第五話 確認しました。
僕はハンニバルの得意戦法 包囲 殲滅戦法を秀吉軍に仕掛けるべく
盾の部隊500で前進した。
伊達 正宗軍 3000名
中田 玄白軍 2000名
対する
羽柴 秀吉軍 約20000名
この作戦で重要なのは前衛の真ん中の
部隊が持ち堪える事だ。
「盾の部隊!持ち堪えろよ!」
「おおー! おおー! おおー!」
秀吉の軍が突撃するも盾の部隊が防ぎ
横から人力槍衾部隊、クロスボウガンの部隊が
援護して何とか撃破していった。
秀吉の精鋭部隊がついに見えた!
10000人の兵が横一列に並んでいる。
あれは、装甲車両部隊1,000車両はあるぞ。
やはり秀吉は僕の部隊をまねてきたか。
クロスボウガンの部隊や人力槍衾部隊もいる。
勝手に許可なくパクリやがって。そうか戦国時代であった。
「とまれ!盾の部隊、後退しろ!」
僕の盾の部隊は前進して後退した。
それを見た秀吉の軍は恐れをなしたと思ったのであろう。
装甲車両の部隊1,000車両が突撃してきた。
敵軍の多さ凄まじきなり。
「中田軍!ここが正念場だぞ!
相手の兵が自分と同じ兵だと思うな!
あれほど沢山の兵がいようと君という人間は一人しかいない!
我々の軍は最強の部隊なんだ!」
「おーおー! ええい!ええい! おー!」
僕の演説により
盾の部隊は指揮が高揚して気合いが入った。
「突撃!敵の本陣に突撃せよ!!!」
突撃の号令とともに秀吉軍の装甲車両と
クロスボウガンの部隊が僕の中田軍500の盾部隊
めがけ全軍突撃してきた。
「後退!後退!ゆっくりと後退しろ!」
「うおおおおおお!」
秀吉の軍の装甲車が盾の部隊と激しくぶつかりあい。
鉄の車輪で中田軍の何名かが轢き殺された。
「絶対にここを突破されるなよ。ここを死守しろ!」
しかし秀吉軍の勢いは止まらず
圧倒的な数で押し込む秀吉軍により
中田軍はジワジワとじり貧となり盾の部隊は
崩れ始めた。
(間にあってくれ!頼む!)
盾の部隊は中央突破された!真ん中より
装甲1車両目が、ついに突入してきた!
(くっそう!駄目だったか・・・・・)
僕は目をつぶった。耐えきれなっかたか!
そこへ敵の突破してきた先頭の装甲車両へ弥助が
ものすごい勢いで走ってきてジャンプ味方の兵の頭を蹴って
ダイビング!勢い余って転がりながら車内へ乗り込んだ。
アフリカ人、弥助の素晴らしい陸上身体能力!
「フゼッケンジャ!ねええよ!」
装甲車両の中で立ち上がると弥助が
おもいっきり金棒で横にスイングした。
敵将の頭は変な方向に曲がった。
「タイショウ!アキラメンジャねえっよ!」
「うおおお!弥助様に続け!!」
一度は中央を崩され左右に分断してしまった
盾の部隊が再び集結、ピタリと閉じた。
「くノ一の部隊!右横から騎馬に乗って後方撹乱しろ!」
「伊達軍!左横から騎馬鉄砲で突撃しろ!」
伊達正宗はどっかに行ってしまったので僕が命令した。
僕は左右から秀吉軍を挟みこむべく命令した。
秀吉軍は中央に塊となり円陣となった。
包囲 殲滅戦法はついに形になろうしていた。
少数の部隊で大部隊を打ち負かす。
Uの字に中田伊達軍は変形した。
○の字に密集した秀吉の部隊は身動きがとれなくなった。
◻◻◻
ハンニバル
紀元前200年頃の
ローマ帝国のライバル、都市国家カルタゴの将軍
15年に渡ってイタリア南部を侵略し、ローマ帝国を苦しめた。
陸上士官学校では必ず学ぶカンナエの戦い(カンナーの戦い)
では包囲 殲滅戦法により兵力2倍のローマ軍を包囲
戦いの後5万のローマ軍の死骸が残された(カルタゴ軍の死者は5千人)
歴史的大勝利をおさめる。
◇◇◇
羽柴秀吉は離れた安全な高台より長久手の戦況を見ていた。
「どうじゃ、戦は終わったか」
座椅子に腰掛け、横には金のひょうたんの馬印を持っている
ものがいる。
秀吉は足を組みボリボリと膝のすね毛
をかいて欠伸をした。
片方は裸足である。
足の指が六本ある。親指が一つ多い。
先天性多指症で遺伝性のものであった
織田信長からは猿、ハゲねずみ、六ツ目と呼ばれた
この男は、現代でいうなら奇形児であり、幼い頃から
いじめられ、かなり苦労したのだろう。
(普通は切り落として5本指にするのだが、
親が貧乏な秀吉はそのまま育てられた。)
「我が軍、相手を圧倒しており、もちろん優勢であります。
只今、相手本陣を攻め込んでおります。」
秀吉は、唇を上にあげ夕空を見た。
「いかに、優れた武将であろうと数で勝るものはあるまい・・・」
「左様 でございます。羽柴秀吉様は天下人になられるのでございます。」
「そうであろう、天は儂を選ぶ、儂を選ばない天などあり得ない。」
◻◻◻
3時間後、僕の包囲 殲滅戦法により秀吉軍1万人が全滅
屍となり戦場に無残に横たわっていた。
秀吉のもとに伝令のものが馬に乗りやってきた。
「申し上げます・・・我が軍2万の兵、ほぼ潰滅しました。」
「そ、そんな まさか、馬鹿げたことを、
もも、もう一度確認して来い、儂は急いで、本城へ戻る、支度せい!」
「そうじゃお前、馬印を持って戻れ、戻れと言っておる!」
「火を消さぬか!儂は、楽田に戻る、どかぬか貴様が死ね、戻るのじゃ」
「落ち着いてくださいませ。羽柴様」
「儂は落ち着いおる!どかぬか!」
秀吉は脇差を抜き部下へ斬りつけた。
「・・・・・」
部下は首を斬られ崩れ落ちる様に倒れた。
夜戦の終わった戦場は、静けさの中に不気味な人の視線が
気になる。
「・・・・・」
「きっさまぁー!!」
秀吉は地面に受身もとらずに顔面からうつ伏せにまっすぐ倒れた。
倒れた時に石に頭を強打、額はパックリと割れ血がドクドク流れ落ちる。
「儂は天から選ば・・・れ・・・」
地面の草をむしりとった。
血は止まらず流れ続ける。
秀吉は部下に背中から胸を短刀で刺され死亡した。
次の日の午後、僕は六本指の秀吉の死体を確認するのだった。
◻◻◻
天下人になった秀吉はたえず脱出するための
ルートを確保していたといいます。
お城には秘密の通路を作り、出かける時は小舟で
逃げられる用意をしていたそうです。
臆病であり慎重だった秀吉の性格がわかります。
秀吉の辞生の句
「霧と落ち 霧と消えにし 我が身かな なんばのことも 夢のまた夢」
夢の中で夢をみてるような、自分は霧のように消えていくような
儚い人生であった。
秀吉の死に方は色々考えましたが武闘派ではないため、裏切りにしました。
賛否両論あると思いますが、僕なりに結論を出したつもりです。
商人として、再起するのも考えましたがやめました。