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テストで書いてみた

作者: worknet

夜の街の裏の世界


ここは、朝まで明りの消えない夜の街の裏の世界

そんな街の人気のない裏通りの世界の話


僕はむしゃくしゃしてお目当ての箱をあさりに行く。

体がまだ小さくて青くて蓋のついた箱の中をあさるのは大変だけど箱の中にはご飯がたくさん入っていた。


「わーい、いただきますにゃ」


猫であることに幸せを覚える。そんなある日……


「おい、ちょっと待てよ。いいもん食ってるじゃねえか」


「にゃ!」


声のする方に視線を移した僕が目にしたものは、ふさふさの毛で立派なヤツ(猫)だ。

体がとても大きくなんとも威圧感のあるヤツ。しかし、立派な毛が少々汚れてくすんでいた。


「おまえ、この飯がどうしていつもここにあるのか知っているのか?」


「知らないにゃ」


「これだから、最近の若い奴は……」


ふさふさの毛で立派なヤツ(猫)は遠い目で語り始めた。


「これは、人間が作りすぎたために出したゴミなんだ、考えられるか?食べきれない飯を作っては捨てるを繰り返しているんだぜ」


「んー分かんないにゃ、ご飯がおいしく食べれるからいいにゃ」


「そうか、ただな、ひとつ言っておくがそれ"毒"だからな」


「……にゃんですと!」


ふさふさの毛が立派なヤツ(猫)はあろうことか、こんなにも美味しいご飯を毒といいやがる。

さては、こいつは僕のスキを見て横取りしようとしているな。

渡してなるものか、ここは僕の縄張りだにゃ!


「なんだよ、そういってお前、これが欲しいんだろ?」


僕は絶対に渡さない決意を決めて、一番おいしそうなパンに肉が挟まれた食べ物を見せつける。

それを見たふさふさの毛が立派なヤツ(猫)は、遠い目をしながら俺を見て憐れむ


「フッ」


「にゃー、笑ったな!」


「いや、まだまだ若いなって思ったのさ」


「美味しいものは美味しいにゃ」


「だがな、そんなものばかり食べていると早死にしてしまうのは確かなんだ、噓じゃないんだぜ」


キリッとドヤ顔で言う。


「そうにゃのか」


あまりに自信に満ち溢れているふさふさの毛が立派なヤツ(猫)の言葉が気になる。

こいつはもしかして、僕の分を横取りするために近寄ってきたのではないのかもしれない。

少しばかり心許した僕は、ふさふさの毛が立派な(略)に聞いてみた。


「どうしてそんなことを僕に教えるにゃ?」


「お前がまだ幼いからさ」


「僕は立派な猫にゃ」


「まあ、聞けよ。俺様は、再度美人の膝の上で撫でられたいんだ」


何かおもむろに遠い目をしながらふさふさの毛が立派なヤツは語り始めた。


「俺様は昔、この界隈でNo.2のお嬢に飼われていたんだ。毎日、その人の膝の上で頭を撫でられながら幸せの日々を過ごしていた」


「じゃあ、その人のところに帰ればいいにゃ」


「ふっ、この体を見てみな。デカいだろ」


「大きいにゃ」


「俺様はお嬢の出してくれるご飯をたらふく食べたのさ。残したらお嬢が悲しむからな。だから出されて物はすべて食べた」


「それって幸せにゃ」


「だが、プレミアムな健康食品は俺には合わなかった!」


「にゃ~?」


「そう、俺様はあの味が薄い缶詰だけでは足りないために客が残す食べ物まですべて食べたのさ」


ふさふさの毛が立派なヤツは大きな体を奮い立たせてこぶしを握り僕に訴えかける。

だが、急に大きな体が小さく小さくなっていく様は哀愁が漂っていた。


「だが、俺様は大きくなりすぎたために捨てられた……」


「そうにゃんだ……」


「だからこそ、俺様のような目に合わないためにもお前に教えているんだ!」


なんということだ。

僕はこんなにいいヤツを疑っていたのだ。

いつしか、僕の目から熱いものが流れていた。


「僕もプレミアムの猫缶が美味しくないからここに来ていたんだ。しかも、今日はプレミアム猫缶を蹴とばしてしまったにゃ~」


僕は白状した。自分はとても悪いことをして飼い主を困らせたのだ。

だが、ふさふさの毛が立派なヤツは僕を慰めてくれた。


「分かってくれればいいさ」


「ありがとうにゃー」


「いいっていいって、俺様と同じ道を歩む猫がまた一匹救えたんだ。喜ばしい事じゃないか」


「うっ、兄貴~」


僕は感動していた。これからは味が薄くても健康にいいプレミアム猫缶を食べることを心に決めた。


「ところで、そのパンと肉はもう食べないほうがいいから俺が食ってやるよ」


「うん、僕はもう食べないにゃ、それにここにも来ないにゃ」


「大丈夫だ、後は俺様に任せな(しめしめ、まんまと引っかかってくれたぜ)」


僕はこのあたりの界隈で一番美味しいものが入っている青い蓋が付いた箱をふさふさの毛が立派なヤツに譲ることにした。


「ああ、俺様にまかせな……って、あれは!」


「コタロー、コタロー」


路地の入口からコタローという声が聞こえる。僕は少しばかり怯えていた。


「あ、あれはNo.1のお嬢の美咲さん!チャンスだ」


ふさふさの毛が立派なヤツは入り口に向かって礼儀正しく鳴く


「にゃ~」


「コタロー?」


「にゃ~」


「コタロー!!!」


路地の入口から僕たちに近づいてきたのは、近くのお店で働いている女の人だ。


「にゃ~(よし、俺様をそのコタローと間違えて連れて帰ってくれ!)」


女の人は、ふさふさの毛が立派なヤツの横を通り過ぎて僕を抱きかかえる。


「にゃ!!!(なんですと!)」


「よかった、コタロー探したんだよ」


「にゃ~~(猫缶蹴ってごめんなさい、見捨てないで)」


どうやら僕の飼い主の美咲ちゃんは許してくれているみたいだ


「にゃー(僕いい子になるよ、美咲ちゃん)」


「それじゃあ、お店によって帰ろうか」


小さな僕はいつもの特等席である美咲ちゃんの胸の谷間にすっぽりと入り美咲ちゃんのお店へと帰っていった。


「にゃ~~~~(ちくしょー!)」


なぜか、ふさふさの毛が立派なヤツが悔しそうに鳴いていた。


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