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また、

 四月十六日。

 昨日、戻ってきたのは十五日の夕方ぐらいだったようだ。

 そしてまた、この日に居る。

 今日こそは、と灯白月々火の死んだ横断歩道をあらかじめ渡って待っている。

 やがて彼女がやってきた。

 変わらない服装で、変わらなく現れる。

 今回、変わっているのは自分の立ち位置だけだ。

 待つ間下ろしていたリュックを背負う。

 彼女は自分に気がつき、物珍しそうな顔でよって来た。

「やっほ、夜空。どうしたの、ストーカー?」

 前回と同じような事を言う。

 いいや、と答えるが実際ストーカーみたいなことをしているのは間違いじゃなかった。

 こんなことを彼女が言うのは前、メールで今日のことをいろいろと質問したからだろう。

 しかし、予定とは何だろう。と、そんな事を考えている暇は無い事を想い出す。

 もう少しでここにトラックが来るはずだ。

 自分はいきなり彼女の手を引いてこの場所から離れようとした。

 それに合わせたかのようにあのトラックがスリップ音をけたたましく鳴らしながら突っ込んでくる。

 ちょっと、という彼女の声も聞かずにトラックの来る事の無さそうなところへ走る。

 するとトラックは彼女には当たらずそのまま前回と同じところに突っ込んだ。

 あまりにあっけなく彼女を生かすことが出来たので呆気にとられる。

 今、彼女は僕の傍に立って息をしている。そのくせトラックはもう突っ込んだ後だった。

「一緒に来てっ」

 と、突然彼女が僕を呼んでトラックの方へ走り出した。

 彼女の手からは鞄も無くなって地面に落ちていた。

「はやくっ、運転手さんが死んじゃう」

 そう言って彼女は真横になったトラックのフロントガラスに手を付け大丈夫ですか、と運転手に呼びかけた。

 そして次の瞬間、トラックが馬鹿みたいに爆発する。

 思わず目を隠した腕をどけると彼女はトラックの突っ込んだ古臭い家の中の辺りに吹き飛ばされていた。

 彼女の居るところへと向かう。

 しかし、その前に古い家のせいなのかその家が崩壊し、家を形作っていた材料が彼女に降り注ぐ。

 そしてさらに、トラックの火がその木造の家ごと彼女を燃やしていく。

 そうして。

 また、

夜空 朱那巡{よぞら かなめ}

灯白 月々火{とうはく つつか}

鼕華 雨露{とうか あまつゆ}

由越交差点{ゆうえつ}

興ヶ高校{こうきょう}

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