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テニス少女1 U12  作者: コビト
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-0 プロローグ

私が一球打つごとに見ていた大人たちは必ず「うまいうまい」と言った。

中には私と打ってみたいという人もいて、一緒にラリーをするのだけど、私が打つショットが入ると大人でも返せないことがあった。

大人が小学2年生の女の子に「参った」というのが面白かったし、嬉しかった。

大人たちは私を見た。そして誉めてくれた。

私はテニスが大好きだった。


やがて一緒にテニスをする友達が出来た。

その子とはテニススクールは違っていたけど、家が近かったから休日には近所のテニスコートで一緒に練習をするようになった。

はじめはあまりラリーが続かなかったけど、お互いにどんどんうまくなってきて何球もラリーが続くようになった。

その子は私とのラリーが長く続くように丁寧に丁寧にボールを打ってくれた。私も丁寧に打とうとしたけど、たまに速いボールを打ってしまって、その度ラリーは途切れた。

そのうち私の速いボールがネットに掛かったり、コートに入りきらないことが多くなった。

そうなると大人たちの視線は私から離れて、その子に向けられるようになった。

そして私たちを比べて、今頃になって私よりその子のほうがうまいという結論を出した。


それでも仲が良かった私たちは2年生の冬に一緒に試合に出ることになった。それは大阪でランキングが付くような本格的な大会で、3年生はもちろん、4、5、6年生といった上級生もたくさん出ていた。

私は4年生と対戦して、打球は負けていなかったけど試合には負けてしまった。それでもお父さんもお母さんもすごくいい内容だったと誉めてくれた。

一緒に出ていた友達は3年生と対戦してあっさりと1回戦を突破した。2回戦は4年生だったのに、丁寧なテニスでそこでも勝った。

それからしばらく他の試合にも出たけど、その子は出る試合で必ず一度は勝った。

そして一度も勝てなかった私は試合に出るのをやめた。

テニスは好きだった。でも試合は嫌いになったから。



テニス少女U12 -0 

『プロローグ』



*冬の試合に出ているという6年生は早生まれの6年生です。


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