少女の肖像画Ⅲ
……ゴンッ!
痛っ!!
な、なんだ……?
体に鈍い痛みが走り目覚める。
「………さい、ナノさ……!」
ん?誰だ、僕を呼ぶのは…。
「起きてください!ナノさんっ‼」
目を開くとそこには赤い絨毯。
そして顔を上げるとそこにはウィルがいた。
少しずつ目が冴えていき、自分が地面に倒れており、体がウィルの変形によってつくられた紐のようなもので拘束されていることに気づく。
「グリンさんが大変なんです‼部屋から連れ出すので手伝ってください‼」
ウィルは拘束を解きながら必死に訴えかけてくる。
「お主っ!さっさとその小僧を連れてその部屋から出るんじゃっ‼」
入口にいたゴーレムがしゃがんだ状態で扉から叫んいる。
周りを見ると、僕は緑の扉に一番近い椅子の横に倒れており、向かいの椅子の上にはグリンが座っていた。
グリンは虚空を見つめ、ただの置物となったかのようにピクリとも動かない。
何だ?何がどうなっている!?
何が起こっているのかはわからないが、よくないことが起こっている。
急いでここから出ないとっ!!
僕は体を起こし、グリンのもとに走り抱き上げる。
「ナノさんっ!」
緑のドアを開けて待っていてくれたウィルもとへ走るっ!
―――ダッダッダッダッダッバタンッ!!
ガチャンッ!!!
「はぁっはぁっはぁっ!」
「な、何とか全員無事ですね…。」
僕らは緑の扉を抜けライオンに追われる子鹿のように扉を閉めた。
腕に抱えたグリンを見るとぐったりとしたままで目を覚まさない。
「お、おいっグリン!目を覚ませ!」
体を揺すりグリンに呼びかける。
「……ん…ん?」
グリンは目を開き、夢現といった様子でこちらを見る。
「あれ?ぼく…たしか…。」
「グリンさんとナノさんは少女の絵を見て急におかしくなったんです。」
「おかしくなった?」
「はい。」
僕は確かグリンが絵を見て固まっていたから同じように絵を見て…そしたら頭がぼーっとしてきたんだよなぁ?
「お二人とも私とゴーレムさんが呼んでも全く反応がなかったんですよ?しばらくすると突然グリンさんが椅子の上に座りだしたんです。様子がおかしかったので何度も呼んだり体をゆすったりしてみたのですけれど反応がなくて…。」
「それからどうしたんだ?」
「はい。次に突然グリンさんの真上にある額縁の紙に絵が描かれ始めたんです!」
「絵?」
椅子の上にあった白紙のあの額縁にか?
「そうです。しばらくしてそれがグリンさんを描いたものだと気づいたんです。なんだかすごく嫌な予感がしたのでグリンさんを無理やりにでも連れ出そうとしたら、ナノさんまで椅子に座ろうと動き始めたので体を拘束したんです。」
「そこで僕が目覚めたわけか…。」
状況から見るに僕もグリンもあの少女の自画像のせいでおかしくなったのは明らかだ。
あれが一体何なのかは分からないがウィルの言っていた青い扉は危険っていうことに間違いはなかったってわけだな。自分の身で実証なんてしたくはなかったが。
「僕は今のところ何ともないけどグリンはどうだ?」
「ぼくもだいじょうぶだよ。こわかったけど…。」
兎に角三人とも無事でなによりだな。念のためグリンの様子には気を付けておくか。
「ゴーレムはどうなったんだ?」
「ゴーレムさんは体の大きさから扉をくぐれず部屋には入っていませんでしたし、あの様子からして大丈夫だと思います。」
「そうか、それならよかった。」
仮にゴーレムがグリンのような状態になっていたら誰にも運び出せなかっただろうしな。
ふぅ…。
「とりあえず少し休もうか。さすがに疲れた…。」
「そうですね。」
「さんせい~」
僕らは身の毛もよだつ恐ろしい部屋からの脱出に成功し、しばしの休憩をとることにした。
脱出した先にあったのはたくさんの本が並ぶまるで図書館のような場所だった。
「とりあえず少し休もうか。さすがに疲れた…。」
「そうですね。」
「さんせい~」
僕らは身の毛もよだつ恐ろしい部屋からの脱出に成功し、しばしの休憩をとることにした。
脱出した先にあったのはたくさんの本が並ぶまるで図書館のような場所だった。




