表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/263

7 6歳の洗礼と神の洗礼 後編

ステータスに隠された秘密。

神様なら何でも知ってるはずなのでどんどん聞いていこう。

……ってか魔法創造の文字無くない?


 名:ユリスタシア・ナターシャ  年齢:6歳


 Lv1/99   HP10  MP0000   LvUPまで0/10


 攻撃力:3      武器:なし

 防御力:3      帽子:なし

 魔法力:8      上着:女性服(中級品)

 魔法防御:6    ズボン:女性服(中級品)

 敏捷性:9       靴:ブーツ(中級品)

 運:19       アクセ:なし


 -------------------------------------------


 所持スキル一覧


 剣術Lv0 魔法適正Lv1 会話術Lv1 神の加護(

 魔法)Lv1  ???の血筋Lv5


 -------------------------------------------


 ふむふむ、なるほどなるほど。

 俺は表示されたステータス画面を見て理解した何点かの事を質問する事に決める。

 ……まず神様。魔法創造何処にも見えないんですけど? 授けてくれたんじゃなかったんですか?


「そこにあるだろう。神の加護(魔法)がそれだ。魔法創造という直球ネームだと色々と不都合が多いからな。神の力で偽装を施してある」


 何故?


「もしお前に鑑定スキルを掛けられて魔法を自由に創れるなんて知れ渡ってみよ。王家に捕えられ、洗脳されて死ぬまで自我を失って生きる事になるぞ」


 やだ怖い……親切にしてくれてありがとう神様。でも神の加護でも十分目立つのでは?


「そんな事は無い。神の加護というスキル自体は稀に持って生まれるよう設定してあるからな。ただ神の加護(魔法)なんてスキルは無い。閲覧者も“あぁ、神様に選ばれた奴なんだ”程度にしか理解出来ないくらい弱い効果しか持っておらん」


 ちなみに神の加護自体の効果は?


「運気の向上だ。お主の運だけかなり高いだろう? それは偽装の為だ」


 なるほど。そんでMPバグってますけど大丈夫なんですか神様。


「0000が並んだ所で見た者が“なんだ、所持魔力0か”程度にしか思わんだろう」


 いやそうはならんて。絶対怪しむに決まってるじゃん。


「そうか。では変えておこう」


MP0000がMP30(Ex)へと変わった。


後剣術Lv0ってなんです? 実質使えないのでは?


「そういう訳では無い。Lv0なのにわざわざ表示されるというのは才があるという証拠だ」


 なるほど。まぁ剣術は使う気ないからいいや。魔法使い志望だし。

 そんで結構大事な物かもしれないんですけど、この???の血筋って何ですか?


「……分からん。ユニークスキルだろう。貴族の血筋とかではないか?」


 神様は目を瞑って眉を顰めながら言う。

 まぁ確かに貴族っちゃあ貴族だし。ただLv5は盛りすぎなんじゃないの?あってもLv1くらいだと思いますよ?


「……まぁ気にするな。スキルの裁定基準は人の世が決定している。それだけ領地の民の信頼が厚い、という解釈は出来ないか?」


 指を立て、少し困った表情でそう話す神様。

 まぁ、そういう考え方も出来るよな。


 後は……Lvか。最大って99なんですか?


「今の所はな。そもそもそのレベルに到達する人間などまず居ないだろうよ」


 神様の言葉に少し理解を示す俺。

 そう言えば転生物とかのテンプレで世界全体のLvが低いとかあったな。

 まぁそういうのだろうな。きっと。


「……あぁ後伝え忘れていたがな、魔力創造の詳細を知りたい場合は神の加護の魔法部分の文字をクリックする必要があるぞ。勿論鑑定のステータス画面では反応しないようにもしてある」


 えっ、何その隠しシステム。

 ポチっと触ると、魔法創造の説明が表示される。


 魔力創造(厨二):

 一人の男の稀代の妄想力が神の叡智と力によりその妄想を具現化させるまでに至った物。

 その力は神すら滅ぼし、時間すら逆行する……そう、我が魔眼がある限り不可能な事象など無


 右上にある×ボタンをクリックしシュンッ、と表示を消す。

 ……少し疲れたな。眉間をマッサージして、もう一度見よう。


 魔力創造(厨二):

