207 魔導教師オスカーの存在意義《レゾンデートル》
だが彼は魔導士学園の先生だ。
魔法に関してはとても詳しい。
ステータスオープンの意味から大体の効果を察して、こう答えた。
「その魔法ってようは……個人の状態を表示する魔法だよ、って事っすよね?」
ナターシャは頷いて、詳しく説明した。
「そうですね。スキル以外にも、LvとかHPとかMPが表示されます」
「えっ、ちょ、ちょっと待って、Lvはまだ分かるっすけどそのHPとかMPとかって何っすか!?」
オスカーは困惑した。聞いた事の無い情報が多すぎたのだ。
そのままの意味なんだけどなぁ、と思うナターシャ。
まぁ何はともあれ、実際に見て貰った方が理解が早い。
ナターシャは今から使うから見てて、と言って、ステータスウィンドウを表示した。
「“ステータスオープン”」
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Lv8/99 名:ユリスタシア・ナターシャ
年齢:7歳 職業:魔法使い
称号:なし 47/768exp 利き手:両手
HP245/245 MP12100/12100(Ex)
ATK:40 VIT:245
STR:5 DEF:21+20
INT:70+10 RES:51+20
DEX:4 AGI:50
SPD:75 LUK:195
武器1(左):なし 武器2(右):黒・猫・魔・導
頭:スラミー 体:魔導服
左腕:黒の長手袋 右腕:なし
腰:魔導服 脚:黒タイツ
足:革のブーツ アクセ:指輪(2)
????(???)
?300 ?500 ?400 ?300
?300 ?200 ?100 ?500
―――――――――――――――――――――――
所持スキル一覧
剣術Lv0 魔法適正Lv3 会話術Lv1
神の加護(魔法)Lv3:Unique.
熾天使の紋章:Unique
????:Passive
???の血筋Lv5:Unique
―――――――――――――――――――――――
「うぉぉ!? 何か出たっす!?」
驚くオスカー。目を白黒とさせている。
シュトルムも詠唱をトレースしたようで、ナターシャと同じようにステータスを表示させた。
「フッ、次は我が力に怯えるが良い! “ステータスオープン”!」
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Lv20/99 名:ヘルブラウ・シュトルム
年齢:14歳 職業:魔双剣士
称号:蒼穹の嵐 234/9103exp 利き手:右手
HP400/400 MP490/490(Ex)
ATK:206 VIT:400
STR:103 DEF:100+80
INT:100 RES:190+100
DEX:125 AGI:73
SPD:250 LUK:55
武器1(左):なし 武器2(右):なし
頭:なし 体:魔導服(特別製)
左腕:なし 右腕:なし
腰:魔導服(特別製) 脚:ニーソックス
足:長い軍靴 アクセ:なし
????(???)
?0 ?0 ?100 ?0
?0 ?0 ?0 ?0
―――――――――――――――――――――――
所持スキル一覧
剣術Lv5 剣技Lv4 体術Lv3 身体強化Lv4
魔法適正Lv5 会話術Lv1 中二病Lv6
???:Passive
???:Unique
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「き、君も出せるんすか!?」
再び驚くオスカー。シュトルムは返答した。
「フッ、当然だろう? さぁ、お前も詠唱しろ。そしてその力を示せ!」
「お、おぉ、やってみるっす! “ステータスオープン”!」
そしてオスカーのステータスが表示される。
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Lv1/99 名:フィリカルド・オスカー
年齢:18歳 職業:魔導士
称号:学園教師 0/30exp 利き手:左手
HP80/80 MP150/150
ATK:30 VIT:80
STR:10 DEF:30+50
INT:80+30 RES:70+80
DEX:80 AGI:18
SPD:60 LUK:20
武器1(左):黒樺短杖 武器2(右):なし
頭:なし 体:魔導軍服(最新型)
左腕:なし 右腕:なし
腰:黒革ベルト 脚:魔導軍服(最新型)
足:魔導軍靴(最新型) アクセ:なし
????(???)
