第三章 模索
いつもお読みいただきありがとうございます。
一難去って、また一難。
大誤解してしまった張麗。
さて劉煌はどうやって彼女の誤解を解いていくのか?
美味しそうな匂いが漂っている方向に顔を向けた孔羽は、大きな手提げ重箱と酒瓶を担いだ人が銚期門から入ってくるのを見つけた。
そして振り返ってからその人を二度見すると、その人物は他でもない五剣士隊の一員で彼の幼馴染の白凛だった。
孔羽は、こんな時分にらしからぬ物を担いでいる白凛が気になり、、、それ以上に手提げ重箱の中身がもっと気になり、、、迷わず彼女を目掛けて走り始めた。
短い脚で息を切らしながら走ってきた孔羽は「なんだ。お凛ちゃんじゃないか。どうしたの今頃皇宮に来て。あ、太子から何か頼まれたの?」と自分も食べたそうに指をくわえて手提げ重箱を見た。
白凛は、手提げ重箱の中身が孔羽によって荒らされるかもしれないという危険を素早く察知すると、口も目も真一文字に細めて孔羽を見た。彼女は一瞬担いでいる酒瓶を凶器にするということが頭をかすめたが、気を取り直して、孔羽を一にらみすると「戦闘開始よ。」と意味不明の一言を残して、指くわえモードから一転してキョトンとした孔羽をそこに置いたまま、天乃宮とは違う方向の皇宮の奥に向かって進んでいった。
お喋りが不得意なため、緊張のあまり肩を怒らせたまま、無意識に自分の気で髪が逆立った状態で歩く白凛に、周囲はおののいて彼女を遠巻きにしていた。無事に彼女が友鶯宮の手前迄来ると、なんとそこに友鶯宮を見上げている男が一人立っていた。
”全く、太子兄ちゃんたら、私に頼んだのにやっぱり自分でやる気になったのかしら。それだったら、それでいいわ、私やりたくないし。”
と思いながら、その男に近づくと、その男は劉煌ではなく、梁途だった。
「あんた、何でこんなところに突っ立ってるのよ!」
緊張のあまりいつもよりぶっきらぼう度がさらに高くなっている白凛がそう叫ぶと、梁途は後ろからの声に驚いて飛び上がった。
そして相手が白凛だと気づくと、慌てて「け、警備?」と語尾を上げて言った。
白凛は、一瞬今度こそ担いでいる酒瓶を凶器にしようと思ったが、思い直して「どいて、邪魔よ。」と彼に向かって目を吊り上げながら冷たく言い放った。しかし、梁途はそれにもめげず「どこに行くの?」としつこく彼女に迫った。
”うざい”
そう思った白凛は、さらに目を吊り上げながら一言で梁途を袈裟懸けにすることに決めた。
「あんたが行きたいけど絶対行けない所よ。さあ、帰った、帰った。しっしっ。」
そう告げると、いーだという顔をして見せてから、友鶯宮の外階段をさっさと上って行った。
白凛が、階段を上りきったところで振り返ると、まだ梁途が同じ場所に突っ立っていたので、彼女は髪を逆立ててギロッと彼を睨みつけた。それで観念したのか、梁途は、すごすごとその場から立ち去った。
梁途の姿が見えなくなってから、白凛は、そこで大きく深呼吸を3回すると、やおら扉の方に向きなおして、トントンと扉をノックした。
しばらくすると、パタパタと中から足音が聞こえその音が大きくなると、扉がギーッという音を立てて5cmほどうすく開いた。
その隙間から張麗がおずおずと外を伺うと、なんとそこに白将軍が立っているではないか。
驚いた張麗は、扉をすぐに大きくバンと勢いよく開けると「白将軍、どうぞ、どうぞ。」と言って、白凛を中に招き入れてからすぐに扉をきつく閉めた。
張麗は、「さ、さ、どうぞ、どうぞ。」と天井の高い、応接セットのある広い部屋に白凛を通し、白凛に椅子を勧めてから、お辞儀をすると「白将軍、申し訳ございません。ここには水屋が無くてお茶一つお出しできない失礼をどうぞお許しくださいませ。それから、先日は大変なところを助けていただき、誠にありがとうございました。心より御礼申し上げます。」と一気に言ってから、更に深くお辞儀をした。