 一人の男の稀代の妄想力が神の叡智と力によりその妄想を具現化させるまでに至った物。

 その力は神すら滅ぼし、時間すら逆行する……そう、我が魔眼がある限り不可能な事象など無い。

 何故ならこの力を持つ俺こそが世界の破壊者であると同時に再誕者であるからだ。

 全ての世界線を見渡し限りなく0に等しい可能性の先にある事象すら俺が顕現させて見せよ(略)


 シュンッ、と表示を消す。

 えーっと……?今ひじょー……に嫌な思い出が蘇った。魔眼?神滅?時間操作?世界の破壊者であり再誕者?やべぇじゃん完全に中二病じゃねぇか。


「ちなみに(略)を押せば全文が表示される。読むと良い。心が脈動おどるぞ。クク……」


 不穏な笑みを浮かべて何かを理解っている様なポーズを取る神さ……やめろ!

 というかその躍るって絶対動悸とかそういう奴だよねじゃなくてあぁクソ!どういうこったよ神様!中二病は止めてって言ったじゃん!

 なんで転生してまで過去の怨念に囚われ続けなきゃならんのだぁぁぁああぁぁあぁぁぐぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁっ!


 俺は赤城恵時代の中学時代の思い出がフラッシュバックするのに耐え切れず悶える。

 現在の俺はナターシャちゃんなので、幼女の姿で倒れ込み、手で顔を抑えながら地面でジタバタコロコロする。


“……ほう、機関が動き出したか。ようやくと言った所だな。これで計画の初期段階が開始された。後の指示はお前に任せる。何?そう不安がるな。俺の魔眼の力により真の叡智を得たお前に失敗などあるはずがない。あぁ、頼んだぞ。ル・メンダス・リスティータ。“ピッ””


「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ゛ッ゛ッ゛!!!!!!!!」


 神様が容赦なく俺の中二病ムービーを流しとどめを刺しにかかる。


「ほほ、お返しだ」


 楽しそうに笑う神様。

 俺にとっての地獄はその後暫く続き、解放された頃には疲れ果てて動けなくなっていた。


 くっそぉ容赦ねぇ、神様容赦ねぇよ……

 叫び倒し、暴れ疲れた俺は小さな五体を投げ出しもう殺してくれと言わんばかりに胸を開け放つ。


「不届き者に神罰を下すのも仕事だからな。そう――“お前は知り過ぎた。もうお前が今生で生きる事は出来ない。俺の魔眼の力によりお前の生命という存在を未来軸から消し去ったからだ――――


「ん゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛あ゛っ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛あ゛ぁ゛あ゛――――――――


 ……またしばらく経った後、大地にボロ雑巾のように捨て置かれた俺はなんとか身体を仰向けにして返答する。


 はぁ……はぁ……、もう、分かったって……。中二病を受け入れるから……

 俺にはそれしかないって分かったからもう勘弁して……


「うむ、ようやくか。しかしお主の反応は見てて飽きなかったぞ。また楽しませるがよい」


 神様はひらひらと手を振る。欠伸しながら。


 ……って、ってかさ、神様。魔法は良いんだけどスマホ。スマホ何処よ。

 アレないとマトモな魔法組めないって言ったじゃん語彙力無いからって……


「ん? あぁ、それはお主のアイテムボックスの中に入っておる。充電コードと一緒にな」


 それどうやって確認すんのさ……


「アイテムボックスを開く魔法を唱えればよい」


 その魔法は……?どんな詠唱……?


「“秘匿されし宝物庫よ、我が眼前にその門を開け放て”だ」


 くっそ中二病じゃん……

 ……秘匿されし宝物庫よ、我が眼前にその門を開け放て。


 プワン、と異次元の小さな扉が目の前に開き、内部に入っているスマホが顔に落下してき痛ってぇ!!!

