異変
「うっ、あ゛あぁぁぁぁー――――――――っ!!」
イタイッ、いたいっ、痛いッ‼ 苦しい…。
世界が歪み体が震える。
触れているグリンの体を確かに生きていたのだと少しでも感じられるよう抱きしめ、命の名残を感じる…。
どうしてこんなことになってしまったのだろう?
僕たちが一体何をしたというのだろう?
覚えていないだけでこんな目に合うだけの罪を犯したとでもいうのか?
こんな仕打ちはあんまりだ。
こんな罰は割に合わない。
認めることはできない
認めたくない。
こんなのは嫌だ。
ふざけている。
戯言だ。
「存在の尊さを感じましたか?」
……え?、……ウィル?
「そこにある事の大切さを理解しましたか?」
…なにをいっているんだ。
「こんな時に何を言ってるんだよっ!」
僕は腫れた目をいまだに霞ませている涙を拭う。
「あり続けることの重要性が分かりましたか?」
「グリンが死んだんだっ!死んでしまったんだよッ‼ウィルッ!!!」
抱きしめたグリンの体から顔を上げてウィルの顔を見る。
そこには無表情で機械的な幾度となく見たあのウィルがいた。
「――――っ⁉」
なんで、こんな時にッ!
こんな状況で出てきたもう一人のウィルに怒りを感じるとともに少し冷静さを取り戻す。
グリンが死んでしまいウィルがこんな状況になってしまっているというのにヘルシングはどうして何も言わない?
ふとヘルシングがいるほうを見ると彼は目を見開いたまま固まっていた…。
「…ヘルシング?」
返事はなく、微動だにしない。
…なんだ?どうなっているんだ?
「おいっ!ヘルシングッ‼」
一人不安になって叫ぶ。
「………。」
な、なんだよ。なんだっていうんだっ!
「理不尽で訳の分からない事ばかりっ!誰か僕に説明してくれよっ!」
「説明して差し上げますよ。兄さん。」
「――――っ⁉」
僕のことを兄さんと呼ぶ声は青く浮遊している物体…………ウィルから発せられていた。
今回は短いですが重要なシーンです。シリアスなシーンを書いていると自分で泣きそうになってしまうのは困ったものですね。




