戸田つばさ
4月某日某所
心地よい春風が吹く中、寧々は1人道端で焦っていた
あっちの道へ行っては戻り、こっちの道へ行っては戻り
やっぱりあっちかと進んでは戻り
つまり迷子になっていた
(転校初日から遅刻って、あり?)
そう思っていると、寧々の横を1人の男の子が通り過ぎた
(ラッキー♪)
「あのっ」
寧々が話しかけると、彼は立ち止まり、ゆっくりと振り向いた
よく見ると同じ学校の制服だった
シャツは出していて、ズボンも腰履き
そして彼は耳にたくさんピアスをつけていて、瞳はカラコンをつけているのか、蒼かった
(ヤンキー?)
彼は寧々に一瞥を与えると、くるりと振り向いて早歩きで行ってしまった
「・・・・・・・」
(無視!?)
寧々が呆然としていると、後ろから肩を叩かれた
日に焼けた肌にショートカットがよく似合う女の子だった
「大丈夫ですか?」
にっこりと笑った顔がとってもかわいかった「えっと、わたし、引っ越して来たから学校までの道がわからなくて・・・・」
「そっかぁ、じゃあいっしょに行こうよ!」
「本当ですか!?ありがとうございます!!」
寧々は安心して、彼女についていった
「わたし、戸田つばさ。2年生」
「永宮寧々。わたしも2年生だから、タメだね」
「うん、よろしく!もしかしたら同じクラスかもね」
「そうだね。わたしつばさちゃんと同じクラスがいいなぁ」
「つばさでいいよ。わたしも寧々って呼ぶから!」
つばさが明るく、話しやすいこともあって、2人は学校に着く頃にはすっかり打ち解けていた
そして―――
「あっ!わたし4組だ!」
つばさが示した先には確かに彼女の名前があった
「ほんとだー。・・・・あっ!わたしも4組!」
戸田つばさの下に、永宮寧々の名前があった
「つばさー、ほんとにいっしょなクラスになれちゃったよ」
「うん!うれしいな〜」
2人はじゃれあいながら、2年4組の教室へと向かって行った