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審判の箱  作者: 千人
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道化師は笑わない

倒れたウサギのぬいぐるみの首の部分がずれており、そこからは人の首のようなものが覗いていた。


「これって…。」

「人間…なのか?」

「それも大きさからして子供だな……たちがわりぃ。」


僕らがぬいぐるみだと思っていたそれは着ぐるみだった。

それも、人間の小さな子供が入った。


「あらあらぁ~。勝手に園内の備品に触られては困りますよぅ~お客さん。」


ピエロの厚化粧から聞こえるその声はあくまでも陽気なものであったが先程まで聞いていた声とは似ても似つかわしくない邪悪さを含んだものだった。


「―――っ⁉」


ピエロを振り向くとその右手には刃渡り20センチほどのサバイバルナイフを握っていた。

そのにこやかに描かれた化粧とは裏腹にその表情、瞳は笑っていなかった。


「わ~るい子には、おしおきデスヨォォォォッ!!」


ダダダダッっとピエロがぶれのない動きで走ってくるッ!?


「このクソッ!!」

ガンッ

ヘルシングが僕らの間の入り左手のトランクでナイフの軌道をそらす。


「おらぁっ!!」

「ぐがっ!」


そのまま右足でピエロの左側頭部蹴りぬくっ!


ズザザザァァァァーー

ピエロは顔を擦り付けるように地面を滑っていく。


「今のうちに抜けるぞっ!!」

「わかった!!」

「はいっ!」


僕らは間髪入れずに緑の扉へ走り出す!


「ぐっ…ううぅ……。」


後ろの方でピエロの呻き声が聞こえてくる。


「ナノさんっ!」

「あぁっ!」


僕はポケットから鍵を取り出しつつ走る。

落ち着け…。ただ鍵を開けるだけ…。

落ち着いてやれば何の問題もない。簡単なことだ…。

緑の扉の前にまで来て鍵穴に白い鍵を突き挿すっ!

ガチャンッ‼


――っよし!!

ドアノブを引くっ。


ダダダダダッッ!

「――なっ!?」


後ろには起き上がったピエロが迫ってきていた!

ピエロの顔はヘルシングの蹴りと地面の擦れでところどころが腫れ、化粧は崩れ、まるで悪魔のような形相である。


「ひぃっ⁉ まずいですよ!!」

「俺に任せろっ!」


ヘルシングは杭を持ちピエロめがけて投てきする。

ヒュンッ……ザクッ!!


「ぐあ゛ァ‼」


杭はピエロの右足、太ももに突き刺さりピエロが横転する。

ドサッ!


「今だっ!!!」


ヘルシングの声とともに僕は扉を開けるっ。


「入って!!」


扉を閉める瞬間、地面に這いつくばるピエロがこちらを見るその顔は派手な化粧がはがれ狂気で満ちたものだった。

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