01 猫モーニング
えっと……続きです。
ここからは、楽しく書いていこうと思っているので、よければみなさん見て行ってください。
ある程度絵も描けるので、
気が向けば、絵も載せていきたいな~なんて思っています。
「……」
僕は空を飛んでいた。空高くからこの大地を見下ろし、自由に、ゆっくりと飛び回っていた。
青い空の中を自由に飛び回る。
「きもちいい」
風が優しく包み込むように、僕の体をなでていく。
「やっぱり、空はきれいだなぁ」
自由に、自由に飛び回っていた。
右手を動かせば風が吹き、左手を動かせば雨が降った。すべては僕の意のままに動く。
「にゃ~~」
突然、僕の前に一匹のネコが現れた。黒いネコだ。なんだろう?
ネコは必死に鳴いていた。何かを言おうとしているように見えた。
「――――」
「??」
よくきこえない。もう一度言って。
「――――」
「……」
やっぱり聞こえない。何でだろう。自由に動けるのに、ネコには全然近づかない。
それに、耳が痛い。なんだろう、だんだん意識が遠のいていく……
◆ ◆ ◆
「……ガブッ」
目が覚めると、僕は耳をかまれていた。
突然現れたネコ耳を付けた天使が優しく耳を甘噛みしてくれた――――わけではなく、もうこの家で生まれてから5年がたとうとしている、うちのネコにだ。
「ッツ!?い、いてぇェェ~~~~!!おい、シロ」
生まれたばかりの頃は甘噛み程度で済んだが、生後2年となると普通に痛い。
ちなみに、シロというのはうちの猫の名前だ。色が白いからシロ。単純な理由だ。
「おい!!耳噛むなって言ってんだろ、シロ!!」
「にゃ~~ん」
「てめぇ、言いたいことがあるんなら言ってみろよ!!」
「にゃ~~、にゃ~」
当然、ネコが話せるわけがない。高校生にもなれば、それくらい理解している。でも、こんなことを言うのにはちゃんとした理由がある。最近発売された首輪型のネコの言葉を日本語に直して話してくれる『ネコネコ話せる君』という胡散臭い商品を先月買ってしまったのだ。そしてつけてみると――――見事だまされた。時々、可愛らしい女の人の声で「おなか減った」「気持ちいい」とか、言うぐらいだ。まあ、考えてみれば、ネコがそんなにものを考えてるわけがないことぐらいわかるはずなのに。(いや、最初からわかってたんだけど、ついノリで……)
それに、この首輪、無駄に大きい。大きさ調節が50段階できる。
(どれだけでかいネコがいると思ってんだ??)
猫だけじゃない。これだけ大きければ、サイだって、象だってつけられるんじゃないか??
しかし、この商品、なぜか結構売れているらしい。謎の売れ行きだ。まったく意味が分からん。
期待しているわけではないが、一応スイッチを入れてみる。
「何かしゃべれよ」
「お腹減ったにゃ~」
やっぱりこれだ……。これでなぜ訴えられない??どこぞのクレーマーが今頃頑張っているのだろうか。
「はぁ~~、結構高かったんだぞ、それ」
「お腹減ったにゃ~」
「もっとほかのことを言ってみろよ。ってか、語尾につける『にゃ~』っていうのがなんか腹立つんだよな」
これで、姿が人型なら完全に萌えキャラなのだが、こいつはただのネコだ。ネコにはさすがに萌えないよな。
「お腹減ったにゃ~。お腹減ったにゃ~」
「おなかが減ったなら、妹にもらえばいいだろ」
こいつ、なぜかいつも僕のところに来る。新手の嫌がらせか!!