白凛は、張麗の上品なたたずまいと礼儀正しさに圧倒され、戦闘モードの緊張が一気に取れてしまったが、ガールズトークをしなければならないというプレッシャーは取れることはなかった。それどころかむしろそのプレッシャーはどんどんと白凛の中で膨らんでいった。
白凛は、未だ頭を上げない張麗に
「あ、ち、張麗さん、堅苦しいのは抜きにしましょう。あなたも座って。今日はお近づきのしるしに、女同士で、お、、、ぅお、、ぅお喋り?...でも?…と思って来ました。」と、途中で詰まったりイントネーションがおかしくなりながら、一気にそう言うと、ふーと大きく息を吐いた。
そして、気を取り直して、なぜかまず酒瓶をドーンとテーブルの上に置いた。
それを見た張麗は、ニッコリ笑って「嬉しいです。将軍はおちょこ、ぐい呑みどちらの大きさが良いですか?」と聞くと、白凛は「おちょこで。実はそれほど強くないの。」と応えながら、手提げ重箱を開けて料理をテーブルの上に乗せ始めた。
張麗は、「わかりました。それではちょっと失礼します。」と言ってから立ち上がると、酒器を取ってくるつもりなのか、部屋から出ていった。
すぐに張麗はお盆を持って部屋に戻ってくると、おちょこと水を白凛と自分の席の前に置き、お盆を自分の横に置くと、徐に「はい。」と言って白い包みを白凛に渡した。
白凛は、「これは?」と言って包みを開けると、中には小さな黒い丸剤が10粒入っていた。
張麗は「失礼します。」と言ってからその包みに手を伸ばすと、黒い丸剤の5粒を取って自分の口に入れ、水でごくっと飲み干してから、ニッコリ笑って説明した。
「これは、悪酔いしなくなる薬なんです。肝を保護してくれるので、お酒を飲む前に飲んでおくと、お酒に呑まれることがなくなります。最も、酔いの気分を味わいたいなら飲まない方が楽しいと思いますが。」
「へえ~、そんなのがあるの。」白凛は感心しながらそう言ったものの警戒しているので薬には手をつけず、「とりあえず、食べましょうか。」と言って、張麗に箸を渡した。
すると張麗が突然口火を切った。
「実は、私は小さい頃から周りに同じ年ごろの女の子がいなかったので、あまり女の子同士のお喋りが得意ではないんです。ごめんなさい。」
それを聞いた白凛は、自分自身で高くしていたハードルが一気にさがり、「私も!」と嬉しそうに言うと、お互いのおちょこに酒を注いで、
「ガールズトーク苦手組がいることにカンパーイ。」
と言って、張麗のおちょこに自分のおちょこをコツンと当てた。
張麗もわかってくれる女性に初めて出会ったことから、嬉しさのあまりすぐにお箸を置くと、おちょこを持ち上げて「かんぱーい!」と言って、一気にお酒を飲み干した。
それからは、いったいこの二人のどこが、ガールズトークが苦手なのかと思うくらい、ピーチクパーチク静かな時間が全くないくらいお互い切れまなく話し続けていた。
「でも意外でした、将軍も周りに同い年の女の子がいなかったなんて。」
張麗がお酒でほのかにピンク色になった顔でそう言うと、完全に出来上がった白凛が管を巻いた。「いなくはなかった。いなくはね。でも私が女の子と遊ぶの、嫌だったのよ。だって女の子ってさ、ままごとが好きじゃない?だけど私は剣術が好きだったから。」
白凛は最後の1滴まで逃さず手酌すると、遠くを見る目をして、「だから女も男も子供も大人もみーんな私を嫌ったわ。まるで変な物を見るような目で私を見てたの。」と言って、最後の酒を一気に飲みほした。
