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審判の箱  作者: 千人
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石像Ⅱ

「ナノさんっ!待ってください!」


僕の上半身はウィルのロープのように変化した手によって拘束されていた。


「何をするんだ‼グリンを助けないとっ‼」


ウィルもろとも引っ張るようにして前に進もうと足を踏み込む。


「そうじゃないんですって!グリンさんは無事ですっ!」

「へ?」


その時の僕の顔はさぞ間抜けなものだっただろう。


「なんじゃおぬし、そんなに慌てて。殺人現場にでも居合わせたか?カァーカッカッカッ!!」


豪快に笑って見せたその石像はグリンを撫でながらそう飄々と言ってのけた。


ことのあらましはこうだ。


僕とウィルが緑の扉へ向かった後も視線のことが引っ掛かっていたグリンは石像をつついてみた。

そこで石像が「ワシの体に触れるでないっ!」とグリンを手でつかみ、動きを止める。


「人の体をつついちゃいかん!」

「ご、ごめんなさい…」

「まぁよい、素直に謝罪ができるのは立派じゃぞ。」

ナデナデ……。


ってなことらしい…………紛らわしいわっ!


「自分の非を認めて謝罪する。簡単なことじゃがそれができんものが増えているこのご時世。いやぁ、大したもんじゃぞ?小僧!!」


大げさすぎやしないか…。

石像のご時世ってどんなだよ…。


「えへへぇ~ぼくおうさまだから~。」

「なんと王となっ⁉どうりで立派だと思ったわいっ!カァーカッカッカッ!!」

「………。」


そういえば結局修正してなかったなぁ…。


「ナノさんいいんですかあれ?」

「もう、いいんじゃないか?面倒くさくなってきた…。」

「えぇ⁉」


問題があるわけでもないしもういいや……。


「さっきはつついたりしてごめんね?せきぞうだとおもってたから…。」

「おまえさんが謝罪し、ワシが許した!気にする必要などない。ワシをただの石像と勘違いするのも無理からぬことであるしな。」

「おじさんはせきぞうじゃないのならなんなの?」

「ワシか?ワシはこの神殿を守るゴーレムじゃ。」


ゴーレム。

確かゴーレムって主の命令に従う人形だったか?


「あなたがこの神殿を守るゴーレムだというのなら私たちがこの部屋に入ってきたときに何もしなかったのはどうしてなのでしょう?」

ウィルの言うとおりだ。この部屋に入ってきたときも石像近くを調べていた時も僕とウィルが緑の扉へ向かおうと離れるまでこのゴーレムはピクリとも動かなかった。


「あぁ、眠っておったものでな! カァーカッカッカッ!!」


眠っていたって……


「小僧が突くもんじゃから驚いてでかい声を出してしまったわい!」


今も十分大きいけどな…。

神殿を守ると言いながら侵入されていることに全く気付いていなかってことだがそれでいいのか?

グリンが突かなければ僕らがここに来たことにすら気づかなかっただろう。


「ごめんねぇ?」

「だから気にするなと言っただろう!ほら、シャキッとせいシャキッと!」

「う、うん!」


なんというか豪快な人だなぁ。いや、人じゃないか。

悪いゴーレムってわけじゃなさそうだ。


「遅くなりましたが、僕はナノっていいます。あなたの名前は?」

「ん?あぁ、そんなものはない!ワシは”この場所を守るゴーレム”それで十分じゃ!呼び名に困るというのであればゴーレムと呼べばよい。」

「いやいや、どうせなら私が…。」

「やめなさい。」


ウィルの提案を最後まで聞かず否定する。

何を言おうとしているかなんてわかりきっている。その先には惨劇しかない。言わせねぇよ?


「まだ最後まで言ってないじゃないですかぁ!」

「いう必要がないから止めたまでだ。」

「名は体を表す!私の名付けた名前によりヒーローとなる人が現れるのかもしれないんですよ?」

「その考えだと相手は確実に食事になある未来が待ってるわけだがな。」


まん丸と頬を膨らませてウィルが抗議してくる。


「お主らはいったい何の話をしているのじゃ?」


僕らが会話の途中でこそこそと話し始めたので取り残されていたゴーレムが話に割って入ってきた。


「ゴーレムという名前が素晴らしいと話していただけですよ。」


僕はむくれているウィルを無視して笑ってごまかした。


「そのようには見えんかったが…まぁいいじゃろう。」


僕たちとゴーレムとの話が終わったのを見てグリンがゴーレムに駆け寄ってくる。


「おじさんっ、ぼくはグリンよろしくね!」

「私はウィルといいます。」

「あぁっ!よろしく頼むぞ!」

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