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邪気眼少女の極唱魔法(エクスペル) ~異世界転生したらTSした上に厨二病を再発症する羽目になりました~  作者: 蒼魚二三
ナターシャ7歳編 -テスタ村とハビリス族の隠れ里と、スタンリー秘密工房のアントレ-
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178 ナターシャ、そそのかされて異世界系配信者になる事を決める

 夕飯を食べ終えて、寝る前に天使ちゃんとのLINEに勤しむナターシャ。

 お互いに好きな事を語って、時々ボケては突っ込み合う。そんな会話をしていた。


 そんな何気ない会話の中の一言で、ナターシャの人生が変わる事となった。


ナターシャ

[最近の流行はやっぱ〇outubeだよねー]


天使

[だねー。天使ちゃんも暇なときに見てるー♪]


ナターシャ

[でも個人的に思うんだけどさー、人気の動画ってさー、テンポが良いだけで見てて学ぶ物が無いんだよねー]


ナターシャ

[本の内容を簡単に要約してみた! っていう動画も、結局は実物を読まないと本質が掴めなかったりするんだよねー。その癖さ、電子書籍はお金掛かるから買えないしさー]


天使

[あ、なっちゃんがめんどくさい人になってるー☆ でも聞くー♪]


ナターシャ

[だってさー俺、転生者だよ? 昔の世界の情報を手に入れる手段って、このスマホしか無いんだもん。もっと詳しく知りたいなー、ってどうしても思っちゃうんだよねー]


ナターシャ

[確かに事故で死んで、来世では失敗しないために異世界転生を受け入れたにしてもさ、やっぱり元の世界の家族とか、友人への未練はある訳よ。それでも割り切って生きる事は決めたけど……やっぱ気になるじゃん?]


天使

[なるほどー? つまりー……――――


 天使ちゃんの何気ない一言が、ナターシャの心を高鳴たかならせた。


――――なっちゃんが動画配信者になって、元の世界との繋がりを増やせばその寂しさも解決するのではー?]


ナターシャ

[俺が配信者に……?]


天使

[そゆこと♪ 試しになってみたら? 応援するよ☆]


 突然やって来た、極度の緊張で手が震え始めるナターシャ。

 まともに思考出来ないほどにドキドキしているが、何とか断る理由を考え、打ち込んだ。


ナターシャ

[でも、他世界への干渉って良くないんじゃ]


天使

[あー大丈夫大丈夫! そういうのって管理が下手な神様が運営してる世界だけだし! それにくらべて我らの世界はしっかり運営してるから安泰よ!]


ナターシャ

[でも、配信する内容なんて無いし]


天使

[いっぱいあるじゃん! 中世で異世界な街中を散歩したり、食事したり、色んな人と話し合ったりして! あ! 時々は冒険者として活動して、ファンタジーな魔物を魔法で倒しちゃったり! なっちゃんってば美少女だし、大人気間違いなし!]


ナターシャ

[いやでも、そんな簡単に人気になんて]


天使

[えー? 折角だし試してみようよー♪ 天使ちゃんもなっちゃんの日常をリアルタイムで見たーい♪]


ナターシャ

[で、でも]


天使

[やろーよー♪ 天使ちゃんもいっぱいサポートするからー♪]


ナターシャ

[うぅ]


 天使ちゃんの強い押しに、困ってしまうナターシャ。

 正直な所、配信で何処まで行けるか試してみたい、という気持ちはある。

 だけども……この容姿で釣ったり、同接目当てにリスナーに媚びたりするのは嫌なのだ。

 どうせなら、ちゃんと俺の素の姿を見て、その上で気に入って欲しい。

 でも、容姿目当てで変なリスナーが増えたら……でもやってみたい…………


 思考が堂々巡りになって困り倒したナターシャは、つい変な事を聞いてしまう。


ナターシャ

[でも、でもさ、悪い人に個人情報とか、住所特定されたりしたらさ]


天使

[違う世界に居るのに特定される訳ないって! ねー配信やってみようよー♪]


 それもそうである。

 住んでいる世界が違うのに、特定されるハズが無いのだ。


 俺はただ、理由を付けて現実から目を背けて、逃げているだけ。

 ただ怖いからやりたくないだけなのだ。

 前世への未練が未だに残っているのも、自分が変わってしまうのを恐れているから。


 いつだってそうだ。

 俺は、自分の道を切り開く術をもう知っているのに、いつも踏み出すのを恐れている。

 臆病者で、成長出来なくて、いつも周りに合わせて、失敗した過去に囚われ続けるだけの人生。


 生まれ変わってもそれは変わらなくて、何か大きな事をやらかしては周りに嘘を付いて、穏便に、平穏に生きるだけ。

 常に何かに縛られて生きていて、いつか大人になって、これは自分が選んだ人生じゃない、と何処かで後悔して。

 

「――ッ」


 だったら今すぐ、そんな生き方は辞めるべきじゃないのか。


 今、自分が選びたい道を進んで、何度だって後悔しても良い、それでも前に進むって。

 俺はもう、クレフォリアちゃんを守る時に誓ったじゃないか。


 ならば踏み出せ。

 次は他人の為じゃなく、自分の為の一歩を。今ここから。


 ナターシャは大きく深呼吸して、返信する。


ナターシャ

[……分かった。配信してみる]


天使

[ホント!? やったー!]


