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 全体的に木で作られた校舎。

迷子になりそうになるほど大きいその学校にはたくさんの教室があった。

それと同時に、たくさんの生徒もいた。生徒数は数えられないほど多くい。小中高が全て一緒になっているんだ。建物が違えど人数は、えげつなくなるだろう。

そして、この建物は「高校生」専門の建物だ。全員十五歳〜十八歳までの少年少女。

 この童話の学校に通う者たちは皆、寮で過ごす。学校内に建てられた施設で過ごし、仲間の絆を深めるために寮を作ったらしい。

そんな学校の廊下は今、すごく大混雑していた。

 みな、早足に荷物を持ちながら廊下を移動する。もはやこれは廊下というより、都会の道と言った方がいいだろう。

 移動する者たちの顔は皆険しい。荒い息を立てながら、人混みをかき分けながら、歩く。

「ちょっと、どきなさいよ!」

「あんたこそ邪魔よ!

私は、授業に遅れないようにしないといけないんだからね!」

 人数が多いからなのか、移動教室にもかなりの負担がかかる。この人混みに巻き込まれ、怪我した人もいるくらいだからな。

 そんな中を一人の少女が静かに歩く。

 音を立てずに、周りの音を静まらせるかの様に。

その少女は短い黒髪を持っていた。子供体型の彼女はダボダボの制服を着ていて、長めのスカートを静かに揺らしていた。何より彼女を見たとき、一番最初に目に入ったのはその「顔」

 笑った白いお面をかぶり、顔がいっさい見えなかったのだった。明らかに怪しすぎる。不審者と疑われてもおかしくないだろう。

 そんなお面の少女の姿を見た生徒は、まるでバケモノを見たかの様に目をまん丸く開き、後退りした。

 少女が廊下の真中を歩き始めると、皆怪訝そうな顔をしながら皆は廊下の端へとよる。

 汚いものをみるかのように口を押さえ、嫌な顔を浮かべる。

あんなにうるさく、ごちゃごちゃしていた廊下が一気に静かになり、真中が開けた。


 少女はそのまま歩き続ける。下を向きながら思い足取りで。


「ねぇ、黒雪さん?」

 ハキハキとした少女の声。それはプリンセスの声と言っても過言ではないほど、綺麗な声だったのだが……。どこか厳しく、そして意地悪な雰囲気が醸し出されていた。


――まただ。


 少女は足を止め顔をゆっくりと上げる。

顔をあげた目の前には、同い年ぐらいの少女がいた。

 白い肌に綺麗な長い金髪。下の方で少し巻いた髪をなびかせる。綺麗なブルーの瞳にキャシャな体型。驚くほどに整っている顔立ち。

しかし、目はつり目で、全体的に厳しそうな雰囲気をまとっていた。

そんな彼女は黒雪と呼ばれた少女を嘲笑うかのように話し始める。

「あなたいつまでそのお面をかぶってらっしゃるのですか?」

馬鹿にする彼女に対抗する様に、黒雪は強めの口調で返答する。

「別にいいですよね?僕がこのお面をかぶりたい。それが理由です。何か問題でも?」

黒雪が首を傾げると、彼女は意地悪な笑みを浮かべ、上品に口元を押さえた。

「あら、ごめんなさいね?私てっきり、あなたの顔が醜いから隠してるんじゃないかと……。

皆に見られたくないから、醜い悪役になりたくないから……だと思っていましたので」

「……」

 黒雪は彼女の言葉を聞き黙り込む。まるで、お面をかぶる理由を当てられたかのように。


――綺麗に生まれてきた君には分かるはずないよ。顔のせいで誰にも愛されない僕の辛さはさ。


「あれっ……黙り込んじゃうんですね?もしかして、私……当てちゃいました?あなたがお面を被る理由?

それはそれは、申し訳ありませんねぇ。

ただでさえ汚れた血を持っていらっしゃるのに、醜いだなんて……ねぇ、可愛そうだと思わない?」

ニヒルな笑みを浮かべ、意地悪な彼女は目線を横へとずらす。周りの人にイエスと言わせるために仕向けているようだ。

 彼女の考えを悟ったかのように、周りはそれに便乗する。

「本当、かわいそうですね」

「白雪さまの言う通りですね」

「みんな、白雪様に拍手を!」

 盛大で、悪意のこもった拍手が廊下に鳴り響いた。白雪と呼ばれた少女は困ったふりをしながら手をあげた。

「もう、私は当たり前の事を言っているだけですよ!私に拍手だなんていりません」

しかし、その困り顔には嬉しさがにじみ出ていた。彼女を一言で表すとすれば……、そう、悪魔なんかが一番お似合いだろう。

 そんな白雪は自分の腕に着いていた腕時計を見つめ、焦った様な高い声を出した。

「大変!湊との約束の時間に遅れてしまうわ!急がないと」

彼女は急ぎ足で廊下を走り、黒雪から離れていった。

 湊とは、この白雪の許嫁。王子の血を引いている、美少年だ。誰にでも優しく、そしてキラキラの笑顔を振りまく、この学校のアイドル的存在なんだそうだ。

 黒雪はそんなのには一つも興味ないらしいが、ほかの女子は違う。

 彼を見ただけで鼻血を出す。手を振られたらハートが射抜かれ、倒れる。そんな影響を持つやつだ。


――そんな奴と今日会う約束をしているのか……おかげで助かった。湊って奴に感謝だな。


 黒雪は少しほっとしたかのようにため息をつき、胸を撫で下ろした。

しかし、これで終わりではない。


「おい」

 どすの効いた、恐ろしい声が黒雪の脳内に響き渡る。

黒雪が振り返ると後ろには、恐ろしい大男がいた。その後ろには何人もの冷たい目線が黒雪を襲う。


「早く」

 男が一言言うと、黒雪は首を傾げる。何を言おうとしているのか分からないのだろう。「早く」という単語だけでは何を伝えたいのか分からない。

 しばらく沈黙が続くと、男は顔を真っ赤にして大声をだす。


「早く、消え失せろって言ってんだ!悪役がよ!底辺の人間は口を開くんじゃねぇ!」

 黒雪は肩を落とし、下を向いた。そしてすぐに歩き出し、その場から消え去ろうと、不器用に走り出した。


――結局、カースト。

上下関係と僕の祖先が……僕の人生を縛りつけるんだ。


 


 いい忘れていたが、この世界には「カースト」というランクがある。

王子やヒロイン、主人公などは上位ランク。

脇役やサポート役などは中位ランク。

そして、一番下で誰からも嫌われ、決して誰にも好かれない。それが

悪役。

 これらは全て生まれた瞬間に決まる。王子やヒロインの子孫だったら上位ランク。みんなに崇められ、愛でられる。

そして、悪役の子供として、生まれてきたら……。

自分がどんなにいい人で、何も悪い事をしてい無くても。下位ランクとなる。

 誰にも好かれずに、愛されずに、嫌われながら一生を終えるのだ。

 何で悪役が一番下なのか……それは、物語で罪を犯した罰を与えるためだそうだ。

しかし、その子供達は何も悪い事をしていない。

 なんとも、残酷な世界なのだろう。



黒雪

 下位ランク。

「白雪姫」の悪役。悪いお妃様の子孫。

年齢

十五歳

(高校一年)

犯した罪

 無し


白雪

 上位ランク

「白雪姫」の主人公。白雪姫の子孫。

年齢

十五歳

(高校一年)



 上位ランク

「シンデレラ」の王子。王子の子孫。

年齢

十五歳

(高校一年)

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