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カラスの鳴いた夜 (修)

作者: 気ままな猫

修正版です

暗い森の中、雨が人の痕跡を消すように降り続く。

全ての出来事を無かったようにするように

 ある町のはずれの歩道を2匹のカラスが体についた汚れを落とすため歩道に水浴をしに来ていた。

 まだ日は明るいがしかし雨が強く周りの視界が悪い。その森に一台のワゴンが通り過ぎた。ワゴンはライトをつけていない。速度をゆうに七十以上のスピードで走っている。

 カラスはワゴンに気付かない

「バンッ…バサバサバサ」…鈍い音が雨にかき消される。

一匹のカラスが無残にも轢かれてしまった。

その周辺には散らばった羽が黒く黒く周辺を黒く染め上げた。

ガチャッ

「あーあ、またやっちまった。まあいいか」

男はワゴンから降りると冷静に言い放つとワゴンに乗り込み過ぎ去っていった。

 森の中、雨が全てをかき消すようにまだ降り続く。

一匹となったカラスはその一帯から離れず過ごしていた。季節が幾度も変われどカラスは去ることはなかった。

もう一匹の無残な姿をこの世に残すようにあの日の出来事を森の軌跡にするよう一枚の黒い羽根を残して。


 あれから何年かたったある日の夜、その日は雨の日だった。

森はいつもの様に静かで何事もなかったように全てを洗い流している。

 森の中町から町へと続く一本の歩道に一台のワゴンの車が速度を上げて通りかかる。

「カァーカァー」

とカラスがに興奮したように鳴き始める。

一台のワゴンは急にスピードを下げて立ち止った。

何かトラブルを起こしたようだ。

「バンッどうしちまったんだ。このポンコツ車。しっかり走れッ」

怒鳴り声を男があげると一羽のカラスが男のワゴンに立ち止った。

「ふんッ縁起の悪い奴め。しっしっあっち行けうっとしい」

カラスを追い払うとそこには一枚の羽根が残されていた。

男はそれを拾い上げ気持ち悪いと言うような顔つきで何事もなかったように摘まみ捨てる。

雨の中エンジン音が響き渡る。男は原因となったものをいじり終わるとそそくさと走り去っていった。


 それから2分程たった時だった。男は悲鳴をあげる。

なぜなら目の前が突然羽根の様なもので真っ黒になり視界が閉ざされたからだ。

 車は森のおくえおくえと突き進みとうとう正面の木にまともにぶつかる。

すると車からは煙がもくもくと立ち上り車が炎上する。

 その火をよりいっそう勢いづけるかのように黒色に近い落ち葉が舞い上がる。まるでカラスがはばたいた時に抜けた羽根のようだ。

 男は車の衝突で強く頭を打ったようで意識がもうろうし虫の息だ。

今すぐ助けが来れば助かるだろう。

 しかし雨はひどくなるばかりで雨音が全ての音をリズミカルに統一させる。

とうとう男には助けはこなかった。森は再び静寂を取り戻した。

 そんな中男は息絶えてしまう。

森の中今も男には誰も気付くことはない。

 ただ一羽の存在を除けば……。

一羽のカラスが吹き荒れる雨の中ほそぼそと立ち上る煙を目標にはばたいている。

 そして、火が沈下するのと同時にボンネットに着地すると、森の中に意味深にひと鳴き響かせると飛び去って行った。

 雨雲がより黒くなり雨を降らす。森一帯をより静寂にする。


 そう全ての出来事を無かったかのように降り続ける。


お読みくださりありがとうございます。

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