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第五章 真成

翠蘭を迎えに来た張浩

そうと知っていながら深い愛ゆえに張浩に翠蘭を会わせることにした劉煌

はたして翠蘭の出した結論とは?

「ことの発端は私の娘が流行り病で亡くなってしまったことでした。」


 そう始めた張浩に、翠蘭はその大きな目を更に大きくして、「父様(ちちさま)にはお嬢様がおられたのですか?」と仰天した。


 すると、張浩は目を細めて愛おしそうに翠蘭を見ると、大きく1度頷いてから延々と語り始めた。


「そうだよ。蘭といってね、とても可愛い子でした。その子が6歳の時、流行り病にかかり、これでも西乃国の華舵の流れをひく一門で若手のホープと呼ばれていた私でしたが、教わったことを忠実に守って治療を行ったのに、治療の甲斐なく娘は亡くなってしまった。そしてそれに悲嘆した妻も同じ病にかかり、私の全力の治療の甲斐なくあっという間に娘の後を追うように亡くなってしまった。私は独りぼっちになり、自分が学んできた医学とはいったい何だったのだろうと思いました。自分の最愛の家族一人助けることができなくてね。それで私は師に異を唱えたところ、すぐに破門になってしまった。それからなんとか本当に人を救える医の道がないかと、旅を続けながら模索しました。そうやって私の行きついたところは、今の医学体系からかけ離れているので、医者はみんな私を馬鹿にしましたがね、一門の兄弟子の華景だけはわかってくれて、私を応援してくれました。ただ、西乃国も中ノ国も医学的にはとても閉鎖的でして、まあ、他の医者に何といわれようと、患者が全部答えを出してくれるのでね、そうなると私への風あたりも強くなっていきました。その点、東之国の人はオープンで、しかも私が新医道を始めた頃でも、あの国は呪術師が医業を兼務してましてね、医者がいないも同然の国でした。それなので、私が西乃国から中ノ国に流れ、さらに東之国に着いた時には、都の大店やら公家やらも評判を聞いて、内緒で私の治療を受けるようになっていました。そして、都に私の住む家まで用意してくださり、いつの間にか皇帝陛下までお忍びで治療に来られるようになりました。

ある日いつものように皇帝陛下を診て薬の調合をしていましたら、家の前を下男が真っ黒の馬を連れて行ってましてね。何気なく見ると、その馬の上に何かがペタっと張り付いていて、なんか気になってよくよく見ると、なんとそれは小さな女の子だったのですよ。私は慌てて家から飛び出しまして、下男に注意すると彼も全く気づかなかったと。その女の子を馬から降ろしてとりあえず私の家に入れましたら、その子は一目散に壁に向かって走り、壁に手をつけると貼ってある人体経絡図をしげしげと眺め、なんと袖をめくって自分の手三里を押し始めたのですよ。そしてまるでその効果がわかったみたいに、目を丸くして、うんうん頷きましてね。その姿を見て私はもう無理やり忘れていた娘を思い出してしまって、思わず蘭と呼んでしまったのです。そうするとその女の子はニッコリ笑って「なあに?」と言ったのです。私はたまらなくなってその場で跪き女の子と目線を合わせていると、「蘭蘭何故ここにいるのだ?」と言う皇帝陛下の声が聞こえたのです。そこで私はここにいる女の子が皇女様だとわかったのです。」


 劉煌はここで簫翠蘭の方を見ると、翠蘭は彼の方は見ずに床の一点を見つめて呟いた。

「覚えているわ。私が6歳の時よ。お馬さんが背中に乗っていいよって言ってしゃがんでくれたの。だから乗ったのよ。そうしたらお馬さんが立ち上がって歩き出したの。お馬さんの背中に抱きついていると楽しくてそのまま目をつぶって背中に抱きついていた。帰って父上に怒られたわ。その話をしたら、これからはお馬さんと話してはいけないと言われたけど、私のお友達はお馬さんしかいなかったから、、、」


