第4話 金魚ヒーロー アルジェリーナ
頑張る。
「で、何でまた、シロハーマに来たんだ?」
港町のおしゃれなシーフードレストラン。俺フィッシュ・イナ・ザードは少女と話してた。
「私はアルジェリーナ・イル・ベルーダ。あんたは?」
「俺はフィッシュ・イナ・ザード。旅人さ。ちょっと、ゆっくり食えよ。」
シーフードレストランで海を見ながらくつろぐ俺と王女なのにむさぼり食うアルジェリーナ。
「私、テーブルマナー嫌いなの。」
「そ、そうか。」
カニやエビやカキを平らげる少女。まあ、悪くない。
見た目はピンク髪のロング、前髪はハネッけ。……少し露出狂かな。胸は小さいのに、スケスケ着るんだな。
「何よ。」
「何でもない。」
少女は料理を食い切って俺が支払う。はじまりの町の勇者のところで儲けたお金が役立つ。あいつら金勘定しなかったからなあ。
夜、浜辺を二人で歩く。
「私、家出したの。」
「そうか。」
「フィッシュは怒らないの?」
不思議そうに聞く、アルジェリーナ。
まあ、ワイも人の事言えず、前世でインキャしてたもんなあ。みんな好きに生きたらええ。
「私、決めた! フィッシュについてくる。」
「お前は何かスキルあるのか? 俺も冒険者だからな。守ってばっかでは冒険出来ない。」
アルジェリーナはナイフを二本出すとまるで手品のように振り回す。ソードダンスとスキルリンクをしてみせた。
「なるほど、戦闘スキルはあるんだな。」
「私は守られるの嫌いなの。」
多分昔襲われた腹いせで死ぬ気で覚えたんだな。努力家なんだな。裏で努力するタイプ。
こうして二人は宿に泊まった。遠い国の王女なのにここまで来れるとは、宿屋に慣れてるらしい。普通の宿屋でベッドも固いのに文句言わなかった。
頑張った。