笑う猫再び
「盗み聞きしていたんですか?」
ウィルが責めるように言う。
「人聞きが悪いニャー。聞こえてきただけニャ。」
「どこから聞いていたんですか。」
「最初から最後までニャ。」
「どう考えても盗み聞きしてるじゃないですかっ!」
「移動できる範囲が限られているんだからどこにいても大体聞こえるニャー。そんなこともわからないのかニャ?」
「………。」
ウィルのこめかみに怒りマークが見えてきそうだ…。
「おいナノっ、なかなか強烈なやつだな。」
「遠くから眺めているぐらいの距離間でいたいな。」
「そこっ!!聞こえてるニャ!そんな態度をとるようなら貴重な情報を教えてやらないニャ。」
「貴重な情報?」
「そうニャ。その透明人間に関係する情報ニャ。」
「なんだと!?」
透明人間に関する情報?
もしそれが本当なら喉から手が出るほど欲しい。
仮に他にもいるとしたら何か対処しなければならない。
「知りたいかニャ?」
「もちろんだ。」
「どうしよっかニャ~」
「………。」
まさかまたゲームとか言い出すんじゃないだろうな?
「まぁいいニャ。今回は特別に教えてやるニャ。」
「へ?」
ウィルがチェシャ猫の意外な一言に目を丸くする。
「何ニャ、知りたくないのかニャ?」
「いや、知りたいですけど。そんなに素直に教えてくれるとは思はなくて…。」
「チェシャも鬼じゃないニャ。こんなに切羽詰まっている状況でふざけたりしないニャ。」
さっき普通にふざけていた気がするがこのままいけば話してもらえそうだから何も言わないでおこう…。
「それで情報ってぇのは何なんだ?」
ヘルシングが身を乗り出すようにして聞く。
「そこの扉の話ニャ。」
チェシャ猫は尻尾で二つ並んだ図書館に通じる扉を示す。
「そこの赤い扉を開ければわかるニャ。」
「どういう意味だ?」
「やればわかるニャ。」
言われるがままに僕らは赤い扉を開く。
ぎいぃぃーー
しかし、そこにあったのはやはり何の変哲もない図書館だった。
「おいっ、チェシャ猫…だったか?何もねぇぞ。」
「待ってください!」
ウィルがアスファルトの部屋にいるチェシャ猫に文句を言うため戻ろうとするヘルシングを止める。
「なんだ、どうした?」
「ないんです…。」
僕も確認した。
そこにはなかった。あるはずのいるはずの存在が…。
「ないって何が。」
「グリンさんがどこにもいないんですっ!」