「だけど、たった一人、そんな私のことを受け入れてくれる人が居て、私が剣術が好きだって言ったら全然笑わずにいてくれて。それどころか教えてくれるようになったの。そして最初の女将軍になるんだって言う私の夢も、皆馬鹿にしたのに、全然馬鹿にしないで、絶対なれるって言ってくれたの。」と言うと、鬼も恐れると言われる女将軍の目から大粒の涙がポロッとこぼれ落ちた。
張麗は、白凛に手ぬぐいを差し出すと、白凛は首を横に振ってから自分の袂で涙を拭いた。
「将軍は凄いですね。小さい頃の夢を叶えられたんですね。」と言って、張麗ももらい涙を手ぬぐいでそっとぬぐった。
「それより凄いのは彼よ。」と白凛は、酒で真っ赤になった顔を上げて張麗を真直ぐに見るとそう言った。
張麗が、「彼って?」と聞くと、白凛は一言「太子兄ちゃん。」と答えた。
「タイシ兄ちゃんって?」
「劉煌陛下。今の皇帝陛下のことよ。今思うと小さい時から凄い器の人だった。こんな私を受け入れてくれて、教えてくれて、励ましてくれたあああああああ。」
そう叫ぶと完全に白凛の涙腺は崩壊し、オンオン言って泣き始めた。
”まさかこんなところで劉煌殿の話が出てくるとは…あの時白将軍が劉煌殿の味方についたのは、そういうことだったのね。”
張麗はそう思いながら、目の前で泣き崩れている白凛を見守った。
白凛はひとしきり泣くと、ヒックヒック言いながら、力説した。
「太子兄ちゃんは、昔っからほんとーーーーーにいい人なのよ。だからうちの親なんてさ、昔っから太子兄ちゃんに色目使えって、私が5歳の時からよ!5歳!」
白凛はそう言うと、張麗に向かって、5本の指を広げた掌を見せながら、信じられるか?と言わんばかりに嫌な顔をして見せた。
張麗は皇帝の性的趣向を確認したかったので、「それで、将軍は使わなかったんですか?」と思い切って聞いてみた。
白凛はふっと笑うと「だって太子兄ちゃんには好きな人がいるもの。」と言って、酒で完全に座っている目で張麗をジッと見た。
張麗はゴクリと唾を飲み込むと、「それは、お、男の方ですか?」と小さい声で聞いた。
白凛は、ガクっとすると、「は?」と目をさらに座らせて言った。
張麗は、そこに誰かいるはずもないのに、右左と見ると、白凛に顔を近づけて、
「私聞いたんです。そ、その、陛下が小高御典医長と、そ、その、、、懇意にしているって。」
と真面目な顔をして言った。
白凛は、酔っているせいか、その意味がわからず、難しい顔をして「は?」と聞き直すと、張麗は更に白凛の方に近づいて、「女官達の間で、凄い噂になっているんです。そ、その陛下が、、、女性には興味がなく小高御典医長を寵愛していると。」と小さい声で最後の部分は早口でさーっと言った。
あまりのことに白凛は、しばらく呆気にとられていたが、段々と相好が崩れ、ハハハと笑い出すと、最後にはキャーハッハッと言って、腹を抱え、テーブルを右手で何回もバンバン叩きながら、涙を流して大笑いしだした。
張麗は、この白凛の気分の変化についていけず、何が起こったのかわからないまま、「将軍、なんで笑っておられるのですか?」と聞いた。
白凛は状況を説明しようと思っても、張麗の顔を見ると、笑いがこみあげてきて押さえることができない。
結局何回か説明しようと張麗を見ては、ブーっと吹き出して大笑いを繰り返した後、彼女は張麗を見ないで説明しようと思いついた。
白凛は、クククと笑いながら、張麗に背を向けて、「あ、それは絶対ない。」とだけ言うとまたブーっと吹き出して笑った。
