルージに案内された教会内部は、美しい像や飾りで満ちていた。トルアビエ大聖庁には劣るが、オンボロなラヴェニア教会とは比べ物にならない。有名な聖人の像が並び、柱には金色の蔦が巻き付いて本物そっくりな小鳥の像が何羽もとまっている。ただ、どれも真新しい。外壁同様、最近設えられたのだろう。

 そんな礼拝堂の一番奥に、聖女は座っていた。聖女の座る金色の椅子には、細かく上品な文様が彫られている。聖女の周りには色とりどりの花が飾られ、聖女の容姿と相まってこの世のものではないようだ。聖女は昨日と変わらず、エミリオ達を前にしても表情一つ、視線一つ動かさない。

 見回せば、ソリスは礼拝堂の隅を掃除していた。こちらに気付き、小さく会釈したのが分かった。

「聖女様、お会いできて嬉しいです!」

 ルーベンは聖女の前に跪き、大仰に声をかけたがやはり反応はない。

「聖女様に、祈りを捧げてもよろしいでしょうか?」

「どうぞ。ですが瞑想の妨げにならないよう、聖女様にはお手を触れぬようお願いします」

 ベルージの許可を取り、ルーベンは祈り始めた。慌ててエミリオもルーベンに習い、祈る振りをする。間近で見る聖女は不健康なほど肌が青白く、袖口から出ている手は随分細く見えた。レースとフリルだらけの服を着ているのは、聖女らしく見せる以外に体型を隠すためもあるのかもしれない。しばらく祈る振りをして観察していると、外からざわめきが聞こえてきた。

「すみません、村の人々の礼拝の時間になりましたので」

 振り返れば、ベルージと同じく黒の制服を着た丸顔の男と鷲鼻の男の二人が人々を先導して入ってきた。ソリスの言っていた、ベルージの部下達だろう。笑顔というより、ニヤついているように見える二人はベルージより抜けていそうな気がする。

 エミリオ達は聖女から離れ、後から来た人々に場所を譲った。ベルージもそちらの対応に回る。たちまち、礼拝堂内が賑やかになった。ルーベンは少し何か思案すると、丸顔の男に話しかけた。

「お尋ねしたいのですが、奇跡を授けてもらうには何か条件があるのでしょうか?実は長年、腰痛に悩まされていまして。それを改善していただけたらと、四時間歩いて来たのです」

 ルーベンはわざとらしく腰をさすって言った。四時間歩いたのは事実なので、ルーベンも筋肉痛になったのかもしれない。男はそれを聞いて、ニヤつきを増した。

「何と、遠路はるばるご苦労様です!実は、どうしても奇跡をという方からはお布施を頂いているのですよ。もちろん、頂いたお布施は聖女様のため、教会のために使わせていただいております。皆さんからのお布施で、朽ちかけていた教会も見ての通り見違えました」

 男は小声で自慢げに言う。教会の外壁の塗装や内装が真新しいのは、この四年間で整えられたからのようだ。

「……ちなみに、どの程度なのでしょう?」

「最低でも、一万フォル程ですね。最近は聖女様もお疲れになりやすいので」

「いちっ!?」

 中々の高額な値にエミリオが声を上げかけると、再びルーベンに足を踏まれてしまった。筋肉痛以上に痛い。

「そうですか、少し考えさせてもらえますか?」

「かまいません。ですが、聖女様の奇跡は類稀なるもの。公言されて広まってしまうと、皆が押し寄せてしまいます。このことは本当にお困りの方だけにお話ししているので、他言無用でお願いしますね」

 丸顔の男は意味深に笑うと、聖女の方へ歩いて行った。見れば、人々は聖女を取り囲み縋りつくように祈りを捧げている。それでも尚、表情を変えぬ聖女。最早、狂気じみたものを感じ、エミリオは薄ら寒くなってきた。

「行くぞ、エミリオ」

「は、はいッス!」

 ルーベンの声に我に返り、エミリオはルクゴール教会を後にした。


*   *   *   *


「ソリスさんの話は本当で間違いなさそうだな。鎌をかけて、あっさり喋るとは思わなかったが」

 ルクゴール教会の後、村を見て回ってから宿に戻りルーベンは言った。

「高すぎだったッスけど、お布施っていうのは?ちゃんと教会は綺麗になってたッスよ」

「何だ、ベルージ神父達をよく見なかったのかね。やたら高そうな腕時計やら指輪をしていたぞ。恐らく教会に回しているのは一部で、後は自分達で使っているのだろう」

「あの内装で一部ッスか……」

 聖女にばかり注視していたので、気付かなかった。

「オレはどっちかって言うと、村の人達が聖女様に救いを求めすぎてるのが怖かったッス……」

「それは私も思ったな。あれでは聖女を連れ出せても、村人達が暴動を起こしかねない」

「説得……は無理ッスかね」

「あの妄信振りでは難しいだろう。彼らにとっては、私達の方が頭がおかしいように見えるかもしれん」

「うええ……」

 これでは人形どころか、人柱のようだ。元凶はベルージなのだろうが、村全体が聖女に依存してしまっている。

「下手に刺激して、集団パニックを起こされても困るしな。そんなことになれば、ベルージ神父達より厄介だ」

「なら、どうしたら……」

 エミリオは間近で見た聖女の手を思い出す。細く骨ばっていて、ほとんど生気がないようだった。あまり悠長にはしていられない。

「ふむ……」

 ルーベンも考えを巡らせているのか、その後は黙り込んでしまった。


 夕方、ソリスは昨日と同じくらいの時刻に宿を訪れた。

「昼間は何もお手伝いできず、すみませんでした」

「いえ、ベルージ神父達の目があるのですから仕方ありません。こちらで調べたのですが、どうやらベルージ神父は正規の神父ではないようです」

「……そうだったのですね。何となく、そんな気はしていたのです」

 ソリスは一瞬驚いたものの、ショックは少ないようだった。ベルージの悪行を傍で見ていたせいだろうか。

「巻き上げている金銭──お布施という名目のようですが、全ての人が知っているわけではないようですね」

「私も細かい基準までは把握していないのですが、基本的にお金のありそうな方、お金を出しそうなくらい急を要している方に持ち掛けているようです。誰でもでないのは不信感を抱かれないように、というつもりなのかもしれません」

 前者はともかく、後者は本当に困っている人から巻き上げようとしているのだから性質が悪い。わざわざ四時間歩いて来たと話したルーベンも、むしり取れそうだと思ったのだろう。

「なるほど。聖女様ですが、このままでは連れ出すのは難しいかと。ベルージ神父を出し抜けても、急に聖女様がいなくなれば村人達がパニックを起こす可能性があります」

「そう、ですね。皆の聖女様への傾倒ぶりは私もよく分かっています。きっと、大騒ぎになるでしょう。説明したところで、皆ベルージ神父を信じ切っていますし……」

 悲しそうにソリスは俯いた。村に味方がいないからこそ、ソリスはルーベンに助けを求めたのだ。

「このままでは、誰のためにも、村のためにもなりません。ならばいっそ」

 ルーベンは眉間の皺を深くして、重々しく言う。

「聖女様は、『死なせて』差し上げた方が幸せなのかもしれません」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