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47‐閑話 明日の予定

食事をしに集まった全員。そこでクレフォリアがリターリスに話があると言う。

どうやらスタッツ国に向かわないといけないらしい。

準備とかどうするんだろうね。

「リターリス様、お話したい事が」


 既に用意された料理のお陰でいつもより豪華に見えるユリスタシア家のリビング。

 全員が食事の為に集まった席でクレフォリアが口を開く。


「実は私、どうしても急いでスタッツ国に向かわなくてはならないのです」


「そ、そうなんですか?」


 リターリスは驚いて手に持つスプーンを置く。

 他のメンバーもその会話を静かに聞いている。……天使ちゃん、つまみ食いしようとしない。

 ナターシャがペチッと手を叩いてけん制。


「はい。お母様のお願いで」


 リターリスはその事を聞くと、更に驚いて姿勢を正す。


「ヘレンさんのですか!?」


「そうです。なので、早いうちに私がスタッツに行く為の準備をお願いしたいのです」


「準備ですか……うーん……」


 リターリスは少し困った表情をして腕組みをした。


(そうか、だからクレフォリアちゃんはあの街道に居たんだな……。でも護衛を雇うお金も必要だし、スタッツに向かう為の1週間分の食糧も要る……資金繰りが……)


 呻り始めるリターリス。

 しかしそこで熾天使アーミラルが手を上げる。お腹減ったとかじゃないだろうね天使ちゃん。


「リターリスさん、用意するにも路銀の調達が難しいと考えましたね? そんな貴方に朗報があります!」


 アーミラルは異空間の扉を開け、金貨の袋や宝石の入った袋を取り出して……ってその宝石俺が盗賊から奪……譲り受けた奴じゃん! なに勝手に人のアイテムボックス開けてんだよ!

 アーミラルに目線で抗議するナターシャ。天使ちゃんはチラっとナターシャを見て無言で手を伸ばして頭を撫で始める。

 ちげぇよ! 優しさ求めてねえよ! バ〇ァリンの優しさじゃない方の気持ちで怒ってんだよ!


「こ、これは……?」


 料理を退けて机に置かれた金銀財宝を目にして固まるリターリス。


「これは今日捕まえた盗賊が持っていた金貨や宝石の袋です! これがあれば心配ないでしょ?」


 天使ちゃんはそう告げるとアイテムボックスを閉じて威張る。

 その言葉を聞きクレフォリアも反応。


「では、私の金貨袋もその中に混ざっているかもしれませんね。私の場合お供の方が持っていましたから、どれほど入っていたかは分かりませんが……」


 ナターシャは抗議の目線をやめて目を薄め、悟りの境地に至る。

 ソウデスヨネ。クレフォリアちゃんって襲われた人の一人だから、盗賊がお金持ってるって事はそういう事デスヨネ。


「という事ですよリターリスさん! お金の心配は無用です☆」


 ビシッと謎のポーズを取る天使ちゃん。ナターシャへのなでなでが止まる。

 リターリスはアーミラルではなくクレフォリアに使用して良いか聞き、クレフォリアも了承したのでこれを路銀とする事に決めた。


「……路銀は確保出来た。帆馬車は村で用意できるけど、エンシアでスタッツへ向かう人数分の食糧を準備して、冒険者ギルドで護衛の依頼をしないといけないね」


 そこに斬鬼丸が口を開く。


「……護衛ならば拙者がやりましょうぞ。食事も睡眠も不要な身故、お役に立てるかと」


「それは有難い話なのですが、道中では魔物や盗賊が……いや、斬鬼丸さんの腕なら10人居ようが20人居ようが勝てそうですね」


 その言葉に頷く斬鬼丸。


「如何にも。……しかし、流石に拙者もその人数を殺さず無力化する事は難しいであります」


「いや、あれは僕もたまたま出来ただけで狙ってやった訳じゃないんですよ? 盗賊が手負いだったお陰ですから」


「しかし無力化したのは事実。拙者も不殺の心得を身に染みて感じたであります。なので拙者も一度は目指してみようかと」


「いやいや……」


 斬鬼丸とリターリスが武器の手入れ中に話し合ったであろう、昔話に花を咲かせ始めるのをガーベリアが止める。


「……待ってパパ。斬鬼丸さんがクレフォリアちゃんの護衛になるって事は、術者の1人であるナターシャちゃんも一緒に付いて行かないといけないって事よね? お母さん心配だわ……」


 リターリスもその事に気付き頭を掻く。


「あー……そう言えばそうか……」


 しかし斬鬼丸程優秀な護衛役は居ないので、再び考え込む。


(……アイスハインズの首を一撃で持っていける腕前だ。

 多分、冒険者10人雇うより斬鬼丸さん1人の方が強い。

 斬鬼丸さんはクレフォリアちゃんと一緒に精霊魔法を使った時に生まれたらしいけど、精霊魔法で創られた精霊は不安定だ。魔力が足りなくなると身体を保てなくなって消滅してしまうかもしれない。