 ナターシャの顔をクッションにし、コトンコトンという音を出してスマホと充電コードが床に落ちる。


 幸い角ではなく面の部分だったので大事に至らずに済んだが、これ開ける時気を付けないと顔にアイテム降ってくるじゃん……。剣とか入れてたらセルフスイカ割りしちゃうじゃん……。


「なら我が眼前の部分を変えるとよい。我が胸前とか、我が右腕から離れし位置に、とか」


 なるほどね……それ先に言ってほしかったなぁ……。

 再びアイテムボックスにスマホ一式を戻すと、自動的に閉まる。ここら辺は便利だなぁ……。


「門が閉まるタイミングは使用者の思考で決まる。好きに使うと良い」


 どもー……。

 ってかマジ疲れた。もう死にそうなんだけど……

 これで洗礼とか説明とか終わりですよね?まだあるとかはもうちょっとキツイっすけど……


「まぁ、スマホのアプリの説明があるな。起動してみよ」


 俺は気力を振り絞ってスマホを再び取り出し起動。一々臭い詠唱するの面倒だな……あ、指紋とか初期設定とか既に終えてくれてるんですね。らっきー。

 スマホを開くとアプリ一覧の中にL〇NE(神)という不穏な物があった。

 ナニコレ怖い。普通の〇INEじゃないの?


「そのLIN〇は天界に居る私と連絡をとる為の物だ。普段は部下に管理させている。困った時に使いお主の進歩に役立てると良い」


 あぁ、そこら辺は例の作品準拠にしてくれてるんですね有難い。

 ちなみに他はあります?


「……安心せよ、今終わった。お主も夢から覚める時だ」


 そういうと神様は神父の服を再び捲りバシーン!とおもいっきりふとももを叩く。

 うっわ痛そう……。めっちゃ赤い痕ついてますやん……。


「……お主の活躍、期待させてもらうぞ」


 そう言い終わると同時に俺の居る空間が消滅し始め神様も微笑みながら消えて――――


「あぁ、因みにお主が3歳頃から自身の理想像を追い求めているのも魔法創造(厨二)のデメリットの一つだ――――


 クソがふざけんな――――――



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



「……むっ!? ふんっ……!」


 ザバァ……

 洗礼限界ギリギリのラインまで粘った神父が、ある物を合図にしてナターシャを引き上げる。

 引き上げられたナターシャは上半身ずぶ濡れで白目を剥き口と鼻から水を垂れ流している。決して人に見せちゃいけないタイプの奴だ。


 神父は引き上げたナターシャにすぐさま蘇生魔法をかけ、ナターシャもゲボッ、ゲボッ、と水を吐き出しながら息を吹き返す。

 母親であるガーネリアは心配そうにナターシャの頭を撫でる。


 あ゛ー……、マジで死ぬかと思った。転生2週目に突入する所だったわ。

 ……いや?むしろ死にかけの時に見た場所で容赦なくトドメ刺されようとしていたような記憶が残っててうっ頭が……


 体を起こした俺は何故か痛む頭を抱えて母親に寄りかかる。


「ふぅ、どうやら洗礼は無事成功したようですね」


 神父が安心した様子で額の汗を拭う。

 そしてケホケホと咳をする俺に手を伸ばし、頬を触る。


「……君も神様に愛されているようだね。私もなんだ」


 そう言って神父は服を捲りふとももを晒しだす。ムキムキの脚に女性の手らしきサイズの赤い痣が付いている。


「この赤き痣こそ我らが神の存在する証拠。我ら洗礼部隊は、この痣が出来始めてようやく一人前と認められるのさ」


とても嬉しそうに、爽やかに笑う神父。


「……そして……ヘヘ、この痛みこそ我らへの恩恵……堪らなく信仰したくなる……」


 そして一瞬だけヤバい顔になる。

 ナターシャも自分の頬に残る小さな痛みを感じながらふへへ、と笑う事でその場を濁したのであった。

神様だって根に持つんだょ

啓蒙なる信徒は須らく神の身許に在りて、神の存在を信じ給う

洗礼する度にふとももや腹筋に手の痣と痛みが残ればそりゃ神様信仰しますって。

俺だってそんな事あれば信じるもんまぁこの洗礼は受けたくないけど。


続き気になる人多いと思うので今日中に投稿。

とりあえず今の目標は読んでくれる人達の来年の初笑いを奪い取る事を目標にしてます。


追伸:ステータスが初期と違っていたので修正。

まぁ神の加護(魔法)にLvつけ忘れてただけですが。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