張麗は、その答えに納得していないようで「そうなんですか?女官たちの話では、髪や着衣が乱れたままの小高御典医長が皇帝陛下の御所から飛び出して走っているのを何度も見ているってことですけど。」と言うと、白凛は、女官たちの想像力の豊かさに脱帽しながらも、笑いを押さえることができなかった。
白凛は、笑い過ぎで喉をヒーヒー鳴らしながら、張麗に背を向けて、「太子兄ちゃんかわいそうに。」と呟いてからまた笑うと、
「私が命をかけてもいい。太子兄ちゃんと小高御典医長はそういう関係では絶対ないわ。」
とガラガラ声でハッキリそう言った。
そして、そう言うや否や、今度は大きな欠伸をした。気が付けば、もう日付が変わった時間であった。
そろそろ帰ると言ったものの、酒が回って千鳥足の白凛に、張麗は慌てて、「もう遅いですし、ご主人様をお呼びしましょうか。」と言いながら手を貸すと、白凛は、怪訝そうな顔をして「誰、それ?」と聞いてきた。
「大将軍ですよ。」と大真面目に張麗が言うと、白凛は思いっきりばつの悪そうな顔をして、「あ、あれね。あれ、、、あれは違うの。私たち、、、」とまで言ってから、突然膝から落ちて「私たちまだ結婚してないのおおおおおおお。」と言いながら今度は床に突っ伏してワンワンと泣き始めた。
張麗が白凛を抱きかかえて起こすと、白凛は今度は張麗に抱きついて大泣きした。
張麗は、この白凛の崩壊の理由はよくわからなかったものの、ただその場に一緒に座って、何も言わずに白凛の背中をずっと優しくさすり続けた。
しばらく泣き続けた白凛は、腫れた瞼と真っ赤に充血した目で張麗を見ると、「泣かないでって言わないの?」と聞いた。
張麗は白凛を抱きしめると、「言わない。好きなだけ泣けばいいと思っている。」と言った。
白凛も張麗を強く抱きしめ返すと「ありがとう。」と言ってまた肩を震わせた。
「我慢しなくていいよ。」と張麗が言うと、「ありがとう、ありがとう。」と言って白凛は泣き続けた。
~
翌朝白凛が目を覚ますと、まず目の上に氷嚢が乗っているのがわかった。
氷嚢を取り外して起き上がると、見たこともない部屋のベッドの上に寝ていたことがわかった。
そして昨晩のことを思い出し、ここは友鶯宮ではないかと思った。
身支度を整えて、部屋の外に出ると、ちょうど張麗が外から朝食を持って帰ってきたところだった。
「おはよう。ごめんなさい。あなたのベッドを占領しちゃったみたいで。」
白凛はばつが悪そうな顔をして言うと、張麗は首を横に振りながら
「おはようございます。いえいえ、この建物は私一人だと広すぎて怖いくらいなので、昨日は将軍が居てくださって心強かったです。朝食お持ちしたので、どうぞこちらへ。」と言って、昨晩の応接セットの部屋に白凛を通した。
白凛が椅子に腰掛けると、張麗が静かに、「外に大将軍がいらっしゃるのですが、お連れした方がいいですか。それとも、」と言いかけている間に、白凛は驚いて「え、何で彼がいるの?」と聞いた。
それに張麗はゆっくり微笑んで「心配して一晩中探していたそうですよ。」と告げると、白凛は、険しい顔をして黙ったまま張麗の横を素通りするとそのまま外に出ていってしまった。
しばらく白凛の行動に呆気に取られていた張麗だったが、白凛が戻ってくる気配がないことに気づくと、気を取り直して外の様子をうかがいに扉をそっと開いてみた。
すると外では、先ほど彼女が李亮を見つけた場所で二人が声を潜めて話し込んでいた。
張麗はそのまま知らないふりをして扉をしめようかと迷っていると、李亮が張麗に気づき手を上げた。張麗は扉から半分身体をだして頭を下げてから
「よろしければ中でお話しされたら。私は出かけますので。」と二人に向かって声をかけた。
二人はお互いに顔を見合わせて、何か言ってから、友鶯宮の外階段を登ってきた。
