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審判の箱  作者: 千人
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赤い扉

「ホントですねぇ、どこを叩いても音が同じです。」

「それのどこがおかしいの?」


ウィルが壁を叩いてまわっているのをみてグリンが首を傾げて言う。


「材質が違ったり厚さが違うと叩いたときに出る音が違うはずなんだ。だから、少なくとも扉があった位置と壁があるはずの場所はほかの場所とは違う音がするはずなんだよ。」

「へぇ~」


一応、壁の端から端まで音が違うところはないか確認をしたが異なる音がする場所は一ヶ所としてなかった。

扉が無いというだけなら向こうの部屋にあった扉が張りぼてだったという可能性も考えられなくはないか?


「それなら、むこうにあるっていうトビラはどうなるの?」

「調べてみるか。」


僕が調べに行こうと入口に戻ろうとするとウィルが立ちはだかった。


「ダメですよっ!ナノさん!」

「そんなこと言っている場合じゃないだろ?こんな奇怪なことが起きているんだ。調べるべきだろ?」

「それはそうかもしれませんが、あの扉はダメですっ!」

「………」

「………」


またこれか。ウィルとにらみ合うような形になったまま動かない。

今は少しでも情報を集めるべきだしこれは必要なことだ。

それはウィルもわかっているはずだが譲ろうとしない。

どうしてこうも頑ななんだ。


「ウィルぅー、すこししらべるだけでもだめなの?」

「ダメです。」

「ウィル、この場所について知るための重要な情報になるかもしれないんだ。扉の先には進まないし…な?」

「あぶなそうだったらすぐにトビラをしめればいいよぅ、ね?」


二人で懇願するようにウィルを見つめる。

グリンに至っては目をウルウルさせて愛嬌をこれでもかというくらい振りまいていた。

ウィルはそんな僕らを見て考え込むように眉間にしわを寄せる。

いけるか…?


「中には絶対に入らず、私が閉めるよう言ったらすぐに閉めることっ!これが条件です。」

「あぁ、わかった!」

「やくそくする!」

「絶対ですからね!」


そして僕らは目覚めた部屋にある赤い扉の前に向かった。


「絶対に中に入っちゃダメですからね!」


念を押すようにウィルが言う。

「わかってるよ。」

「ぜったいにはいらない!」


そもそも向こう側には扉がなかったわけだから扉に先があるのかどうかが怪しいけどな。

例のごとく扉には鍵がかかっておりポケットに入れておいた白い鍵を挿す。


「開けるぞ。」


二人が頷くのを確認してから鍵をひねる。


……カチャン

ドアノブに手をかける。


「いくぞ。」

「はい。」

「うん。」


ゆっくりとドアの隙間を覗くようにしてドアを開く。


ブワァァ!!

「熱っ!?」


油のように熱風が顔にへばりつくッ!


「閉めてくださいっ‼」


吹き荒れんばかりの熱風がドアの隙間から雪崩れ込んでくるのを三人がかりで押し返すっ!


「鍵をっ‼」

「あぁっっ‼」


ガチャンっ!!


僕らは息をつく間もなく、心臓をけたたましく鳴らしながら何とか扉を閉めることに成功した。


「はぁ、はぁ…はぁ…」

「な、何ですかあれはっ!」

「あつかったよぅ~」


熱風が吹き荒れ、扉を閉めるまでの刹那っ!確かに僕はその姿を瞳にとらえていた。

荒れ狂う炎を身に纏いこちらをみていた巨大なトカゲの姿を…

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