表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
墜落都市  作者: emma
1/1

天空戦線

3006年4月

1人の少女の天空軍養成学校への入学が決まった

『114の少女』と呼ばれる彼女の天空軍学校への入学は世間を震撼させた



世界が天空都市と大地、天人と大地人の二つに分かれてから100年余り

さまざまな諍いがありつつも不可侵協定によって戦争は免れていた

しかし、今から10年前の2996年11月4日

2人の5歳の天人が好奇心から地上へ降りたった

そのうちの1人が不幸にも何者かによって殺害され、もう1人の生き残りの子供は世間から『114の少女』と呼ばれるようになった

そしてその日を境に世界は、細い糸で繋がれていた仮初の平和と別れを告げた



学校裏の広場、春の日にふさわしい暖かな太陽に木々の緑が揺れる

白い軍服の女が服の汚れも気にせず木にもたれて座り、遠くに聞こえる吹奏楽の音に耳を傾けていた

「君、新入隊生だろう?

これから入隊式なのにこんなとこにいていいのかい」

おそらく自分にかけられたのであろう言葉に顔を覆い隠していた制帽を取ると、太陽の眩しさに目を細める

目の前に立つすらりと高い影

白く長い前髪の間から覗く黒い目がこちらをじっと捉えている

白い軍服姿からして天空軍生であろう

「そっちこそ、入隊式なのに出席しなくていいんですか?センパイさん」

「ハハッ僕は先輩なんかじゃないよ」

こちらの悪態は気にもとめず愛想の良さそうな笑顔で襟のバッチを見せる

そこにはローマ数字で一本線

「なんだ、そっちもサボりなんじゃない」

「サボりじゃないさ

色々忙しいからね、式に出てる暇はないんだ

僕は刹那慧、これから5年間よろしくね」

図々しくも隣に座り握手を求める手を一瞥し再び制帽で顔を隠す

「隣に座ることを許可した覚えはないんだけど

忙しいんでしょ?とっととどっかに行ってちょうだい」

男は肩をすくめ、その場を立ち去った

「あれが噂の子かぁ

聞いてたより可愛い子だ」

愛想のいい笑顔で発した言葉は誰の耳にも届かず虚空に消えた

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