「それであの後何回も馬に乗って来られたのですね。」

 張浩が目を細めてそう言ってから劉煌に向かって怪訝そうな顔をして聞いた。

「失礼ながら皇帝陛下におかれましては、この話が嘘だとは思わないのでしょうか?」


 劉煌はチラッと翠蘭の方を見てから張浩に向かって「他の人の話なら嘘と思うでしょうが、この方なら全く不思議ではありません。未だに馬と話しますから。」とサラッと答えると、翠蘭は両肩を上げて劉煌に向かってふふと笑った。


 張浩はそれを見て益々眉間にしわを寄せ、目を細めて続けた。

「皇女様は医学にご興味がおありだったようで、うちに来るたびに医療用具で遊ぶようになりましてね。私も娘が戻ってきてくれたみたいで嬉しくて、皇女様が遊び疲れたら手を引いて皇宮にお連れしていました。ところが、秋になったある日、皇帝陛下が初めて皇女様を連れてうちにいらして、何かと思ったら、皇帝陛下にもしものことがあった時に皇女様を逃がしてほしいとおっしゃられたのです。私は何がなんだかさっぱりわかりませんで、いつものように皇女様に陳皮を渡して薬研で遊ばせている間にお話しをうかがったのです。それは、想像を絶するものでした。皇帝陛下は弟君が皇帝の座を狙っているので、西乃国のようにいつか自分が殺されるかもしれないとおっしゃられ、、、」


 そこまで言うと、張浩は申し訳なさそうに劉煌を見てからまた語りだした。

「西乃国は弟君が皇帝陛下、皇后陛下、妃殿下そして皇太子殿下全て皆殺しにしましたので、おそらく(東之国の)皇帝陛下の弟君も同じことをするだろうと。それなので、何が起こっても皇女様が生きていけるようにしてほしいとおっしゃられたので、私は皇女様はとても医師としての素質に優れていらっしゃることをお伝えしたのです。それで陛下は医師教育を皇女様に受けさせることにし、毎日うちで門下生と一緒に学ぶようになったのです。ところが、皇女様が15歳の時、うちの門下生の毛というふとどき者が皇女様に執着し、、、」


 張浩がそこまで言ったところで、翠蘭は凄く嫌そうな顔をして劉煌に向かって忌々しく告げた。

「ストーカーになったのよ。」


 すると劉煌は翠蘭を見て、これまたサラッと「なるほど、君の男嫌いは実はもっと根が深かったんだなぁ。」と呟いたので、張浩は二人を見て困惑気に、「あの、、、大変失礼とは存じますが、お二人は、、、」と聞いた。それに簫翠蘭はまるで太陽のように眩しく輝いて笑うと「劉煌殿は私の婚約者よ。」と張浩に向かって屈託なく言った。


 張浩はこの回答に仰天して、飛び上がって叫んだ。

「こ、婚約…婚約ですと?皇女様は巫女にならねばならぬ身、婚約などもってのほかです!とにかくこの張浩と一緒に国に帰って、皇帝陛下と摂政殿下に無事なお姿を見せなければ!」


これに簫翠蘭はまるで自身の中に白凛を発見したかのように反論した。

「あら、さっき父様は、ご自身が今の医学体系がおかしいと考えて独自の道を行かれたとおっしゃったのに、私には私が独自の道を歩むのを反対されるのですか?」


 張浩には従順だった翠蘭のあまりの変貌ぶりに彼が呆気に取られていると、さらに翠蘭は波に乗った。


「私は東之国の皇女が巫女になるという掟はおかしいと思うの。古今東西どこの国でも、そんなこと掟にしている国なんて他にはないわ。百歩譲って、東之国がずっとそれで来ているならともかく、私が生まれるまで千年近く巫女が居なかったのに何も問題がなかったんだから、そんな役いらないじゃない!」

