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6 6歳の洗礼と神の洗礼 中編

劇団幼女を離れて村の中心部へ。

そこにある教会の中に入っていくナターシャとガーベリア。

そこで待ち受ける洗礼とは……

 農道を暫く歩いて村の中心部に着き、そこにある教会に入る。

 白く静謐な空間は神を祀るに相応しい。

 そして奥には神父が嬉しそうに俺を待っていた。


「おぉ、君がユリスタシアさん家の末っ子か!」


 笑顔で近づき、俺を抱き上げる。

 俺も抱き上げられた状態で営業スマイルを返しておく。まぁ伊達に3年も愛玩動物やってないんで。慣れたもんっすよホント。

 まぁ正直イケメン神父の顔とか今はもうどうでもいい。

 それよりも早く洗礼を受けさせてくれ。そしてここから俺の人生(ニューゲーム)が始まるんだ……!


 年齢的にもワクワクを隠し切れず、ふんっ、ふんっ、と楽し気に鼻息を漏らしてしまう。

 その様子を見たガーベリアも嬉しそうにナターシャの頭を撫でる。


「では早速洗礼の方へ移りましょうか」


 そして何故か脇に抱えられたまま移動させられる俺。

 いやなんでやねん下ろせや。そこら辺の物と違って6歳児やぞ。

 母親のガーベリアもさも当たり前のような表情だ。不満そうな俺の顔を見て手を振っている。

 そのまま全員は祭壇近くにある、水が並々入った大きな水槽の近くへと場所を移す。


「さて、準備は良いですかなナターシャちゃん」


 でも洗礼かぁ。宗教に興味なかったから大して知らないけど、確か水掛けられるとかそんなんだったよな。

 そこから推測するに俺は今からこの水槽に漬けられる訳か。

 なるほど中世。きっと儀式の簡略化が許されていないんだろう。そう予測する。

 仕方なしという表情を浮かべて俺は神父に返答する。


「はい」


 まぁ服はびしょ濡れになるだろうが、母親が替えの物を籠に入れて持ってきているし後で着替えれば済む話だ。

 というか確か洗礼受けると神様説明しにくるんだっけか。一体どういう風に姿を現すんだろう。

 やっぱ時間止めて姿を現すとかそんなんだろうか。なんでも出来そうだったし、それくらいしてきそうだよな。

 俺はこれから始まる神様との会合に期待が膨らみ、再び楽しそうな表情になる。


 そして俺の返答を聞き遂げた神父はニッコリと笑みを浮かべ、そして俺を掲げて逆さに向かせ、


 は?なんで逆さに


「……許せ少女よこれも規則だエイメンッ!!!」


 勢いよく水槽の中に投入パイルダーオン。1カメ、2カメ、3カメによる連続投入で観客への配慮も忘れない。

 俺は突然の出来事に恐慌状態(パニック)になり鼻や口から思いっきり水を吸い込んでしまってガボゴボおぼれべべ……



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



「……ほら、起きろ」


 ペチペチと頬を叩かれる。

 俺の意識が急速に戻っていき目の前には再び金髪巨乳の白い布を着た美人が現れたっていうか、


「俺また死んだの!?」


 心からの声を上げる。しかし声は幼くとても高い。

 身体を起こして確認するとどうやらナターシャちゃんの肉体のようだ。

 立ち上がり神様を見上げて、その大きな白い双丘を眺める。

 いやぁ、視線が低いとここまで神様の威圧感が増すとは予想外だね。


「……まぁ、死にかけてるのは間違いないかもしれんな」


 そして神様は当然のように話しかけてくる。

 え?ヤバくね?神様サラッと流してるけどこれ臨死体験?

 つまり俺ことナターシャちゃんは僅か6歳にて殺人未遂に合ってるって事ですか?


「仕方ないだろう。神は夢や臨死体験でしか姿を現せられんのだ」


 なら夢に出てくればいいじゃん!

 洗礼と称して頭に水掛けたその日の夜とかにさぁ!

 わざわざ溺れさせて半殺しにする必要全くないのでは!?