張麗が扉を大きく開けると、二人は無言で入ってきた。
張麗が、白凛に「朝食は先ほどのところにあるから。」と言って外に出ようとすると、白凛が張麗の腕をむんずと掴んで「あなたもいて。」と言って張麗を引っ張っていった。
張麗がお粥を注ぎ分けてそれぞれに渡すと、二人とも黙々と食べ始めた。
張麗は何を言ったらよいのかと李亮を見たり白凛の方を見たりしながら思いあぐねていると、白凛が時折頭に手を当てているのに気づいた。
張麗は、「ちょっと失礼します。」と礼儀正しく言ってから、席を立ち、しばらくして戻ってくると、「二日酔いの特効薬です。」と言って白凛に昨日よりは少し大きな丸剤を1粒渡した。
白凛ははにかみながら「ありがとう。」と言って、今朝は何の疑いも無くすぐにそれを口に含んで、お粥で流し込んだ。そして「昨日もあなたの言う通り、先に薬を飲んでおけば良かったわ。まさかあんなに飲むなんて思わなかったけど。」と白凛がやんなっちゃうというような顔をして言った。
「先ほども話しましたけど、私は昨晩本当に将軍が居てくださって嬉しかったです。ここは一人では広すぎて。懲りずにまたいらしていただきたいです。」
それを聞いた李亮は、片方の眉を上げると
「張麗さん、そんなこと言ったら、コイツまた来ちゃいますよ。」と言った。それに張麗は嬉しそうに答えた。
「私は毎日居ていただきたいくらいですから。」
それを聞いた白凛は「本当?」と張麗に向かって聞くと、大真面目に「勿論です。」と張麗が答えた。
「じゃあ、越してくる。」
その爆弾発言に李亮が驚いて白凛に聞いた。「まだ酒入っているのか?」
すると白凛はいーだという顔を李亮にして見せた。
そんな二人をみながら張麗が
「将軍、では真ん中を共有スペースにして、東側西側に分かれませんか?どちらがよろしいですか?」と聞くと、白凛は間髪入れずに「西」と言ったので、「決まりですね。今後ともどうぞよろしくお願いします!」と張麗は本当に嬉しそうな顔をして言った。
李亮は思いがけない展開に、白凛に心配そうに聞いた。
「お凛ちゃん、親父さんの許可なく決めていいのか?」
すると今まで機嫌のよかった白凛は急に顔をしかめて李亮を罵った。
「父に許可を貰わないといけないのはあなたでしょ。」
そう言うと彼女はそっぽを向き、李亮は黙って下を向いてしまった。
この会話で張麗は、昨晩のあの白凛の崩壊の理由が少しわかったような気がして、何とも複雑な気分になってしまった。
また部屋が沈黙に包まれ張麗はオロオロしながらも、その日が火曜日であることを思い出すと、「今朝は10時から患者さんの診察なんです。」と彼らに全く関係のない話をした。
彼女が指導医になる話は聞いていたが、診察もするとは聞いていなかった二人は顔見合わせると、白凛が「どこで診察するの?」と聞いてきた。
張麗がこれに「靈密院ですよ。」と答えると、白凛が顎に手を当てて「じゃあ、うちの母も診て貰おうかな。」と言いだした。
「大丈夫ですよ。今日なら11時から13時の間でしたら何時でも診察できます。」と張麗がにっこり笑って答えると、「じゃあ、今から家に帰って母に言ってみるわ。」と言って白凛が立ち上がった。
それに合わせるように「送っていくよ。」と李亮がすぐにそう言って白凛に続いて立ち上がった。
二人を見送りながら張麗は、”人間は皆誰しも、何かしら他人に言えないことを抱えて、それぞれ苦労しながらも、自分で道を切り開いて生きていくのだな。たとえ白将軍のような素晴らしい方でも、、、”と感じていた。
”私も頑張らなくては。”
張麗は自らを奮い立たせた。
お読みいただきありがとうございました!
またのお越しを心よりお待ちしております!