 万歳スタンプを投稿する天使ちゃん。相当嬉しいようだ。

 ナターシャもドヤ顔スタンプを投稿して、場を和ませた。


天使

[じゃあ早速天界に連絡するね! 色々と準備があるし!]


ナターシャ

[どんな準備?]


天使

[なっちゃんのスマホの回線強化と、動画サイト統合型のネット配信アプリを提供する準備! あ、ユリスタシア家にモニターを設置するからねっ♪]


 それを聞いたナターシャが、素朴な疑問に至る。


ナターシャ

[……もしかして、最初から配信させるつもりだったの?]


天使

[違うよ? 最初は天使ちゃんが配信する予定だったんだけど、なっちゃんにも任せた方が人気出るかな? って思って♪ だってコラボ配信とか出来るし!]


ナターシャ

[なんで天使ちゃんが配信するの?]


天使

[人の魂はね、多ければ多いほど良いんだよ? 輪廻の輪のリソースが増えるんだよ?]


ナターシャ

[なるほど?]


 転生先としての宣伝目的か。

 天界所属の天使ちゃんらしいお仕事だ。


ナターシャ

[まぁ、準備が出来たら言ってね]


天使

[あ、準備はもう出来てるよ☆ 今からアプリをインストールするサイトのURL送るねー☆]


 LINE上に専用サイトのURLが表示された。

 は、早い……。俺の覚悟が決まった内に行動させるつもりか。

 ナターシャは早速インストールし、動作を確認した。


 配信前の設定画面には、タイトルや配信コメント欄の他に、ワンタッチで配信するサイトを決められるボタンが設置。

 他にも、各種SNSへの配信開始報告、コメントの自動読み上げ機能、解析度や画面・音声ビットレートはサイト別に自動調節してくれるなど、見やすいフォーマットながら、とても便利なアプリのようだ。


ナターシャ

[使い易そうだねこのアプリ]


天使

[でしょー? りびるん達も会心の出来だって言ってた!]


ナターシャ

[りびるん?]


 誰だ? 悪魔か?


天使

[あぁ、ちょっと前に男天使さんに会ったでしょ? あの人。天使ちゃんの部下なんだー♪]


ナターシャ

[あぁ……]


 アイテムボックスから現れたあの天使(リビル)か……

 ちょっとしたホラー体験を思い出したナターシャ。

 天使ちゃんはまだまだ話を続ける。


天使

[あ、アプリ以外にも渡す物がいっぱいあるんだ! アプリと連動してる魔道具があってね?]


ナターシャ

[マイクとか、撮影機具とか?]


天使

[そうそう! ま、リズールさんでも創れるとは思うけど、天界としては広報に力を入れたいので沢山サポートさせていただきますとも! ザ・大盤振る舞いッ!]


ナターシャ

[どんどんパフパフー]


 毎回大盤振る舞いしまくってると思うけどね。


天使

[じゃあ送るねー☆]


ナターシャ

[はーい]


 アイテムボックス経由で機材一式が送り付けられ、ナターシャはまたしても動作確認。

 天使ちゃんが言うには、機材はスマホと無線接続出来て、装備者の魔力を利用して動いているらしい。


 まず最初に確認したのは、片耳式のヘッドセット。

 これは、マイクでは拾い辛い俺の音声をちゃんと拾う為の物で、更に読み上げられたコメントをしっかり聞く為の物らしい。

 随所に魔法陣や結晶など、ファンタジー要素が組み込まれた近未来的なフォルムが中二心をくすぐる。


 次に確認したのはカメラ。

 自動浮遊し、三人称視点で周囲を映すタイプの物。

 黒猫の顔とマギカスライムを足したものに、コウモリの羽が生えた使い魔タイプの見た目。可愛い。

 攻撃を仕掛けると避けたり、遠くに離れたりするので、戦闘中でもしっかり撮影してくれるだろう。


 マイクも同じく浮遊式で、大体はカメラと同じような感じ。ただ、コッチは白猫。

 しかし臨場感を追求したのか、立体音響方式を採用したようだ。

 試しに連動させた片耳式のヘッドセットから、マイクが拾ったであろう環境音が聞こえてきてとてもこそばゆい。


 最後は、配信の要となるスマホの遠隔充電機。

 片方はゴシック系のシルバーリングで、もう片方はスマホの外部接続端子に差し込むミニマムボックスタイプ。

 充電ケーブルが要らなくなったのは助かる。


 確認を終えたナターシャは、天使ちゃんに連絡する。


ナターシャ

[めっちゃ大盤振る舞いじゃん]


天使

[それだけ重要なお仕事って事ですよ! 一緒に頑張ろうねなっちゃん♪]


ナターシャ

[まぁ、うん。物は試しだから、明日からやってみる]


天使

[良いね☆ ふぁいとー♪]


 LINEを終えて、ひと段落ついたナターシャ。

 周囲に浮かぶ機材一式はそのままに、ベッドに入り込んで眠った。

割と雑に考えました。

スマホをどうしても生かしたかったんや……

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― 新着の感想 ―
[良い点] いや、ファンタジー生活を配信が出来たらきっと大人気でしょう。 でも逆に、異世界の過度干渉についてはもっと考慮するべきだと思う。流石に禁止事項に入るべきかも。
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