表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
50/263

49 エンシア王国への旅立ち

遂に始まる旅立ちの日。

齢7歳にてエンシア王国に2泊3日の旅立ち、更に後には一週間もの長期旅行が控えている。

さらにその旅先は何日滞在するか分からないと来た。

齢7歳の少女にはちょっと荷が重すぎやしねぇかいお兄さん。しかしそんな事を言っていたら物語が面白くなくなっちまう。

兎に角楽しく元気にふざけながらも真面目に考察して理由付けして主人公を主人公させるってのが楽しいファンタジーってもんだ。


という事で邪気眼少女の極唱魔法エクスペル、文字数18万にしてようやく本筋に乗り込んだ!やっとかい!

読者の皆も頭空っぽにして楽しんで見て言っておくれよ!おっと誤字じゃないぜ。感想大歓迎って意味さ!

ではでは今日の前書きはこれにてお開き!次の機会にお会いしたい所だね!またな!


‐御者の男性‐

 お酒の飲み過ぎでニルヴァーナしかけている天使ちゃんを介抱し終わったナターシャ。

 少し水の残った木のジョッキとスープが入っていた器を机に置く。

 水はわざわざ汲んで来なくてもいい。魔法で出せばいいのだ。


 そして優しく天使ちゃんの頭を撫でる。


「じゃあ天使ちゃん、私エンシアに行くからね」


「いてら……」


 頑張って腕を上げ手をひらひらと振る天使ちゃん。

 力尽きたのかバタリと力なく落ちる。


 ナターシャは呆れるようなため息をつきながら、机の下にある木製のチェストボックスの前に移動。中から畳んで収納していた服を取り出す。


 ……と言ってもそんなに種類無いけどね。合計五着くらいしか服持ってないです。その内一着は天使ちゃんにやらかされたので現状四着。三着は持っていく為にトランクに詰めたので実質一択状態。

今日は長い袖の先にフリルの付いた白いブラウスの上に、黒の刺繍が入った分厚い焦げ茶色のワンピースを着る。袖は七分丈。


 三日分の着替えを詰め込んだ木製の旅行用トランクはアイテムボックスに収納し、丈夫な革製のリュックサックを背中に背負う。両方母から借りた物。

 とりあえず背中に何か背負っておけばアイテムボックスを使う際に偽装出来るし、何か言われた際にはいっぱい物をしまえる魔道具だと言えばいいのだ。

 まぁそんな魔道具があったらまず間違いなくお父さんが持ってるだろうけどね。


 そして茶色の手編みケープを羽織り、垂れる紐をちょうちょ結びにしたナターシャは背中に背負うランドセルっぽい見た目のリュックサックを上下に揺らしながら一階へと降りていく。

 正直ワクワクでドキドキです。


 エンシア王国については名前だけでしか聞いた事が無くて、とりあえずここいらで一番領土持っている国程度の認識しか無かった。

 王家の人の名前とか首都とか歴史とか、色々知らない事は多いけど冒険者ギルドがあるって事は冒険者の街なわけだ。

 駆け出し冒険者の街なのかな?どうなんだろ。分からない。

 それにうちの村に通る人って補給ついでに訪れる商人が多いんだよね。およそ7年程男爵家の娘してますが未だ冒険者とは出会った事の無い初心な子です。

 脅かされると全力で泣くので冒険者の人は覚悟してください。


 そして村に来た商人の話では、王都はとっても大きいらしい。

 見たらビックリするぞー?と言われてワクワクする村の子達(ナターシャ含む)相手に楽しそうにはしゃぐ商人さんも駆け出しっぽくて可愛かった。

 様々な旅用の物品を肩にかけ、腰にぶら下げ、大きく丈夫そうな革のリュックサックを背負ってエンシア内の街を行き来しているらしい。

 主な商売は冒険者ギルドで卸される魔物素材の売買がメインって言ってたっけな。

 通常の獣よりも強靭な素材はそのまま武器・農具とかの様々な器具にも使えるし、珍しい物では薬にもなったりするらしい。

 更に金や銀を体内に貯め込む魔物も居るって言ってたな。

 しかし、村の子供達にそんな夢のような話を聞かせたら当然代償がある訳で。子供達の教えて教えて攻撃にそのまま一日潰された商人さんは仲良くなった農家の子の家で一泊する事になっていた。

 日が暮れる頃に商人さんが見せた「やりすぎた……」という表情は今後の彼の教訓になってくれるだろうね。


 一階に降りるとガーベリアとクレフォリア、そして武器を腰に付けたリターリスと斬鬼丸が出迎える。

 斬鬼丸の武器が二対の曲剣から鞘付きのショートソードに進化している。お父さんに借りたのかな?


