第七話 ダイイングメッセージをうけとりました。
「安楽寺に火を放て、相手方に寺へ集中させ、かがり火とする。」
徳川家長は、燃えさかる寺の前で、兵士に檄をとばした。
「円陣防御(野戦方陣)にて、乱戦場を突破する!陣形を組め」
徳川家長は血走りの軍団1000名が3つの
に戦闘隊形をくませた。
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【円陣防御 野戦方陣】
スペイン軍が得意とした戦闘陣形
槍の兵と銃の兵を組み合わせ長方形に大方陣を組む。
縦列に火縄銃兵が20列並び、前面に重装歩兵
四方に銃兵が並ぶ。真ん中には長槍の軽装兵が固める。
横には大型銃兵が脇を固める。
スペイン軍はこの陣形により、チェニリョーラの戦い
でフランス軍を破った。
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「敵陣へ円陣を組んで強行突撃を敢行する。決死の覚悟で望め。生き残って
捕まり生き恥を晒すのなら、短刀にて自害せよ。」
「故郷に帰り、妻子に会いたいなら、目の前の敵を一人でも斬り、生き残れ!」
「うおおおおぉおおおお!」
安楽寺、山頂より木霊する。血走りの兵たちの咆哮は死への片道切符の
自己暗示。決死の覚悟で襲いかかってくる徳川家長、血走りの軍団。
は山の斜面坂を怒濤の勢いで邪魔するものを全て返り血にして鎧に浴び
蹴散らして行った。
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僕は燃えさかる安楽寺を見ていた。
「おー寺が燃えてるではないか!夜襲は大成功ではないか。」
秀ちゃん(小早川秀秋)キャンプに来たみたいに大興奮です。
「おかしい、こんなに早くに、寺が落ちるわけない・・」
(まさか徳川家康が自害するるわけもないし、裏切りでもあったのか)
「中田殿そろそろ兵を纏めませんと、援軍が駆けつけております」
長宗我部くんが走ってやってきました。
「うんそうだな」
山の上から駆け下りる3組の軍団を僕は見た。
あの西洋の鎧の軍団は返り血を浴びて真っ赤だ。
あんな部隊、僕は知らないぞ。
「よーし。もういいだろ撤収する。深追いは禁物だ!」
僕が撤収号令をかけたとき、
山の斜面へ立ち塞がる島津義弘を見つけた。
「やめろぉおお!貴方がいないと明日の戦いが!」
僕は叫んだ、しかし混乱した戦場に声はかき消された。
山の斜面から降りてくる
重装兵の体当たりを、島津義弘は槍で受け止めた。
「ふんっ!」
「うぬっ!?我が体当たりを槍で受け止めるとは
名のある武将だとお見受けした。」
「薩摩隼人、鬼の島津義弘、見参じゃ。」
「面白い。 鬼退治といこうか!」
「若造よ、名は何と申す。」
「徳川家長である!
中田殿に死ぬ前にお伝えくだされ。
子を捨てた親の罪は万死に値する」
「何をわけのわからんことを」
「うぉおりぁあああ!」
島津義弘は全身全霊で槍を渾身の力で打ち込んだ。
二の太刀いらず。
しかし家長は体を横にして交わした。
「昔のあなただったら今の一撃で私は死んでいただろう。
しかし貴方は年老い衰えた。」
「くっ何を・・・うっうっ」
徳川家長は交わした槍を背中に背負い両腕で脇を締め動きを封じた。
「中田殿に息子は生きてると、言うのです」
そう告げると家長はおもいっきり
島津義弘を木の根元に投げ飛ばした。
「老将は去るのみ!
貴方は最後に私に会ってしまうとは運が悪かった」
「うぉおおおおがああああ」
家長は奪い取った槍を島津義弘の腹に打ち込んだ。
腹わたが血とともにえぐり出された。
「がああああ、がはっ」
島津義弘が血を吐いた。
「中田殿にお伝え願いますよ・・・もう死んでしまいましたか。」
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「島津殿、生きてくだされ」
僕は撤退する中、島津義弘が家臣に担がれ
腹が血で真っ赤に染まり内臓がえぐり出されていた。
「いいえながはそちのむすこ・・…」
島津義弘が死んだ家長はむすこという
言葉を残して。