「それでは記憶に残らん。神も信仰を手に出来なければいずれ消えてしまう。こうやって死に際で会合し本当に居る事を確かめさせるのも必要なのだ」


 生きるというのは大変な事なのだよ、と欠伸をしながら語る神様。

 くっそぉ相変わらず様になってんなその表情……。

 ナターシャちゃんになってから久しぶりにときめいた気がする。


「ふふ、まだまだいけるとも。まぁ、それより大事な事があるのではないか?」


 ……あぁ、そうだ。スキル。スキルですよ。

 サクッと授けてもらってサクッと早急に終わらせて少しでも生存確率を上げなければ……! 折角転生出来たのに死んでしまったら元も子もない……!

 俺は焦った様子で神様に身振り手振りする。あ、そう言えば喋れるか。


「早くスキルを!」


「……安心せよ。今お主が見ている物はほんの僅かにも満たない夢。所謂、邯鄲(かんたん)の夢だ。どれだけ時間を掛けようと溺れ死ぬ事は無い。というかされたら信仰に関わるゆえ普通に困る」


 いやそれ言われて安心出来る程賢い脳みそしてないんですよね。

 安心できるようちゃんとして下さいよ!


「仕方ない。ほら」


 そう神様が言うと場面が替わり、俺が水槽に逆さまに漬けられた場面になる。そして当然のように時間が停止している。

 ……この場面で固定する必要性ある?


「何を言うか。神父の手を見てみろ。いつでも引き上げられるようお主の腰をしっかり持っている」


 まぁ水しぶきを掻き分けて見てみれば確かにしっかり持ってるけどさぁ。

 血管浮き出るぐらいしっかり持ってるけどぉ。


「これでもこの洗礼の儀を行える神官は数少ない。危険が伴うゆえしっかりと訓練しなければならないからな。ほれ、この神父の引き締まった肉体を視よ。これが神の信徒たる所以だ」


 そう言うと神様は神父の服を捲り上げてムッキムキの脚と綺麗に割れた腹筋を見せつけてくる。

 ……いやそこ腕捲るとかで良かったんじゃない?服捲り上げられて神父さんふんどしがっつり見えてるじゃん。

 何履いてるかとかあんまり知りたくなかったんですけど?


「む、貴様にはこの素晴らしさが理解出来ぬか。むむ、やはり元の記憶を残していると男としての理性が勝つのか……」


 ブツブツと呟く神様。

 いや確かにさ、元男として確かにこういう筋肉には憧れますけどね?理性がなんとかという話じゃなくて信徒さんをこういう風にセクハラするってどうなんですか、っていうね?


「断じてセクハラでは無い。相変わらず失礼な奴だなお主は。神として信徒が適正かどうか判断するのは当然だ。というか、お主も女として生まれたのだからこの肉体の素晴らしさを理解せねばならんのだぞ?」


 ほれほれ、と神父の脚をペチペチ叩く神様。叩かれた部分には赤い手の痕が残っている。

 あーまぁ、そうっすね。そこら辺はーまぁ、善処していくつもりですんで。

 まぁあれっしょ。いずれ俺ことナターシャちゃんが思春期になったら同世代の男の子の反応に困ったりとかするっしょ。


「……ふむ、まぁそうだな。まだ時期が早いというのも一理ある。仕方ない、今回は流してやろう」


 そういうと神様は捲り上げていた服を戻す。


「それでだが、安心はしたか?」


 まぁ、神様に突っ込んでたら幾分か気持ちが落ち着きましたよ。

 実際神様が転生させたのは事実ですし、ここは信じるのが吉かと思いまして。


「ならよい。では早速スキル継承を始めるか」


 神様が俺に手を向け、何かを唱える。

 すると何かがバキン、と割れるような音と共にファ〇コンとかのRPGで見た事のあるステータス画面が表示される。



 名:ユリスタシア・ナターシャ  年齢:6歳


 Lv1/99   HP10  MP0000   LvUPまで0/10


 攻撃力:3      武器:なし

 防御力:3      帽子:なし

 魔法力:8      上着:女性服(中級品)

 魔法防御:6    ズボン:女性服(中級品)

 敏捷性:9       靴:ブーツ(中級品)

 運:19       アクセ:なし


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 所持スキル一覧


 剣術Lv0 魔法適正Lv1 会話術Lv1 神の加護(

 魔法)Lv1 ???の血筋Lv5


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これが正しい神様の会い方だ!いわゆる臨死体験って奴だな!

良い子は絶対真似するなよ!絶対だぞ!

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