 彼女は勝ち誇ったようにそう宣言した。


 この回答にぐうの音も出ない張浩は、拳を白くして耐えていたが、意を決して劉煌をキッと睨むと、劉煌は思わず「ち、朕じゃないです。」と言って、両手を振った。


 簫翠蘭は勝利を確信して「とにかく、私は巫女にされるなら帰らないわ。」と言うと、まるで小さな子供のようにプイッとあっちを向いたので、張浩は「皇女様、来月は御父上の3周祭です。」と奥の手を出した。


 東之国は民族も言語も西乃国や中ノ国と同じなのだが、こと宗教・文化に関してはこの2か国とはまるで異なる。


 中ノ国と西乃国はよく似た文化で衣食住の違いと言えば西乃国は羊肉をよく食べ、肉といえば羊なのに対し、中ノ国は羊肉は殆ど食べず、肉は鳥か猪であること位で、衣服も住環境も大差ない。


 ところが東之国は他国と食文化で共通していることと言えば米が主食なくらいで、味付けもまずスパイスは使わない。衣服も建物も違えば、宗教も独自の国教がある。


 東之国の首都ではようやく張浩の医術が広まり改善したものの、大部分の地方は未だに呪術師が医師の役目を司っているほど、神への信仰の厚いお国がらだ。中ノ国と西乃国は儒教ベースの国であるが、弔いは仏教寺院の管轄で、満2年後が三回忌であるが、東之国国教では満3年後が葬儀に次いで最も重要な弔い行事で3周祭と呼ばれていた。


 それ故、張浩の言った3周祭という言葉に明らかに動揺している翠蘭を見た劉煌は、翠蘭に助け船を出した。

「張先生、確か先生は現在の摂政から翠蘭を守るために彼女を逃がしたのですよね。それなのに、なぜ今はその摂政の所に彼女を連れて行こうとしているのですか?」


「それなのですが、ストーカー事件が起こってしまったので、皇女様を皇宮内に留めておくしかなくなり、私は皇宮の医院である経易坊専属の御典医長になることになりました。そこで確かに皇帝陛下が心配されるのは仕方がないと思ってしまうほど、皇宮内が皇帝派と弟君派の真っ二つに別れていることに気づいたのです。簡単に言うと、皇帝陛下は新しい考えを取り入れる革新派、それに対して弟君は伝統を重んじる慎重派で、お二人が言い争いをしていない日はありませんでした。そんなある日、皇宮の皇帝陛下一家の住まわれる天寓御所が火に包まれたのです。私は10年以上毎日のようにこの日が来ることを予測しながら生きてきましたので、すぐにシュミレーション通り皇女様を逃がしました。そして、私は天寓御所の近くで怪我人の治療に当たっていました。すると、炎の中から男の子を担いだ人が現れると、「必ずその子を救ってくれ!」と言ってから頭から水を被り、すぐにまた炎の中に飛び込んだのです。私は言われた通り、すぐにその男の子の治療に当たりました。そこに、また先ほどの人が、たぶん女の子であろうと思われる顔と手がくっついてしまった遺体を背負ってきました。そしてまた私に「この子も必ず救ってくれ!」と言ったのです。私は申し訳ないが、この子は既に死んでいることを伝えると、その人はその場に膝まづいて慟哭しました。私がよくよくその人を見ると、その人の顔も手足も焼けただれていて、私は慌ててその人の治療を行いました。そしてその人こそ何を隠そう私が犯人だと思っていた皇帝の弟君だと気づいたのです。弟君は、火事に気づくとすぐに皇帝を助けに炎の中に飛び込んだのですが、冬だったこともあり乾燥のせいか火の回りが早く、皇帝の居室には近づけ無いことに気づくと、すぐに皇太子であった簫翠葦殿下の居室に行かれ、そこに倒れていた簫翠葦殿下を外に運ばれ、また火の中に戻って、、、」

