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35 父親に嘘の状況説明する為に全力を尽くす7歳の少女の様子 後編

クレフォリアと取引してアイテムボックスを披露して貰えるようになったナターシャ。

残りの設定を考えて、さっさとゆっくりしたい所。

 ナターシャはクレフォリアに思いついたら言ってねと告げ、クレフォリアもそれに頷く。


 さて、最後だ。斬鬼丸の説明。

 自然発生ルートを使ってもいいけど、一応念のために設定を作っておこう。


「……じゃあ後は、斬鬼丸の説明だね」


「……どうなさいますか?」


「……うーん、クレフォリアちゃんの解放後、

 犠牲者の弔いとして想いを精霊化させる魔法を行った。

 クレフォリアちゃんと共に精霊魔法を使った時、

 突如信仰と魔力が集結して斬鬼丸が創り上げられた。

 その際奴隷紋が変化して、見た事も無い紋章へと変化した。

 動揺するクレフォリアちゃんを守る為に勇気を出して一歩前に出て、

 自分が創った、と言った私をマスターとして仕えている。……なんてどう?」


「……良い出来です。これで完成ですね」


 クレフォリアが手を合わせ喜ぶと同時に、ナターシャもふぅと一息つき空を見上げる。


 これで辻褄が合わせられて秘密チートもバレない。ハズ。

 でも、クレフォリアちゃんには魔道具(スマホ)の事がバレてしまった。魔王と連絡をとる為のアイテムだと勘違いさせた物のどうすりゃ良いんだろう。

 7歳児が繋がり持てるようなレベルの地位の人じゃないのは明らかだしなぁ……。と虚空を見つめながら考える。


 ……まぁ、考えても仕方ない。

 元々全部バレるの覚悟でやった事だ。それ以外はバレていないので何とかなるだろ。

 あーでも、もしかしたら魔力もバレてるかも。でもいいや。ちょっと多く持ってるんだ程度に言っておこう。

 ただまぁ、魔王の事とか世界の事をもう少し勉強すべきだな、と考え直す赤城恵(ナターシャ)


 そうそうそういえば、転生物の基本は現在の情勢を知る事、とかどっかで見た。

 今度旅に出る時までには本格的に社会の勉強しとかないとダメだよなぁ……。

 そして魔王を打倒し俺が真の魔王へとなるのだ……。

 頭の後ろに両手を回し、少しづつ下にずり落ちていくナターシャ。


 少なくとも今必要なのは近くのエンシア王国と、兄マルスの居るスタッツ国の事。後教会とか宗教について。

 今気軽にできる勉強法と言ったら、お父さんの部屋の本を片っ端から読むくらいしか無いよな。後は両親に尋ねる事。

 神父様に教会とか宗教の事聞いても良いけどなんか怖いのでパス。

 文字は6歳まで必死に勉強したから覚えたけど、数学とかも覚えないとなぁ。……オイそこ。リンゴに釣られただけだろとか言うな。ちゃんと頑張ったんだぞ。

 それとこの世界、数字も変わった形してるんだよな。ミミズ文字じゃなくてなんて言うかー……そう、「」みたいな文字。

 でも0~9がある事は変わらない。0は人類の偉大な発明だーってネットで見た。

 そして当然のように十の位、百の位などの特殊記号も存在する。


 ……っていう事までは知ってるんだけど、これは兄からそう教わっただけで実際の文字は一度しか見た事が無い。

『お前に解けるか?』って言われて謎文字の足し引き見せられた所で分かるかって話だよ。関数使った数学じゃないんだからさ。

 ちなみに足し引きを表してるのは専用の特殊文字ね。説明されるまで頭捻るしか無かったわ。

 ただまぁ、今度は色々と狼狽えないようしっかり知っておかないとな……。


 虚空を見るのをやめ、右を見る。


 クレフォリアは忘れないようにと先程教えた魔法を復唱している。

 ナターシャの視線に気付くとにっこり笑いかけてくれる。優しい。

 コチラも笑顔で返し、左を見る。


 左では丁度眠りから覚め、起き始めた盗賊が騒ぎ始めている。

 それに対して斬鬼丸が曲剣を抜いて威嚇している所だ。


「……静かに為されよ。命が惜しくない物のみ発言を許可する」


 ゾクッとする程の殺気が斬鬼丸から放たれる。怖ぇ……。

 盗賊達も怖気づいたのか黙りこくり、静かになる。というかその場に居る全員が恐怖して斬鬼丸に視線を向ける。

 その視線に気づいたのか斬鬼丸が座ったまま後ろを向き、失礼したと軽く謝罪してから再び前を向き盗賊達を見下げる。


「……とても驚きましたわ」


 クレフォリアが赤城恵(ナターシャ)の肩に寄りかかり、隠れる仕草をしながら斬鬼丸の様子を伺う。


「同じく」


 ナターシャもビビりながら斬鬼丸を見つめる。

 軽く創造しちゃったけど結構危ない精霊なんじゃないかな斬鬼丸。

 今は従順だけどもいずれ反乱起こして主君の首狙ったりしてこないよね……?

