第19話 おわりの日
グンちゃんの本当の名前は“十六夜神凪”さんでした。
グンちゃんの持っている神器、漆黒の槍は黄金の槍の量産型、劣化版でした。
その上、漆黒の槍では黄金の槍を持つ者を貫けないそうです。
そんな最強の神器を持つオーディンに勝利出来る唯一の可能性は“合成魔法”で私とグンちゃんの力を一つにするという方法だけでした。
しかし、合成魔法を使用するとその代償で、使用者は記憶を失う程の衝撃を受けてしまうそうです。
つまり、オーディンを倒すには“私かグンちゃんのどちらかが記憶を失わなければならない”という事になってしまいます。
……いやだよ、そんなの。
◇◇◇◇◇
「では、始めましょうか。十六夜神凪さん」
「……うん。コマ、合成魔法の呪文を唱えて」
グンちゃんは平然とそう言いました。
……何で平気な顔をしてそんな事、言えるんですか。
私はグンちゃんに聞きます。
「私は、私はグンちゃんに忘れられたら悲しいです。グンちゃんは、私に忘れられても何とも思わないんですか⁉︎」
「……。」
グンちゃんは沈黙したままでした。
「私はグンちゃんを忘れたくないです。忘れられたくないです。だからっ!」
私は唱えます、とある呪文を。
「合成魔法を使わずに、オーディンを倒す方法があるかも知れないじゃないか!」
可能性が低くても、グンちゃんに忘れられるよりは何倍も増しです!
「——我に眠りし白き獣よ! 今こそ、その血を、魂を解放し、その果て無き力をこの世界に轟かせよ! 獣化魔法っ‼︎」
「行きますっ!」
私はオーディンに向かって走ります。
誰も、記憶を失わなくても良い様に。
「待って、——コマ!」
私はグンちゃんの声を無視して、オーディンに飛び掛かりました。
次話は一週間後に投稿する予定です。