ここまで張浩が言った時、翠蘭はポツリと言った。

「私を助けに行ったのね。」


 そう言った彼女の瞳は憂いに満ち、誰が見ても憔悴しきっていることが明らかだった。すると、張浩がいることを気にもせず、劉煌はすぐに隣に座っている翠蘭の肩に手をかけ、心配そうに翠蘭を見た。


 張浩は目の前の二人の様子を複雑な思いで見ながら「はい。それで皇帝陛下が亡くなり皇太子殿下が即位され、弟君は摂政になりました。」と小さい声で言った。


 これに劉煌は、張浩が皇太子の死を隠しているとすぐ気づいたものの、憔悴しきった翠蘭はボーっとしながらも「じゃあ、どうして火事になったの?」と聞いた。


 張浩が「そ、それは、、、」と茶を濁していると、翠蘭は「あれは叔父が火をつけたのではなかったの?」と両眉毛をしかめながら聞いたが、張浩は、それには「いいえ。」とハッキリ答えた。

 翠蘭はふっと笑い、「でも私は、この前、楊偉人に襲われたのよ。それでも叔父が犯人ではないと言うの?」と問い詰めるように聞くと、張浩は真っ青になり、「何ですと?楊偉人が。い、いったいどこで。」と狼狽した。

「中ノ国でよ。それも3か国の祭典が終わった直後よ。そこで私は叔父に会っているわ。」

 翠蘭がそう言うと、張浩は、ガクッと前に両手をつくと、黙りこんでしまった。


 その様子を見た劉煌は、翠蘭の手を握って彼女の注意を自分にひきつけると、翠蘭の耳元で何か囁いた。翠蘭は顔ずらして劉煌を見ると、うんと頷き、劉煌は何も言わずに立ち上がると、そのまま部屋を出ていった。


 劉煌はすぐにその部屋の屋根に登ると、百蔵がオウと手を上げた。劉煌は頭を横に振りながら、百蔵の側に来ると、ジッと下をうかがった。


 下では、翠蘭が張浩の手をとって真摯に聞いていた。

「先生、葦葦(簫翠蘭の弟)はどうしているの?」


 張浩は目を泳がせながら答えた。

「だから、皇帝になったよ。」

「それならどうして、麒麟(簫翠蘭の従弟)が翠葦(簫翠蘭の弟)と名乗って皇帝のふりをしているの?」


 それを聞いた張浩は真っ青になって「そこまで知っているのか。」と愕然とした。


「私は葦葦の姉よ。弟か弟じゃないか位わかるわ。いくら陵虎と葦葦がそっくりだったって。」

 そう言う翠蘭に張浩は本当に辛そうな顔をしながら「翠蘭殿下、申し訳ございません。」と言って涙を流し始めた。翠蘭は張浩の手を摩りながら、「助からなかったのね。」と寂しそうに呟くと、「既に虫の息だったのだ。」と張浩はむせび泣きながら答えた。


 しかし翠蘭はその張浩の涙に怯むことなく、今度はガラリと変わり厳しい口調で責めた。

「私がそれに気づいたから、叔父が楊偉人に私の口封じを命じたのではなくて?」

「私だって陛下にずっとそう言われ続けてきたから、あれから一緒に居ても、簫翠陵(簫翠蘭の叔父、先帝の弟)はいつまで本性を隠しているのかという疑惑の念がずっとあった。それが消えるのに2年もかかったのだから、殿下が疑うのは無理のないことだと思います。。。実は火をつけた犯人は楊偉人」