 私可愛い女の子だから大の男に襲われると抵抗出来ないから困る。いやまぁ魔法あるから数人程度なら処理できるけど。後で好みとか聞いとこ。主君の。


 ……あぁでも強者である事が好みだとか言われたら諦めて欲しいという他ないな。

 やっぱそこら辺は妥協して貰うか。うん。一応主命令で。

 でもそんな事すると逆に反感買いそうだなぁ……と思いつつ、家につくまで暇なので微睡む事にする。

 ツギーノ村へ着く為に早起きしたからね。ちょっとだけ眠いんすよ。

 でも生まれて初めて馬車乗ったけど意外と揺れるね。そんで時々来る縦揺れがケツに来る。

 クッション? あぁ、テントあっただろ? アレを消す魔法と共に消えた。次テント出す時に戻ってくるらしいからそれまで我慢だ。

 一個くらいクッションを持ち込んでおけば……待て、良い事思いついた。

 ナターシャは父を呼び、お願いをする。


「お父さーん」


「何だいナターシャ!」


 前を見ながらリターリスが話す。


「お尻痛いからテント荷台の中に出しても良い?」


「狭くなるからダメだ!」


 当然だ。俺もそう思う。だから狙いは別だ。


「クッションと毛布取り出すだけだから。お願いお父さん」


「うーん……まぁ、それくらいなら良いよ!」


 ちゃんと片付けるんだよ、という言葉にはーいと返事をして、クレフォリアちゃんにテント魔法をお願いする。

 クレフォリアもお尻が痛かったらしく、軽く了承してくれた。

 御者台の近くに立ち、リターリスを背にして魔法を唱える。


「“仮初の天幕よ、この場に帆を張り、地に根付け! 仮寝床(レスト)”!」


 ボンッと木で出来た三角柱の骨組みが出現する。

 その上に空中に出現した中央で縫い合わされ、四隅に穴の開いた革のシートがブワァッと広がって被さる。

 最後に穴の部分に鉄の杭が打ち込まれてテントが完成する。

 荷台は狭いので斬鬼丸の背中がテントに押される形になる。


「む、何事?」


 突如背中を押された斬鬼丸が驚いて後ろを見る。


「あっごめん斬鬼丸! ……さん! すぐ収納するから!」


 ナターシャが謝罪する。


「御意」


 そう言って斬鬼丸は前を見る。ごめんね?


 入口は御者台の方にあり、クレフォリアは早速入って作業している様子。ナターシャも手伝う。

 ポフ、ポフとテントから投げられたクッションが御者台に当たり、その後からクレフォリアとナターシャが声を出しながら毛布を引っ張り出す。

 全部引っ張り出した所でテントを消してもらい作業終わりだ。


「ごめん斬鬼丸……さん。クッション要る?」


 ナターシャが斬鬼丸にクッションを差し出す。


「……では、有難くお借り受けするであります。到着次第お返し致します故」


 カチャカチャ、と軽く礼をする斬鬼丸。思ってるより礼儀正しくて素直。


「斬鬼丸さんすいません! 家の子がご迷惑を!」


 リターリスが大声で謝る。


「お気になさらず! 拙者もクッションを貰えたので逆に有難いであります!」


 リターリスは斬鬼丸の返答にもう一度だけ謝罪をして、ナターシャを呼び出す。

 ナターシャは御者台の近くに顔を出す。

 そしてポコンと軽く殴られる。酷い、女児なのに!


「次からは毛布とかクッションは先に出しておきなさい。斬鬼丸さんに迷惑だと分かっただろう」


「でもお父さんが許可だしたんじゃん……!」


 そう、理不尽でもある。


「見立てではもう少し小さい予定だったんだ。なんか大きくなってないかい?」


「そうだっけ?」


「あぁ、街道の上にある時より大きくなってたよ」


 そう言えばそんな気がするけど、街道の時はよく見てなかったから大きさとか覚えてない。


「それはクレフォリアちゃんに聞いてみるね」


「うん、お願いするよ」


「あ、お父さんクッション」


「おぉ、ありがとう」


 父はクッションを受け取り、その上に座る。

 一時的に会話を終えたナターシャは、クレフォリアに理由を尋ねる。


「なんかテント大きくなってなかった?」


「はい。それに何故か、毛布の量も増えてました。理由は分かりません……」


 クレフォリアちゃんにも謎のようだ。

 一体何が原因なのだろうか。熟練度?いやゲームじゃあるまいし。

 そして父の所へ戻る。


「理由分かんないって」


「そっか。まぁ、たまたまさっきのタイミングで魔法が上手くなったんだろうね」


「そんなもんかな?」


「そんなもんじゃないか?」


 そんなもんなのか。


「それで、後どれくらいでお家?」


 リターリスはその言葉を聞いて空を見る。雲一つ無い綺麗な青空だ。

 太陽はまだ昇り切っておらず、まだ朝だと告げている。


「家には昼くらいに着く。それまでおとなしくしていなさい」


「はーい。寝てるから着いたら起こして」


「分かった」


 ナターシャの頭をクシャクシャと撫でて別れを告げるリターリス。


 ナターシャは慣れない手つきで頑張って毛布を折り畳んでいるクレフォリアを手伝い、床に敷く。

 そしてクッションを枕に、折り畳んだ毛布に挟まって寝る事にする。

 クレフォリアもナターシャの真似をする。そして距離を詰める。……なんでさ。


 相変わらず至近距離にいるクレフォリアに変な笑みを浮かべるナターシャ。

 対するクレフォリアは楽しそうな笑みだ。


「お、お休み」


「おやすみなさいナターシャ様」


 ナターシャは目を閉じて(うずくま)り、毛布の中に顔を隠す。

 なんでこう近いのかなぁ、もう。

会話メインのパートは流れに沿って作らざるを得ないので赤城恵ナターシャの面白みが減るのが問題。

でもこの部さえ終われば色々な制限から解放されるはず。なのでそれ目指して頑張ります。

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