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ステラと魔法と少女と日常  作者: A.2
「魔法があるなら読者の脳に直接私のプロフィールぶち込めないかなぁ」
1/4

その1

 私の名前は星宮(ほしみや)ステラ。小学六年生だ。

 おや? 小学生と聞いて興奮した変態ロリコン野郎の気配がしたぞ? ダメだぞ。手を出そうなんて考えては。特に私に手を出そうとするのはよろしくない。なぜかって? 手を出そうという行為が犯罪だからというのは当然として、私が全知全能にしてこの世を統べる最強最悪の魔法少女、ワンダーステラだからだ!

 びっくりした? そうだろうそうだろう。そりゃあ驚くだろう。

 なので、私がどれだけ可愛い金髪碧眼美少女でも手を出すのは絶対にダメだぞ☆

 もし悪いことをしようものなら……、お前の貧相な下半身のそれ、ちょん切っちゃうぞ♡


「ってステラちゃんさっきからいったい何ぶつぶつ言いながらノートに書いてるの?」


 なんだよ、せっかく筆が乗ってきたのに。

「何って決まってるだろ。私が魔法少女として現れた時のプロローグを作ってるんだよ」

 私に声をかけてきた人物は私のノートに綴られた文を見る。見るや否やなぜかプルプル震えだした。どうしたんだ? 寒いのか? 今六月だぞ。


「こんな魔法少女嫌だよ! 小学生の発想じゃないよ! 卑猥だよ!」


 突然大きな声で騒ぎだした。

 お前も小学生なのに卑猥とか難しい言葉使うなよ。

 さっきから私が一生懸命ノートを書いている前で、声を荒げて騒いでいるこいつは流川(るかわ)李莉(りり)。通称リリだ。私と同じ小学六年生で同じクラスでもある。次いでに言うと、クラスではあまり目立たない、っていうか存在感が無い。よく先生に出席確認で名前を飛ばされるほどだ。クラスメイトの九割くらいには名前を憶えてもらってない哀れな奴である。見た目は悪くないし、艶のある黒髪は肩にかかる直前くらいのセミロングで可愛らしいのに。神様は時に残酷だ。どれだけ優れた容姿をしていようと、周囲に認識されなければその秀でた才は無いのと同じ。つくづく哀れな奴よ。


「ステラちゃん。なんでさっきからあたしを凄く可哀想な人見る目で見つめるの?」


「ああ、ごめんごめん。大丈夫、人間生きてりゃその内いいことあるさ」


「?? なんであたしはステラちゃんに慰められているの?」


「そんなことよりも何か私に用があったんじゃないのか。用があったから魔法少女としての行動理念をノートに記すのを邪魔してまで話しかけてきたんだろ?」


「あれが行動理念って……、犯罪者をカモにした犯罪者にしか見えないよ」


失礼な奴だな。悪に対して生ぬるい対応でいいわけないだろう。私の理念は悪・即・斬だ!


「そんなことより要件は何なのさ」


「ああ、うん。あのね。午前中の授業で移動教室で理科室に行ったでしょ?」


 確か三限目だったか。


「そうだな。桂木先生のカツラが外れかかっててヤバかったな」


「確かにあれはヤバかったけど、私の言いたいのはそのことじゃない!」


「なんだよ。そのことじゃないのかよ。早く言えよ。昼休み終わっちゃうじゃん」


「ステラちゃんが話を逸らすからでしょ! 移動教室の時に家の鍵を落としちゃったから探してほしいの!」


「なんだ、そんなことか。自分で探しなよ」


「探したよ! だけどどこにも見当たらなくて、だからステラちゃんのところに来たんじゃん!」


「ええ……。職員室の落し物入れとかにも届いてなかったのか」


「うん。廊下も教室も全部見たけどどこにも無かったの。だからステラちゃんの力が借りたくて」


 うむ。めんどくさっ!

 なぜ私がそんなことをしなけりゃならんのだ。


「リリ」


「なに? ステラちゃん」


「諦めろ」


「なんで諦めなきゃいけないのよ! 家に入れないじゃん!」


「大丈夫だ。リリのお母さんが帰ってくるまで私の家にいろ。それで万事解決だ」


 私はリリに親指を立ててグッドのポーズ。

 いやー、これで問題解決。我ながら素晴らしい機転の良さだ。あっぱれあっぱれ。

 私が自分の賢さに浸っていると、


「解決なわけないでしょ! 今日がよくても明日はどうするの! 明後日は! その次は!」


 ああ、かなりお怒りの様子だ。リリはこうなると頑固でなかなか折れてくれない。

 はぁ、これはもう仕方ないな。


「大きな声出すなよ。分かったよ。探すよ。探せばいいんだろ」


 どれだけめんどくさがっても結局最後はリリに押し切られてしまうのがいつものパターンなのだ。

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