第2話 物語の始まり
…眩しい太陽の光がカーテン越しに差し込んでくる。何か新しいことが始まる、そんな予感のする朝。だが、胸の奥には奇妙な違和感が残る。何かが、頭から抜け落ちたような感覚だ。必死に思い返そうとするが、だめだ、思い出せない。不安を抱えたまま、いつものルーティンを終え、俺は外に出た。
街はいつも通りだ。活気に溢れ、人々は何事もなく日々を過ごしている。今日も変わらず、世界は輝いている。
「この世界はもう終わりだ!今こそ選択の時だ!全てが消え去る前に!」
広場の真ん中で見知らぬ男が声を張り上げていた。彼の背後には、ぼんやりとした異様な光が漂っている。彼の言葉には不思議な力があり、周囲の空気を引き締めるようだった。俺はつい彼の言葉に耳を傾けながら、周囲を見渡した。人々の反応は様々だ。気にも止めず仕事を続ける者、不安げに耳を傾ける者、あるいは笑いながら罵声を浴びせる者――しかし、俺の目に飛び込んできたのは、その群衆の中で不自然に歪んだ顔をした男だった。まるでゲームの「バグ」のように。
何かがおかしい。ここで俺は、空に異変が起きていることに気付いた。空が歪んでいる。平穏な日常が崩れ、何かが始まろうとしているかのような、その歪み。忘れ去られた記憶が、何か非常に重要なものであるかのような感覚が湧き上がってくる。
…この記憶を取り戻さなくては。突如として、そんな思いが心に浮かんだ。まるで俺が物語の主人公にでもなったかのような錯覚だ。そして、世界に生じた「バグ」を直さなければならないという使命感が芽生えてくる。俺はこの街を出て、旅に出る決意を固めた。
ここから、俺の物語が始まる。