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審判の箱  作者: 千人
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アクセス権

「ドアを閉めろっ!!」


ヘルシングがそう叫んだ瞬間、男の体が一瞬のうちに無数のコウモリに変化しこちらに襲い掛かってきたっ!

バタンッ!!!


「ぐぬぅッ‼」


三人でとっさにドアを抑え込む。


「鍵を閉めろっ!!」

「わかったっ!」


手に持っていた白い鍵を鍵穴にあてがう…。


「――っ⁉」


手に握る汗と焦る気持ちが相まって鍵はドアノブにあたり宙を舞う。

しまったッ!!!


カランッカラン…

はじかれた鍵が地面に落ちる。


ガチャガチャガチャッ…ゴンッゴンッゴンッ!!!


「うおっ!?」


ドアノブが捻られ開かないと分かると扉を何度も叩くような音が響いたっ!


「早く鍵をかけてくれっ!」


ヘルシングとウィルが扉を抑え何とか持ちこたえてくれている。

僕は地面に落ちた鍵を拾い今度こそ鍵を挿し込んだっ!

ガチャンッッ!!!


「はぁ…はぁ…はぁ…」

「ふぅ、何とかなったみたいだな。」

「危ないところでした。」


扉の向こう側からはドアを叩く音こそ聞こえるものの、当の扉はピクリとも動いていなかった。

僕は深呼吸をして息を整える。

はぁぁぁーー……ふぅぅぅーーーー。


「ごめん、鍵を落として…。」

「気にするな。全員怪我が無かったんだからよっ!」

「そうですよ。全員無事でよかったじゃないですか!」

「あぁ…。」


何とか今回は二人が頑張ってくれたおかげで無事でいられたけど、グリンのことでもう仲間を失わないと誓ったばかりだっていうのに僕は何をやっているんだっ!!

落ち着いて対処しないとまた同じことの繰り返しになりかねない。


「ヘルシングさん。あれってもしかして…?」

「あぁ、吸血鬼だな。おまけにぶち殺したあの吸血鬼とは違い上位のやつだ。ヤツはさっきみてぇに変化もするし仲間も増やせる。」

「どうにか出来るんでしょうか?」

「何とか出来ねえってわけじゃねぇが、相手取るには準備がいる上にこっちがただじゃ済まねぇ可能性が高い。今の状況じゃ相手にしねぇほうがいいな。」

「そうですか…。」


予想通り扉の先には別の空間に繋がっていた。


「部屋の構造は同じでも違う部屋。チェシャ猫さんと透明人間の部屋と同じですね。」

「そうみてぇだな。」

「扉の色だけじゃなくて配置によってもルールがあるのかもしれないな。」


今のところ隣り合う扉は同じ構造をしている。

同じ配置の扉と比べない事には確証は持てないが。


「この扉は諦めて他の扉をあたったほうがいいかもしれないな。」

「そうだな。とりあえず俺がいた部屋の奥の扉を見て、判断はそれからだな。」

「そうですね。」


僕らはヘルシングのいた部屋に戻り赤い扉を開くことにした。


「次にどんな化け物が出てくるか分かったもんじゃねぇ。扉開けるのは俺がやろう。いざってときでも俺なら対応できる。」

「そう…だな。悪いけど頼むよ。」


ヘルシングに白い鍵を渡す。

僕よりもヘルシングのほうが身体能力は遥かに高い。

もはや人間離れしていると言っていいレベルだ。

それにまたさっきみたいに僕が鍵を落としてしまう可能性もある。

ヘルシングはその不安を遠回しに回避してくれたのだろう。


「そんじゃ、開けるぜ。気ぃ引き締めろっ!」

「あぁ!」

「はい!」


ヘルシングが鍵を挿し込み捻る。


ブーーーッ、ブーーーッ、ブーーーッ


「アクセス権ガゴザイマセン。」

「―――ッ!?」

「あん?どういうこった?」


アクセス権がない?

白い鍵を使えばだれでも開けられるんじゃないのか?

少なくとも僕とウィルはその鍵で開けることができた。

この扉が特別なのか?それとも……。


「ウィル、試してみてくれ。」

「あっ、はい。」


ヘルシングから鍵を受け取りウィルが開錠する。

ガチャン…。


「あ、開きました。」

「なんで俺じゃ開かねぇんだ?」

「なぜでしょう。」


扉がどうこうではなくて開ける人物を認証している?

僕はウィルから鍵を受け取りポケットにしまう。


「まぁ、いいか。鍵が開いたってんなら俺が扉を開くからお前たちは後ろに控えていてくれ。」

「わかった。」

「わかりました。」


僕らはヘルシングの後ろですぐに動けるように身構える。


「いくぞ…。」


僕とウィルは頷く。

ヘルシングかドアノブを捻るっ。

ガンッ‼


ブーーーッ、ブーーーッ、ブーーーッ


「アクセス権ガゴザイマセン。」

「はぁ?」


またか!?


「アクセス権がないと扉を開けることもできないのでしょうか?」

「そりぁねぇぜ!」

「随分と厳重だな。」


白い鍵で全ての扉が開くと知った時はなんてセキュリティの低い場所だと思ったもんだが、実際はかなり厳重な場所だったわけだ。

だとしたら、僕とウィルはかなりこの場所との関係が深い。

ウィルに至っては僕のことを兄さんと呼ぶあいつのこともある。

まだまだ分かっていないことは多いな。


「しょうがねぇ、お前ら二人のどっちかに開けてもらうしかねぇ。」

「それなら僕がやるよ。さっきみたいに焦ってミスをするようなことはしない。」

「そこまで言うなら俺は構わねぇぜ?お前はどうだ?」

「私もかまいませんが…ナノさんっ!扉を開く人が一番危険なんですからくれぐれも油断しないでください。」

「あぁ、勿論だ。」


これで扉が開けばこの扉が特別でウィルにしか開けられない扉だという可能性が消える。

そして、僕とウィルにはアクセス権とやらが付与されていることが確定的になる。


「それじゃあ、今度こそ開けるぞ?」

「おう。」

「はい。」


ドアノブを握りドアを開ける。。

ぐいっ…ぎいいぃー


「いらっしゃぁーーあいっ!!!!」

「――っっ⁉」


目の前にはド派手な化粧をした男の顔があったっ!!

バタンッ!!  カチャンッ!!


僕はマジシャンが如く自分でも驚くほどの早業で扉を施錠した。


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