ゴルドの師匠
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ソウ太は手に入れた大きな家の前に来ていた。
外観は古びれて壁にヒビが入り今にも崩れだしそうな建物だった。
そこでソウ太はこの家に時空間魔法のアドバンス[過去]を使い、この家が新築だった時間まで戻した。
ソウ太は家に入ると玄関から5つの通路に別れて、左側の通路の奥に向かうとそこには大きな台所があり、調理器具は台所の壁に吊るして、食器棚には真っ白な食器が綺麗に並べて納められていた。
ソウ太は台所を見て満足そうに頷き、次に玄関まで戻り、右側の通路の奥に向かった。
そこには大きな食堂になっていて、部屋に大きくて横長い長方形のテーブルが1つ、その周りにしっかりとした椅子が10席用意してあった。
食堂からは大きな窓があり、外の景色を見る事が出来るようで、外の景色には何もない土地が広がっていたのでソウ太は後で観賞用の植物園でも作ろうかと考えていた。
次に玄関から真っ直ぐ行く通路に向かうと二階に上がる階段と左右に別れた通路になっていた。
ソウ太が二階に上がるとそこには寝室の部屋が10部屋あり、部屋に入ってみると大きなベッドが1床とその近くに窓がついていて、その窓から外に出るとベランダになっていて、そこからも景色が見えるようになっていた。
ソウ太は一階に降りて左右に別れた通路の左側の奥に向かった。
そこは大浴場のようで茶色の綺麗な外壁に浴槽は岩で囲まれていた。
右側の通路の奥は洋服をしまうクローゼットがある部屋になっていたが…ソウ太は服装にあまり興味がなかったけれども、ミュウなら喜んでもらえるかもしれないと思い、思わずニヤリとしていた。
ソウ太はある程度の部屋がわかったのでミュウ達を迎えに行こうと考えて、ミュウの気配を探すために探索の魔法を使った。
すると…ミュウ達3人はセンニチ町から北東に1万キロ離れた所に気配がして、ソウ太は不思議に思っていた。
ソウ太とミュウ達が別れた場所はカラット鉱山だったはずで、センニチ町からカラット鉱山は西に10キロの辺りだったのにと考えてソウ太は急に不安になり、ミュウ達の気配がする場所まで時空間魔法を使って瞬間移動した。
ソウ太がミュウの近くに現れるとドラゴンの姿でいたミュウ達は白いドラゴンと向き合っていた。
蒼然となったミュウは体を震わせて目の前の白いドラゴンを上の空でボーッと見つめていた。
ソウ太はミュウの体に触れたがミュウからの反応は無く、ゴルドとセシルの二人も目の前にいる白いドラゴンを見つめてカタマっていた。
ソウ太は不思議に思い、目の前にいる白いドラゴンを見ると、白いドラゴンとソウ太の視線が合うとソウ太は物凄い恐怖心で体を震わせた。
白いドラゴン)「お前がゴルドの娘と結ばれた者か…」
ソウ太は自分の[死]を予感して、ミュウ達3人を守らなくてはと思い、光の魔法でミュウ達を包み込んだ。
ソウ太は心の底からミュウ達の安全を願いながら魔法を使うとカタマっていたミュウ達は我に返ったようにソウ太の存在に気がつき、ソウ太の顔を見て必死な形相で訴えてきた。
ゴルド)「ソウ太!!ここはお前にとっては危ない!!だから、今すぐ逃げるんだ!!」
セシル)「ソウ太ちゃん!!逃げて!!」
ミュウ)「ソウ太!!お願い!!逃げて!!」
白いドラゴンはミュウ達が動き出した事に驚き、その切っ掛けを作ったソウ太を見て話かけた。
白いドラゴン)「お前は自分が死ぬかもしれない時に、自分の命よりも大切な人達の命を優先するのか?」
