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二つ目の衛星

 月。それは地球にとっての唯一の衛星………のはずだった。ある日、二つ目の地球の衛星が突如としてオレたち人類の前に姿を現した。その衛星には民が住んでおり、その民と思われる者達が地球を侵略しにかかった。

 現れた衛星の民らは未知の力を使い、地球人類は歯が立たず、誰もが地球は終わりだと思わされたその時、侵略者たちの体が突如として崩壊していった。

 その後の研究で、その衛星の民は姿を現した月の光に体が耐えられずに崩壊してしまうということが分かった。後にその衛星は「ジェネシス」と呼ばれるようになった。さらに、ジェネシスが現れた後に未知の力に目覚める者が現れ始めた。人はその者たちを「ウェイカー」と呼ぶ。

 時はジェネシスが現れてから12年が過ぎた。


「フナトー! 起きなさーい!」

 母さんの呼ぶ声がする。なんだ?あぁ、もう朝か。学校行かなきゃだな。

 昨日遅くまでゲームをしていたせいでまだ眠い。頭が痛い、吐き気もする。明らかに睡眠時間が足りていないのが身に染みて分かる。実際、空が明るくなり始めた頃に寝たため、一~二時間程度しか寝ていない。まさに自業自得というやつだ。

 今日は学校を休みたい気分だが、母さんに言えば必ず理由を聞かれる。そうなれば明け方までゲームをしていたことなどすぐにバレてしまい、朝から母さんの怒鳴り声が家中に響き渡ることになるだろう。結論を言えば、オレは学校に行くしかないのだ。

 朝の身支度を終えたオレは、リビングで母さんが用意してくれていた朝ご飯を食べ始める。

 オレの名前は(そう)フナト、現在中学三年生の14歳だ。

「フナトも明日で中学校卒業ね!」

「あー、そういえばそうだったね」

 今日は三月十七日。そして明日の三月十八日はオレの通う中学校の卒業式だ。そしてさらに、明日はオレの十五歳の誕生日でもあるのだ。まさか中学の卒業式と誕生日が重なるとはな…。

「明日で十五歳か」

「どしたのーお兄ちゃん、何か思うとこでもあるの?」

 オレにそう聞いてきたのは妹の(すい)だ。推は現在十三歳で、オレとは二学年離れた中学一年生。オレは推と母さん、そしてオレの三人暮らしだ。

「いや別に何も」

「ほうー? 今嘘をつきましたね~。お兄ちゃんは嘘をつく時に下を向く癖があるのでバレバレで~す」

「うるせーな! 早く飯食えよ…」

 推のいう通りオレは嘘を付いている。推は昔から観察力に優れていて、オレの嘘などはすぐに見抜かれてしまう。

 十五歳、思うとこがないわけじゃない。

 時は(さかのぼ)ること12年前。

 突如として現れた地球の二つ目の衛星。通称「ジェネシス」。ジェネシスの民による侵略を受け、地球は窮地に陥ったが、月の光により、ジェネシスの民は一度滅びた。そしてその後に現れたのが「ウェイカー」と呼ばれる未知な力に目覚めた人類たちだ。今でも地球に生き残りが潜んでいるというジェネシスの民に唯一対抗できる人間はウェイカーのみだ。つまりウェイカーになれば、ジェネシスの民と戦うことができる。そして、未知な力に目覚めるのは十三歳の誕生日から15歳の誕生日の前日までと決まっているらしい。つまり、今日に力が目覚めなければオレがウェイカーになる確率はゼロになるという訳だ。

 これが、俺たち一般人にも明かされているジェネシスとウェイカーに関する数少ない情報だ。

「さてはお兄ちゃん、まだウェイカーになりたいとか思ってんの?」

「…思ってねぇよ…」

「その反応は図星だね」

 その通り。図星だ。オレはウェイカーになり、人類のために戦いたいと十五歳の誕生日の前日になった今でも考えている。

「やめときなさい、フナト。ウェイカーになんてなったら命が何個あっても足らないわ」

 母さんの言うようにウェイカーになった人が次々と死んでいるという噂が後を絶たない。

「お母さんのいう通りだよ。仮にお兄ちゃんがウェイカーになったとしても、きっとすぐ死んじゃうよー。だってお兄ちゃん喧嘩とかめっちゃ弱いじゃん」

「そんなことないだろ! 俺だって力が発現してウェイカーになれば、強くなって戦えるさ」

「どうだかねー。そもそもウェイカーになれる確率なんてほんの一握りなんだから」

 推が言うようにウェイカーになれる確率は非常に低いらしく、約一万分の一の確率だそうだ。オレと同級生の人間は日本全国に約百万人おり、噂が本当ならオレの学年からは約百人しかなれないということになる。