「服の準備終わったよ」


 全員に向かって準備完了の知らせを通達。

 その言葉にガーベリアが反応する。


「お疲れ様。ナターシャちゃん、リビングで旅の装備を整えましょう?」


「うん」


 ナターシャはリビングに連れていかれ、追加の装備を付けられていく。

 腰には焦げ茶色の革のベルトを巻き、背中側に鞘に入った護身用のナイフを付け、右にエールの入った水袋、左には包帯、ハサミ、ガーゼという簡素な応急手当セットが入った巾着袋を垂らす。

 寒さ対策のマントはそのまま羽織り、1人分の木のジョッキと器、手鏡、日記帳と鉛筆、金貨袋はアイテムボックスに収納する。

 念のために固焼きのパンを数個と干し肉もアイテムボックスにしまっておく。


 リターリスからは3つの封筒と銀貨の入った袋を手渡される。


「……これは?」


「この封筒はエンシア王国で使う為の物さ。銀貨の袋は冒険者ギルドへの登録料とお小遣いかな」


 おぉ、初お小遣い。ちょびっと嬉しい。

 冒険者ギルドに登録するのも今後の為なんだろうね。


「封筒はどう使うの?」


「まずこの赤い蝋で閉じた手紙入りの封筒。これは最初の城門に居る守衛さんに渡して欲しい。

中には副団長としてナターシャの身分を保証する証書と、僕の権限で城門までお姉ちゃんのユーリカを呼び出す内容が書いてある」


 そうか、エンシア王国にはユーリカ姉が居たね。

 じゃあしっかり頼っていこう。


「2枚目はユーリカに向けた手紙の入った封筒だ。宿としてユーリカの住む騎士団宿舎への宿泊許可証と、ユーリカに向けて三日ほどナターシャの面倒を見てくれという内容が書いてある。

 そこにはナターシャがエンシアでやらないといけない事も記されているよ。ユーリカお姉ちゃんの指示にしっかり従うんだぞ?」


 お姉ちゃんめっちゃパシられる奴やん……

 でもまぁ当然だよね。俺と斬鬼丸だけだと迷子になる自信しか無いし、宿を取るにも場所も、良し悪しも分からないからまず無理だし。


「うん分かった。最後は?」


「最後はガレットさんっていう僕の知り合いの人に向けた手紙が入った封筒だ。ユーリカの封筒と見分けやすいように、この封筒にはガレットさんへと記入してある。

 内容はナターシャの保護者として、僕とベリアちゃんの代わりにスタッツへの旅に同行して欲しいという物だ。いつまでスタッツに居るかは分からないから、しっかり準備して欲しいとも」