 それを聞いて真っ青になっている翠蘭に向かって張浩は容赦なく続けた。

「楊偉人は簫翠陵を皇帝にしたかったのだ。それで、皇帝を殺せば簫翠陵が喜んで皇帝になるだろうと思い込んで犯行に至ったのだ。それを知った簫翠陵は半狂乱になったよ。実は彼は皇帝になんてなろうとは全く思っていなかったんだ。ただ、国を良くしたいが為に、皇帝に進言していただけだったのだ。それを周囲が、毎日喧嘩していると勘違いしてしまい、皇宮内が家臣レベルで2派に分断されてしまっていただけだったのだ。簫翠陵は、簫家の直系が全員死んでしまったことへの自責の念が強く、自分の息子を直系の唯一の生き残り簫翠葦として皇帝にしたのだ。自分の息子は後日病死したことにしてね。そして自身のケロイド治療をしようともしない。自分への戒めとして残しておくと、毎日その顔を見て、あの悲劇を忘れないようにと。簫翠陵は元々優しい人だ。だから自分のためにと思ってやってしまった楊偉人を犯人として揚げることができなかった。皇帝一家殺しだから、犯人とわかれば彼だけではなく一族全てが打ち首になるからね。だから、法曹が動く前にすぐ楊偉人を追放して逃がしたんだ。まさか、中ノ国にいたとは。」


 うつむいている翠蘭の顔をうかがいながら張浩は説明した。

「殿下には、信じがたい話だと思うが、私は2年簫翠陵の元で御典医長をしていて悟ったのだ。先帝は先帝で、家臣からあることないこと告げ口され、弟君を信じられなくなったのだろう。何よりも西乃国の政変がいけなかった。あれが先帝を完全に弟君がいつか敵になると思い込ませてしまったのだ。だから私は殿下に危険は無いと確信したので、1年前退職し、連れ戻すために旅に出たのだ。だが、まさか華景が亡くなっていたとは。」そして彼ははああと大きなため息をついた。


 屋根の上では、百蔵が口元に拳をつけて「こりゃー凄い話だな。皇帝スキャンダルの無い国ってあるのかな。」と呟くと、劉煌はムッとして「あるさ。朕がそういう国を創るんだ。」と言うなり、また百蔵より先にドロンと消えてしまった。また忍者の御株を劉煌に取られた百蔵は、思いっきり苦虫を嚙み潰したような顔をしてから、「皇帝が忍者だって十分なスキャンダルだわい。」と捨て台詞を吐くと、彼自身もドロンと消えてその場から居なくなった。


 ~


 簫翠蘭は劉煌を探したが邸宅内に劉煌が見当たらないので、外に出て、今朝、自分が劉煌からのプロポーズの返事をした砂浜に行ってみた。


 すると、そこには今朝と同じところに劉煌が海の方を見て座っていたので、翠蘭は膝まづいて大好きな彼の背中に静かに抱きつくと、彼の首に両腕を回し彼の肩に自分の頭を乗せた。


 劉煌は、それでも体勢を全く変えることなく彼女の腕に自分の手を乗せると、「話は終わったのか?」と、彼女の方を見ないで海を見つめたまま聞いた。


 翠蘭も体勢を変えず「ええ。」と答えると、二人はそのままの状態でしばらくジッとしていた。


 海の波のザーザーという音のクレッシェンドとディミヌエンドの繰り返しだけが木霊するその場所で、突然劉煌が、口を開いた。


 「君は海に日が沈むのを見たことはないだろう?」


 翠蘭は劉煌のその声で、彼から身体を離すと、彼の左横に進み彼との間に隙間を開けずに座って海を見つめながら「ないわ。」と答えた。劉煌も目線を変えずに海を見続けながら、翠蘭が隣に座るとすぐに彼女の肩を抱いた。


 翠蘭は、劉煌の左肩に頭を乗せると、彼の方を向いて「必ず戻ってくるわ。」とだけ言った。


 劉煌はようやく翠蘭の方を振り向き「君が安全に行き来できるようにするから。」と言うと、彼女は顔を彼の胸にうずめ両腕を彼の胴体に回して「ありがとう。」と言って彼を強く抱きしめた。


お読みいただきありがとうございました!

またのお越しを心よりお待ちしております!

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