 まあ、普通に考えて現実的な確率とは言い難いな…。

「ほら二人とも!早く食べていかないと遅刻するわよ!」

「うわほんとだ。もう行かなきゃ」

「お兄ちゃんお先―! 行ってきまーす!」

「いってらっしゃい! 気を付けてね」

 オレは最後にコップに残っていたココアを口に流し込む。

 さて、オレもそろそろ行ってくるとするか。それにしても眠い…。

「じゃあ母さん、行ってくるよ」

「行ってらっしゃい!」

 玄関のドアを開け、家を出たオレは学校に向かって歩き出す。

 冬も明け、少しずつ暖かくなってきているとこの頃感じていたが、今日は少し肌寒い。

「明日で卒業か」

 あまり実感が湧いてこない。長かったようで短かった三年間の中学校生活はついに明日で終わりを迎える。思い返しても、特にこれといった思い出もないな。今後の進路だが、既に地元の高校に進学することが決まっている。

特に悩むことなく、近いからという理由で選んだのだが…、もう少し考えてもよかったかもな。

 そんなことを考えている内に学校に着く。

 自分の席に座り、いつも通りボーっとして朝のホームルームが始まるのを待っていると、教室のドアが勢いよく開く。

「おはようみんな! 今日も元気に登校しているな!」

 そんな朝からバカでかい声で挨拶をしてきたのは、オレのクラスの担任の山本(やまもと)先生だ。二年の時からオレの担任で、見た目も行動も明らかに熱血体育教師そのものなのに、担当教科は国語という事実。その上授業はめちゃくちゃ分かりやすい。未だに違和感しかない。

「じゃあホームルームを始めるぞ! 明日でみんなも卒業になった訳だが、その前に一つ、大事な報告がある」

 大事な報告? 今更何を言うことがあるのだろうか。今日は卒業式の予行練習をして、午前中には下校する予定だが…。

「今日、藤沢が登校してないことは見て分かるな?」

 藤沢(ふじさわ)(かい)。オレと同じクラスの男子生徒だ。勉強ができ、スポーツ万能、おまけに学級委員もやっているクラスの中心人物だ。オレみたいな根暗なやつにも優しく話しかけてくれる。まさに物語の主人公みたいな奴だ。藤沢が一体どうしたというのだろう。

「藤沢だが、今日の朝に連絡があり、ウェイカーとなったそうだ」

 山本先生の一言でクラスがざわめきだす。

「まじかよ先生! ウェイカーってあのウェイカーだよな? てことはよ…、藤沢は未知な力に目覚めちまったってことか!」

「よく分かったな真島(ましま)! つまりそういうことだ!」

 そんなやりとりを山本先生としているのはクラスメイトの真島(ましま)英明(ひであき)だ。彼もまた熱血系の体育会系男で、その性格相まってか、山本先生とは仲が良い。

ウェイカーになったってことはそういうことだろ…。と、心の中でツッコミを入れる。

「それに伴ってなんだが、藤沢は明日の卒業式には出られなくなったそうだ」

「えーまじかよ! 藤沢居ねえのかよ」

 真島を筆頭にクラスから不満が飛び交う。それもそのはず、藤沢はクラスの人気者だからだ。もし、ウェイカーになったのがオレだったなら、クラスのみんなは驚きはするだろうが、卒業式に一緒に出られないことに対して、不満は出ないだろう。そのくらいオレは、クラスでは居ても居なくても変わらない存在なのだ。

「仕方のないことだ。明日藤沢はいないが、気持ちは一つさ! 卒業式が一緒じゃなくても藤沢は俺たちの胸の中にいるだろ!」

 そんな山本先生の熱い言葉…、少々臭い言葉でホームルームの時間は終わり、その後に卒業式の予行練習をして、今日の学校は終わりを迎える。

 オレは帰路に着き、特に寄り道することもなく家に到着する。時刻はまだ十二時前。推は一年生のため、午後も授業。母さんもまだ仕事だ。

 オレはリビングのソファに寝ころび、今日の出来事を思い返す。

藤沢がウェイカーになった。驚いた。だが、意外にもオレは冷静だった。恐らくそれは、藤沢という人間がオレの中でウェイカーになるべくしてなったという風に解釈していたからだろう。

「まさに主人公ってやつだな、藤沢は」

そんなことを呟き、目を閉じる。昨日のゲームによる夜更かしで睡眠が足りていなかったためか、そのままうたた寝してしまう…。


 初めまして! 駄目ンタルbotです! 双光音の第一話を読んで頂きありがとうございました! 初めて書いた作品のため、至らないところは多々あるとは思いますが、最高に面白い作品を書いていきたいと思っておりますので、是非! 第一話に続いて第二話、三話…と読んで頂けたら幸いです! 今後ともよろしくお願いいたします!

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1話読んだけどすごい!!ほんとにすごいね!続き気になる!!
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