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スキッツォイド

作者: 古谷俊樹

後ろ向きの殺人(仮)

スキッツォイド


性質考察

捨てられて拾われて、切られて切って、殴って殴られて、そうして私という人が出来上がりました。

人間関係とはかくして繰り返される裏切りと見切りの賜物なのでしょうか。私という性質が成されたのもこうした人間の影、これは誰にでも当てはまる人格や性格などと呼ばれるものでしょうね。


裏切りの追想

わたしはこの背中で多くのものを殺してきた。多くのものを見殺しにしたし、多くの者達を置き去りにしてきた。

わたしは高校生の時に住んでいたマンションが家事で焼けてしまった。わたしは家族四人で、みんな同じ部屋で寝ていたのですが、1番最初に煙に気がついたわたしは家族を起こさず水を被って1人で逃げ出した。弟が帰らぬ人となった。パパとママからは責められなかった。

大学生の時、公園で遊んでいる子供たちがいた。そのうちの1人が木登りをしていて、高い所から落ちたようだった。痛い痛いと呻いて周りの子はどうすればいいかわからない様子だった。わたしは無視して授業に遅れそうだったのでその場をあとにした。

社会人になった。

同期の営業部の女の子とよく話すようになった。プライベートでも会うようになった。

その子がある日、取引先との契約資料などが全て入ったUSBメモリを失くしたようだった。いつもカバンの内ポケットに入れてると言ってたから、たぶんそこに入ってる。

全然関係ない話なので無視して自分の仕事をしていたら、いつの間にか、わたしがUSBを隠した事になっていた。次の月にわたしは経理から異動になった。そこでもわたしが人の物を隠した、盗んだと噂になっていた。

わたしは仕事を任されなくなり、「君がいると社の雰囲気が悪くなる。」と言われて首を切られた。

次の職場は接客業だった。

言われた通り仕事をしていたら先輩上司から調子のいい奴だと陰口を言われていたらしい。仕事は続いたが3年目の春、帰り夜道に男に襲われた。ナイフを見せられたので大人しくする事にした。身体をまさぐられ、蹂躙された。最後には他言しないようにと思い切り顔を殴られた。顔を見たらいつもお金を渡す時にわたしの手を握ってくる頭の薄いサラリーマンだった。

後日、会社の上司に報告すると君から誘ったんじゃないのか、と切り捨てられてしまった。その事が社内にも広がってわたしは仕事をやめた。

警察に被害届を出そうにも捜査の仕様が無い、諦めてくれとカウンセリングの為の病院を紹介された。

カウンセリングに通い始めて1ヶ月、妊娠が発覚した。もちろんわたしをレイプした人との子供なので下ろすことにした。下ろすと言ったら病院の先生に「命を粗末にするな」と怒鳴られた。親に相談したら「この売女、二度と帰ってくるな」と勘当された。

子供はおろした。

そのうち生活保護を受けてくらしていたら、ケータイが鳴った。最初の会社でわたしを盗人扱いした女の子だった。

どうやら人手が足りないから戻ってこないか、という話らしい。

もちろん、断った。虫が良すぎると言うと、そうかじゃあ死ねと一言いわれて電話を切られた。


報せ。

落ちるところまで落ちたなと思って、ベランダの手すりにタオルを通してから身を投げて首を吊ろうとした。

体重を支えきれなくてタオルがちぎれ、わたしはマンションの3階から転落、足と腕を骨折、精神的に病んでいると長期入院する事になった。


あぁ、誰か。誰でもいい

わたしを助けてください


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