ソウ太は必死に歯を食い縛り、体を震わせて白いドラゴンを見つめて話しかけた。
ソウ太)「当たり前です。オラの事を家族だと言ってもらえた大切な方達です。オラの命で守れるなら…オラは幸せだよ。」
そう言い切ったソウ太を白いドラゴンは見つめて自身の殺気を抑えた。
白いドラゴン)「お前…変わっているな?元人間だろう?ワテが見るに…ワテ達の同族を食らって強くなった訳では…無さそうだな。フム…ゴルド!!良かろうワテもお前の願いを協力してやろう!!」
そう言われたゴルドは満面な笑みを浮かべてソウ太の体に触れてきた。
ゴルド)「ソウ太!!やったぞ!!これで俺達家族は安心してお前と一緒に何処でも住めるぞ!!」
いきなりゴルドにそう言われたソウ太は訳がわからず首をかしげるとゴルドはこれまでの事を話した。
ゴルドはセシルとミュウに自分の師匠の話をして、人間の住む町で生活するために師匠の協力をしてもらおうと話し、ゴルドの師匠にその事を伝えるためにこの場所までゴルド達が来たが、ゴルドの師匠は人間が嫌いであり、今まで同族が殺された事に対する苛立ちからゴルドの願いを拒否して、自身の強力な殺気でゴルド達を追い返そうとしたがゴルド達は大切なソウ太のために必死になってその場にとどまってお願いをしていた。
ソウ太はゴルド達3人に頭を下げて感謝してから白いドラゴンにも頭を下げた。
白いドラゴン)「ソウ太と言ったか…ワテの名前を教えてやろう。ワテはシルフィ…同族には女帝だの、美の龍神と言われておるが…他の種族からは死神だの、殺し屋だの、死の象徴だの言われておる。」
ソウ太はシルフィの姿を見つめて、感じたままに話した。
ソウ太)「お日様みたいに凄く優しくて暖かくて癒される感じがします。オラ…シルフィ様の側に寄り添いたい…」
ソウ太がそう呟くとミュウが女性の姿になり、ソウ太の胸ぐらを掴み怒り出した。
ソウ太はミュウの両手に触れて、ミュウの顔見つめて話しかけた。
ソウ太)「ミュウが無事で良かったよ…」
そう話したソウ太は涙を流して微笑んでいた。
ミュウはソウ太を力いっぱいに抱きしめて、自身の頭をソウ太の胸に擦りつけていた。
そこに真っ白い髪の女性がソウ太とミュウを包み込むように抱きしめていた。
ソウ太とミュウの二人はその女性と3人で抱きしめ合い、喜び合っていた。
白い髪の女性)「ミュウ…すまぬがワテにもソウ太とツガイになる事を良しとしてもらえぬか?」
ミュウはその女性の目を見つめて…悲しそうにして頷こうとしたが女性は慌ててミュウに伝えた。
白い髪の女性)「ミュウ!!勘違いしておる!!ミュウとワテの二人でソウ太の嫁に…この言い方はおかしいのぉ~…つまり、ワテもソウ太の嫁になりたい。ミュウはソウ太の嫁でワテもソウ太の嫁になり、この先、ソウ太を守っていかないか?と言う話だっちゃ。」
ミュウとソウ太の二人はキョトンとして女性を見つめていると、女性の背後に四匹のドラゴンが現れて人の姿に変化した。
四人の人達)「シルフィ様!!いけません!!私達同族を殺して自身の力の糧にするこんな種族なんかとツガイになるなど、お考え直してください!!」
その時、白い髪の女性から[死]の殺気が四人を包み込んだ。
ソウ太は慌てて四人を守るように白い髪の女性と四人の間に立ち自身の体を盾にした。
ソウ太は死の殺気を受けて意識を失いその場に倒れた。
ミュウ)「いやぁ~あああああ!!」
ミュウの叫び声が木霊した…
その光景をゴルドとセシルの二人は呆然として見て、白い髪の女性と四人も驚愕してソウ太を見ていた。