 ……維持する魔力は折半なんだろうか。聞いてみようか。)


「……クレフォリアちゃん。斬鬼丸さんを維持する魔力って折半なんですか?」


 その言葉にクレフォリアは首を振る。


「いえ、ナターシャ様が全て受け持っていると思います。私は熾天使様の制約で縛る係なのかと」


「そうですか……」


 考えるリターリス、熾天使の制約という言葉が出てからどや顔し続ける天使ちゃん。


(つまり、斬鬼丸さんにはナターシャが必要。やっぱり旅に出さないと……でもなぁ……)


 そして天使ちゃんは再び手を上げる。いや手を上げずに発言しても良いと思うよ?


「なら、試しになっちゃんとざんきっちにお使いさせてみるのはどうです? エンシアには誰かが食糧を買いに行かないといけないし、それを二人にさせてみる感じで。なっちゃんも収納魔法知ってるから、食料運ぶのに手間がかからないし」


「しかし……」


 躊躇うリターリス。


「心配なのは分かりますとも。でもいずれは娘も通る道。今旅をさせておけば将来の為になると思います。可愛い子には旅をさせよっ♪」


「将来の為ですか……」


 その言葉を聞き、リターリスとガーベリアは目を合わせる。いや魔王にはならんよ?

 そして何かを示し合わせるように頷き合い、リターリスがナターシャに質問する。


「……ナターシャは旅に出たいかい?」


「うーん……」


 ナターシャは考え込む。

 すると、隣に居るクレフォリアがナターシャの手を握る。

 その瞳は不安で潤んでいて、ナターシャは軽く微笑むと父に告げた。


「……そうだね。クレフォリアちゃんと一緒に旅をしてみたいかな」


「危険がいっぱいあるかもしれないよ?」


「知ってる。でもそれは、クレフォリアちゃんも同じでしょ?」


 ナターシャは身体を傾け、クレフォリアの肩に頭を置く。

 その言葉にクレフォリアの状況を思い出し、リターリスは自身の考えを諌めた。


「…………そうだね。僕が間違っていたかもしれない」


 そう言うと、大きく深呼吸して気持ちを整える。


「分かった。まずはエンシア王国への旅で様子を見よう。斬鬼丸さんと一緒にエンシアで買い物だ。それで良いかい?」


「うん」


 ナターシャも頷き、リターリスは『村に馬車を用意するよう連絡してくる』と家を出て走っていった。

 そして数分後戻ってきて『ただいま』と言うと、自身の席に座った。


「早いねお父さん」


 ナターシャが戻ってきた父に話しかけた。


「うん、久しぶりに本気で走ったかな。明日馬車を準備するよう伝えてきたから、ナターシャも食事の後準備をしようね」


「分かった。何日分?」


「3日分の着替えかな。残りはベリアちゃんが準備してくれるよ」


「ご飯も?」


「いや、ご飯は御者の人が準備してくれるよ」


「そっか。楽だね」


「そうでもないぞ? 荷物入ったカバンを持ち運ぶのって大変で……あぁ、そう言えば収納魔法があったね」


 思い出したように手をポンと叩くリターリス。


「うん。だから手ぶらでも旅できるよ」


「良いなぁ……僕も魔法使えたらなぁ……」


 羨ましそうに話すリターリス。

 ガーベリアが『まぁそれよりも』と話を横に逸らし、食事をしようと促す。

 リターリスも賛同し、全員でいただきますと言って食事を始めた。

 クレフォリアちゃんはいただきますと言った後、小さな声で祈りを捧げている。


「主よ、私達に恵を与えて下さった事に感謝します。ここに用意された物を祝福し、私達の心と身体を支える糧として下さい。私達の主の名の下に。エイメン」


 隣に居る熾天使は既に料理をパクついているというのに凄い信心だ。

 ナターシャがクレフォリアちゃんは祈り捧げてたよ?やらなくていいの?と天使ちゃんに問うと、


「いやらっへお腹空いたんだもん」


 もぐもぐとお肉を食べながら話す。

 それで良いのか熾天使。


「神様優しいから大丈夫大丈夫」


 それで良いのだろうか天界。

ただいま。やっと終わった。やっと先を作っていける……

矛盾点が多すぎて死にそうですが何とか言い訳出来るように練り直しました。

疲れました。久しぶりに有給使うくらい時間かかりました。

でも先は見えたんで書いていきたいと思います。


3部は結構長くなります。旅に出ますからね。

後は書いていくうちに設定の矛盾点が出ないように祈るばかり……

出始めたらまた更新が止まる……

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