「お腹減ったにゃ~。お腹減ったにゃ~。お腹減ったにゃ~」
「わかったよ黙れよ!!ったく、たまには自分の部屋で寝ろよ」
僕の家は普通ではなくて、家にネコのための部屋がある。犬小屋みたいな感じではなくて、普通の部屋。しかも、僕の部屋より大きい。
起き上がろうとすると冬の乾燥した、冷たい空気に包まれた。
(寒い……布団に包まりたい。)
そんな欲求が僕を支配する。冬は毎日こんな欲求との戦いだ。いっそのこと、ミノムシみたいに布団を常備したいとさえ思う。まあ思うだけで、しないし、それで外に出る勇気はない。
「お腹減ったにゃ!!」
「わかってるよ!!」
少しイライラしながら、僕はリビングに向かった。
(今日は~~金曜日か……学校いかないとな)
「あ~~さむ~~」
今は11月の終わり。冬である。寒くないわけがない。そしてこれからもっと寒くなる。
「おはようお兄ちゃん。また、シロと遊んでたの?いいな~~」
妹の日月木金はすでに起きていた。(完全に僕たち兄妹は名前で遊ばれている。と、少なくとも僕はそう思っている)
中学1年生で、いつも髪をツインテールにしている。身長は145㎝ぐらいで体重は……黙っておこう。
ちなみに、僕は何ヘアーというものはない。適当だ。言うならば、無造作ヘアーというやつか??まあ、自分なりにこだわりがあるんだけど、誰もわかってくれない。
「遊んでねえよ。こんなの、お前に変わってくれって感じだ」
「え~~、なんで~~??わたし変わってほしい~~。なんでお兄ちゃんのとこばっかり行くの??」
「しらねえよ。シロに来てくれって言えばいいじゃねえか。」
世の中そううまくはいかない。まあ、高校生風情が世の中を語るにはまだ早すぎるが、まったくもって理不尽だ。
(なぜおれのところにくるんだシロ!!妹の言うことをきいてやれよ!!)
「ねえシロ~~。明日はわたしのところに来てよ~~」
「お腹減ったにゃ~」
「ねえねえ~。ごはんあげるから~~」
「お腹減ったにゃ~」
木金とシロがそんな会話を何度も続けていた。よくも飽きずに毎日話しかけられるな。少しイライラする。
「お前、遅刻するぞ」
「え~、だってシロが~~」
「お腹減ったにゃ~」
シロがそういった瞬間、僕の中のリミッターが外れかけたが、何とかおさえた。
「……おい……、もうシロにつけてる機械の電源切っていいか?」
「え~~、かわいいのに~~。」
どこがだよ!!と、思いながら僕は電源を切った。
(悪いな、木金。このままにしておくと、僕の怒りはお前に向かいそうだったんだ。)
「にゃ~~」
そして、家族に平和が戻った。
親は二人ともいつも朝早くに仕事に出てしまう。帰ってくるのも遅い。必然的に、家にいるときはほとんど妹と二人っきりだ。それでも、結構楽しく暮らしている。
(べ、別に、僕は妹と二人でいることを喜ぶような変態ではないぞ。確かに妹はかわいい。色白でたれ目で小さくて、年の割には胸があって、「お兄ちゃん」と、言って、いまだにくっついてくる。正直かなりうれしい。
だが、そういう感情は持っていない……はず。ただ、仲がいいだけだ。そういうことにしておいてほしい。)
「学校行くのめんどくさいな。瞬間移動が使えたらいいのに」
「またそんなこと言って~~。お兄ちゃんは現実を見なさい」
「はぁ~い」
そういいながら、僕は靴を履いた。
(ホントに、瞬間移動か空が飛べたらいいのにな~~。って、空?なにか忘れてるような気が……、まあいっか。)
「じゃあ、僕は学校へ行くから。ちゃんと家のカギを閉めてから学校へいくんだぞ」
「わかってるよ~。私だってもう子供じゃないんだから~」
玄関まで見送りに来た妹は、ぷりぷりと怒っている。
僕にとってはまだまだ子供だ。というよりも、いつまでも子供のままでいてほしい!!
「そうだな~。木金はもう大きいもんな~」
「うぅ~~。大人だもん。胸だって大きいもん。そのうちに、お兄ちゃんなんて簡単に惚れさせちゃうんだから」
(まったく、かわいいやつだ。)
「そうか、楽しみにしてるよ。じゃあ、行ってきます」
そういって、妹との楽しい会話を惜しみながらドアを開ける。外は雲一つない青空が広がっている。
「ちょっと待って、お兄ちゃん。今日雨降るから、傘持って行ってね」
「ん?今は雲ひとつないみたいだけど……まあ木金が言うんなら間違いねえな」
昔から、こいつの天気予報は外れた事がない。
「全くどんな魔法を使ってんだ??」
「魔法なんて使えないよ~~」
少し大きめの傘を取り、僕は家を出た。
「いってらっしゃ~~い」
「いってきます」
後ろで、妹がずっと手を振っている。いつまでこんなことしてくれるんだろうなぁと、時々寂しくなる。
寒く乾いた空気の中を僕は学校へと歩き出した。
ホントはもっと妹との会話をさせたかったのですが、
怒られるのは嫌なので、やめておきます。
書き方として、行と行の間をあけた方がいいんですかね??
感想など、待ってま~~す。