「ガレットさん?」


「エンシアに住んでる人だよ。ナターシャ達の産婆さんをしてくれた人で、真面目で優しい人さ。物知りだから旅先でも色々と助けてくれるよ。大体何でも出来る凄い人だよ?」


「そうなんだ」


 知らなかった。

 まぁでも産婆さんが居るのは当然か。


「女の人?」


「あぁそうだよ。ナターシャも旅の最中はガレットさんをお手本にして行動するように」


「うん」


 スタッツに向かう途中で色々と便宜を図ってくれる人なのだろう。

 道中の宿の手配とか旅のペース配分とか俺とクレフォリアちゃんには絶対出来ないしね。


「それと、今回の旅でスタッツ国への旅に向けてしっかり勉強するんだぞ。収納魔法のお陰で身軽な旅は出来るけども、旅はそう簡単じゃないって事が良く実感できると思う」


「うん。しっかり勉強する」


「よし、良い子だ」


リターリスは準備が整ったナターシャの頭を撫でる。


「じゃあ行こうか。エンシア王国に向かう荷馬車の準備はもう出来ているだろうからね」


「はーい。……斬鬼丸、“私を守ってね”?」


「御意」


お願いの変更も終えた所でナターシャ達はリターリスを先頭に村へ向かう事になる。

天使ちゃんを一人残して。


「……頭いだい……死ぬ……」



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



村に着くと一頭の大きい馬が繋がれた帆馬車が既に準備されていた。

御者の男性がリターリスに挨拶し、昨日捕まえた盗賊は既にエンシアへ向かわせた事を話している。

護衛として3人程付けたので問題ないとの事。


リターリスも了承の言葉を返し、御者の人を紹介する為にナターシャに向き直る。


「ナターシャ、この人がナターシャの乗る馬車を操る御者さんだ。僕の部下で、騎士団所属の人だよ」


「始めましてだな! これからよろしくナターシャちゃん!」


「よ、よろしくお願いします……」


若干人見知りを発動させつつもナターシャは挨拶をする。

斬鬼丸も挨拶し、護衛だと聞いて御者の男性も驚いた様子。

リターリスさんに腕を認められるなんてアンタ相当だぜ? と軽い口調の人だ。


ガーベリアは娘が旅立つ前にその心持を聞く。


「ナターシャちゃん大丈夫? 怖くない?」


「……ちょっとだけ怖いかな」


ナターシャがそう言うとガーベリアが抱きしめてくる。俺も抱きしめ返す。

家出した時に旅の途中で起こる恐怖も実感したからね。思慮が浅かったと反省してる。


「そうよね。ナターシャちゃんも村以外の場所に行った事ないものね。怖いよね」


「うん。でも頑張るよ。エンシア王国でちゃんと用事終わらせて、無事に戻ってくるから」


「えぇ。頑張ってねナターシャちゃん。お母さんも応援してるわ」


 ガーベリアはナターシャ額にキスをしてから離れる。

 その後父のリターリスやクレフォリアもナターシャを抱きしめて、旅の安全を祈る。


「ナターシャ様に旅人の神の御加護がありますように。頑張ってください」


「ありがと。帰ったら一緒に遊ぼうねクレフォリアちゃん」


「はいっ」


 リターリスはガーベリアと共に並んで斬鬼丸に向き、娘を託す。


「斬鬼丸さん、ナターシャの事をよろしくお願いします」「お願いします」


 リターリスが斬鬼丸に向かってお辞儀し、ガーベリアも隣で同じく頭を下げる。


応共おうとも。我が命に代えても守り切って見せましょうぞ」


 斬鬼丸はリターリスに手を伸ばし、リターリスもその手を取り握手して抱き合う。


「帰ってきたらまた武器や剣術の話をしましょう。待ってますよ」


「ハハ、愉しみでありますな。ナターシャ殿は必ず無事にお返しするであります」


 少しの間別れる為の挨拶を交わした所でナターシャは帆馬車に乗り込……めないので斬鬼丸に持ち上げられて乗り、斬鬼丸もその後から乗る。

 御者の男性が手綱を操り、帆馬車はエンシア王国へと進みだす。

 ナターシャは帆馬車の裏から顔を出し、村に残る3人に向けて叫びながら手を振る。


「行ってきまーす!」


「行ってらっしゃーい!」「無事に帰ってくるんだぞー!」「行ってらっしゃいませー!」


 3人の見送る声を聞き届けながらナターシャは、気持ちを新たにエンシア王国へと向かうのであった。

……という訳で。

はい。現実では絶対に在り得ないルートを爆走する赤城恵ナターシャ7歳の奮闘をこれからもお楽しみください。


現在の最終目標地点に向けて色々と誰だコイツって奴が出てきますが基本はナターシャが旅して冒険者してやりたい放題するストーリーとなっております。

そしてタイトル回収の日も近い。長かった。

執念オ〇リン曰く全て意味があったという事ですよ。えぇ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