?100 ?100 ?100 ?100
?100 ?100 ?100 ?1000
―――――――――――――――――――――――
所持スキル一覧
魔法適正Lv5 会話術Lv1
ファイアーボールLv1(10MP)
サンダーボールLv1(10MP)
アイスボールLv1(10MP)
ウィンドボールLv1(10MP)
ファイアーウォ――――
・
・
・
教師のカリスマLv1:Rare
???の血族:Unique
―――――――――――――――――――――――
「おぉぉっ!? 詳しく知らないのに出せたっす! これ面白い魔法っすねぇ!」
オスカーは三度驚いて、今度はステータスウィンドウを触り始める。
ナターシャとシュトルムは、彼のステータスを見て、こう言う。
「Lv1……」
「たったのLv1か……軟弱者め。私はLv20だぞ」
「うぐっ、それには触れないで欲しいっす……! 僕は元々、ただの魔法研究員なんすから……!」
彼は少々悔しそうに呟いた。
◇
オスカーはステータスウィンドウの各種表記をタップし、そこで表示される説明文を読んだ事で、二人の強さを理解したらしく、『僕よりも左上のLv表記が高いって事は、君達は魔物との戦いに慣れてるって事なんすよね? だったら折角なんで手伝って欲しいっす』と言ってくれた。
ただ、ステータス表示魔法、強いてはステータスウィンドウが彼の研究意欲をそそるらしく、『すみませんナターシャさん、魔術学会にこの魔法の存在発表をさせて欲しいっす。論文に纏める時はちゃんと共同署名にするんで、お願いするっす』とも言われた。
まぁナターシャとしても、ステータスという概念は世間一般に広く普及したい所なので、快く許可を出した。
そしてナターシャ・シュトルム・オスカーの三人は、軍管轄下の森の内部――オスカーの案内と、ナターシャの範囲隠匿魔法によって、安全に最奥まで辿り着けた。
そこには、マルシェルームの母体――大菌糸体と呼ばれる物が存在していた。
直径にして十メートル近くもある開けた広場全体に、マルシェルームの白い菌糸が蔓延っているのだ。あまりにも白い原っぱなので、とても目がチカチカするナターシャ。
しかし、オスカーは特に意に介さず、まずは感心したように呟いた。
「おぉー、まさか戦闘無しでここまで来れるなんて。ナターシャさんは凄い魔法を使えるんすねー」
「まぁ、熾天使に愛されてますから」
そう言って、左手の甲にある紋章を見せるナターシャ。
オスカーもそれを見て、とても羨ましいっすねー、と言った。
続いてシュトルムが、オスカーに尋ねる。
「それでオスカルよ。新種マルシェルームとやらは何処から発生しているのだ?」
「えっ、そ、それって僕の事っすか?」
「あぁそうだが?」
何か問題でも? という表情のシュトルム。
オスカーは困惑したようが、まぁ、特に気にしない事にしたらしい。
まずは、と二人に分かりやすい説明をした。
彼曰く、マルシェルームは種類によって菌糸の色が変わるらしい。通常種が白、昏睡種が紫、など。
今回見つかった新種は傘の色が茶色なので、茶色い菌糸体を見つけたら報告して欲しい、と言われた。
「じゃあ、捜索をお願いするっす」
「はーい」
「フッ、任せろ」
ナターシャ達が手分けをして、1時間後。
「見つからないぞオスカル!」
「オスカーさん、全然見つかんないよー?」
「あれー? おかしいっすねー……?」
いくら探しても見つからず、困惑する三人。
再び集まって話し合う事にした。
その中でナターシャが言った『新種マルシェルームが生えているのは地面――腐葉土じゃ無くて、枯れ木や倒木なのでは?』という疑問から、三人は捜索対象を変更する事にした。
しかし、普通に探すとさらに時間が掛かってしまう。
なのでナターシャが索敵魔法を使用した。
「“――森の監視者”」
すると物の1分で見つかった。
新種マルシェルームは、大菌糸体から少し離れた場所の倒木――ナラの朽木で小さなコロニーを作っていた。最初からこうしておけばよかったと思う。
オスカーは早速、菌糸体が付いた朽木の一部をビンに入れて、今日の日付と採取物の名称を魔法で記入した。
ナターシャは新種マルシェルームを5匹ほど捕獲して、バレないようにアイテムボックスに入れた。
これでお互いの目的は達成だ。
「じゃあ、街に帰りましょうか。もう用事は無いですし」
「そうっすね、僕も早く帰りたいっす」
「フン、ジークリンデがそう言うなら仕方ないな。ガーディアン討伐はまた後日にしよう」
「あはは、そうだね。オスカーさんを守りながら戦うのは大変だから、また今度だね」
「う、お世話を掛けるっす……」
三人は仲良く会話しながらフミノキースに帰って、最後にお別れをした。
「じゃあナターシャさん、ステータス表示魔法、有難く発見報告させて貰うっす」
「うん、研究頑張ってねー」
「またなオスカル。次に会う時には、Lvを10は上げておけ」
「ぜ、善処するっす……ではまた」
去っていくオスカーに手を振って見送り、再び暇になるナターシャとシュトルム。
ナターシャが色々と考えた結果、『とりあえず家に帰ろう』と決まった。
「その後はどうするのだ?」
「まずはテスタ村方面に転移して、向こうの様子を確かめた後、マルシェ・ガーディアン討伐をするか、昼寝するかのどっちかだね」
「フッ、中々忙しいな。だが付き従おうじゃないか」
「ありがと」
ナターシャとシュトルムは一度、エメリア旅行雑貨店へと戻る。
今回はズルしました
オスカー編はさっくり消化するくらいで良いよね




