二つの青い扉
「まずは左の扉から覗いてみましょうか。」
僕らは左右の扉の偵察をするため、左の青い扉を開けようとしていた。
「僕が開ける。」
ヘルシングには開けられないので僕が開けると志願する。
ウィルにやらせるよりは僕がやった方がいいだろう。
鍵を開けドアノブに手をかける。
「開けるぞ。」
「はい。」
「おう。」
二人の返事を受けドアノブを捻りドアを引く。
ぎぃぃー
そのまま少しずつドアを開け隙間から中を見る。
……畳?
地面には畳が敷き詰められており、壁には襖が並んでいた。
和室…なのか?
そのままさらに扉を開けていき奥の壁が見える。
その壁の左右には赤い扉と緑の扉、そして中央には掛軸が飾られておりその下には日本人形が一つ立っていた。
その掛軸には薄い線で白い服を纏った女性が描かれており、霧がかかったようなもやが女性に纏わりつき不気味な雰囲気を醸し出している。
一方、日本人形の顔は無表情で綺麗な着物を着た幼い少女の姿で肩口まで髪を伸ばしていた。
「あれは市松人形ですね。」
「市松人形?」
「着せ替え人形ですよ。京人形、いちまつさんという別称もありますね。」
「よく知ってるなぁ。」
「いろいろと思い出してきているんですよ。もっと褒めてくれてもいいんですよ?」
「―――――。」
「ん?おい、今何か聞こえなかったか?」
「僕には聞こえなかったけど…。」
「私にも聞こえませんでした。」
「そうか…。」
僕とウィルには何も聞こえなかったがヘルシングには何か聞こえたらしい。
ヘルシングが僕の肩を叩きドアを閉めるように促す。
「もう一つの扉を見に行くぞ」
「わかった。」
「わかりました。」
僕は扉を閉め、もう一方の青い扉へ向かう。
同じ要領で鍵を開け二人に合図を送り、ドアを開ける。
…ガンッ!
「ん?」
「どうしました?」
「いや、ドアが開かなくて。」
ウィルがドアをキョロキョロとみる。
「ナノさん、それ押すタイプのドアなんじゃないですか?」
ウィルに言われ試してみる。
ぎぃぃー
「ホントだ。」
今まで意識してなかったがほとんど引くタイプの開き戸だったように思う。
今度は扉を奥に押す。
ぎぃぃー…ガンっ!
「ん?何かにあたったぞ?」
カタッカタッカタッカタッ
「何か音がしますね…。」
隙間から中をの覗くが狭すぎてフローリングの床と白い壁しか見えない。
もう少し開けないかと扉を押すと今度は何の抵抗もなく開くことができた。
「おっ、開くぞ!」
そのまま扉を開いていくと、正面にはカタカタと音を立てながら部屋の奥に向かって歩いていく人がいた。
そして壁際には机と椅子があり、椅子に座って何か書き物をしているものや机をコツンッコツンッと叩いているもの、壁際に立ち壁に頭を打ち付けているものまで部屋の中には十人以上の人がそれぞれ干渉せず様々な音を出していた。
カタッカタッカタッカタッ
コツンッコツンッ
ゴンッゴンッゴンッ
「この人たちは何をやっているんだ…?」
ウィルを見ると一瞬だけあの無機質な表情をしているように見えた。
すぐに戻りはしたが大丈夫なのか?
「ナノさん、これは人ではありません。自動人形です。」
「自動人形?」
「はい、かなり精巧につくられていますが関節などに継ぎ目が見られます。」
ウィルに言われそれぞれを注視してみると確かに継ぎ目らしきものが見られた。
「自動人形はオートマトン、オートマタともいわれ機械的な仕掛けで自動で動く人形のことです。」
「さっき扉にぶつかったのは前を歩いているあいつだろうな。ぶつかった拍子にでも動き出したんだろう。」
ウィルが説明しヘルシングが顎で指し示す。
それにしても本当に精巧につくられている。
前を歩いている自動人形はぶれることなく歩いているしウィルに言われるまで人形だとは気が付かなかった。
カタッカタッカタッカタッ
コツンッコツンッ
ゴンッゴンッゴンッ
部屋に自動人形の発する音が響き渡る。
「それにしてもこっちの部屋にも人形とはな。人に似せたものってのはなんだか気味の悪いものがあるな。」
………。
ヘルシングが言った言葉の直後、部屋中に溢れていた音が消える。
「な、なんだ?」
ギュルンッ!!
部屋の中にある自動人形の首が一斉にヘルシングの方向を向く。
カタッカタッカタッカタッカタッカタッカタッカタッ
コツンッコツンッコツンッ
ゴンッゴンッゴンッゴンッゴンッゴンッ
そして一斉にけたたましい音を出し部屋中を包み込む。
人形たちの口がガパッっと開き、その中から黒い筒のようなものが覗き見えた。
「やべぇっ‼」
そういうとヘルシングはドアノブを僕の手の上から掴み、扉を急ぎ閉める。
ガチャンっ!!!
ダダダダダダダッッ‼
ガッガッガッガキュゥゥンッ‼‼
―――っ⁉
扉を閉めた直後に銃声が扉の奥から聞こえてくる。
「鍵を閉めろっ!」
「わかってるっ!!」
銃声とともに扉に伝わってくる振動を感じながら鍵を閉める。
がちゃんっ…。
しばらくすると銃声はやんだ。
「危ねぇところだったな。」
「し、死ぬかと思った…。」
「ハチの巣になるとことでした…。」
こっちを進むとなると命がいくつあっても足りない。
奴らが銃を向けてくるのが部屋に入る前でよかった。
というか基本的に一つの扉の部屋には一つ何かがいるってわけじゃないのか?
「あんなに数がいることもあるんですね。気を付けないといけません。」
何だかルールのようなものがあると勝手に想像していたが、そこから徐々にずれてきている気がする。
「こっちの扉は無理だな。」
「進むのは向こうの扉で決定ですね。」
進む扉も決まり鏡に別れの挨拶をする。
「それでは、いってらっしゃいませ。」
鏡に送り出された僕らは左の扉の先へ進もうとしていた。
今更ながらweb小説の場合、行を今回ぐらいこまめに変えた方がいいのでは?と思いましたので、これからはなるべく行を変えていこうと思います。なるべくです。つまり善処しますってことです。絶対ではないので勘違いしないようにっ!




