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序章 僕の新たな野望
醤油で、人の涙を見た。
ソースで、子どもが笑った。
マヨネーズで、戦帰りの男が箸を止めた。
気づいた。
胃袋を握れば、争いは鈍る。
だから僕は、戦国の胃袋を制圧した。
だが
それだけでは足りない。
味は届かなければ意味がない。
届かなければ、ただの壺だ。
ならば次は。
商社設立。
海外貿易。
全国物流網の構築。
物を動かす。
金を動かす。
情報を動かす。
戦国を、血ではなく流通で動かす。
だが、その前に必要なのは
正確な日本地図。
そして、見えない情報網。
城の位置。
川の深さ。
港の水深。
大名の懐事情。
全部、必要だ。
そこで目を付けたのが
旅する俳人、松尾芭蕉。
伊賀出身。(忍者?)
異様な脚力。全国移動の自由度。
不自然な情報収集能力。
句を詠みながら、
山を越え、川を渡り、
城下を通る。
偶然にしては出来すぎている。
僕は確信する。
「この人、絶対ただの俳人じゃない」
俳句は、記録。
旅は、調査。
沈黙は、計算。
そして僕は決めた。
味で天下を揺らしたなら、
次は物流で時代を塗り替える。
こうして始まる
中田運送 設立計画。
街道は血管。
港は動脈。
名産品は心臓。
そして俳句は、地図。
戦国を、動かす。静かに。確実に。




