第21話 純白の槍撃手(後編)
「やはり使ってしまいましたね。合成魔法を」
そう、オーディンは言いました。
まるで私達が合成魔法を使う事が分かっていたかの様に。
いいえ。
オーディンは本当に分かっていたのです。私達が合成魔法を使う事を。
何故なら彼は過去、未来、現在の全ての知識を手に入れているのですから。
オーディンは言います。
「私には分かります。貴方達が私に勝利する事は、絶対にあり得ません」
オーディンのこの意見も、恐らく未来の知識を参考にして、様々な可能性を考慮した上で出した結論なのでしょう。
未来の知識を持っている相手と、一体どうやって戦えばいいというのですか?
ですが、そんな私の不安を取り払う様に。
「大丈夫。まだ打つ手は残っているよ、コマ」
グンちゃんはそう言いました。
どうやらこの身体を動かす権利と、この口を動かす権利はグンちゃんにしかない様です。
◇◇◇◇◇
「一つ、聞いてもいいかな?」
そう言って、グンちゃんはオーディンに質問します。
「何で、僕の妹を無理やり連れ去ったりしたの?」
その答えは実に単純で、実に自分勝手なものでした。
「私の理想の女性だったからです」
オーディンはそう答えました。
「彼女を自分の妻にする為に、この世界に連れて来たのです。逆に私が好意を抱いている人でないと、完全な状態でこの世界に連れて来る事が出来ませんから」
「どういう事?」
「“神のご加護”というのは、神が思いを寄せている相手にしか発動しない力なのです。なので私が好意を抱かなかった貴方は、時空を越える衝撃に耐えられず記憶を失ってしまった、という訳です」
オーディンはそう説明しました。
◇◇◇◇◇
オーディンは言います。
「では決着をつけましょうか、槍撃手」
次話は一週間後に投稿する予定です。




