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【歴史ランキング1位達成】 累計331万1千PV 僕の戦国時代  作者: 虫松
僕の戦国時代外伝「宮本武蔵!復活 二刀流」

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第9話 義が利益に変わる日

蝦夷の風は、もう“冷たい”だけではなかった。

人の声が混じり、

槌の音が混じり、

湯気が、あちこちから立ちのぼり始めていた。


まだ小さい。

だが確かに、町の胎動だった。



不思議な話だ。


最初に金を取らず、

最初に名を出さず、

最初に一歩引いた上杉が

最後に、いちばん信用を集めていた。


商人は言う。


「上杉の名がある場所は、揉めない」


旅人は言う。


「上杉が関わった道は、安全だ」


結果として、


・物流は上杉の領内を優先して通り

・市場は自然と上杉圏に集まり

・金は、後から、静かに戻ってきた


奪わなかったからこそ、

逃げなかった利益だった。


政宗は、地図の前に立ち、指示を出す。


「上杉には、上杉の土地の利益を」


誰も異を唱えない。


「真田には、街道の運営権を」


関所ではなく、流れを作る役。


「地元には、宿と案内の主導権を」


外から来た者が、

地元を押しのけない仕組み。


僕は思わず言った。


「……政宗、それ、

 もう“奪う開発”じゃない」


政宗は笑った。


「学んだだけよ」


「義は、握るものじゃない」

「回せば、増える」


かつての“独眼竜”は、

もう突っ走るだけの男ではなかった。


噂は早かった。


「蝦夷では、争いが起きていない」

「地元が主役らしい」

「外の者が、ちゃんと引いている」


東北だけでなく、

北陸、甲信、関東へ。


“北海道モデル”

・土地の持ち主を尊重する

・利益を役割ごとに分ける

・最初の10年は取りすぎない


戦国に似合わぬやり方が、

なぜか、一番うまく回った。



温泉の夜。


「いやー中田殿には大変ためになるお話を伺った。」


「伊達さん西軍につかずに東軍に行きましたよね」


「まぁー昔の事はよいではないか、上杉家と伊達家、真田家と伊達家は仲が悪いのだだ!!」


(敵ばっかりじゃないか。こいつの性格を考えればそうなるか、まぁその強引な

手法を勝って、リゾート開発者の責任者に抜擢したんだがな。人の土地にお金を払って借りて開発をするのである。周囲の土地のものに反対されるのは目に見えてわかる。だからといって止めていいのか?僕の答えは否だ。破壊は一瞬、建設は死闘なのだ)


政宗が、誰もいない湯気の中で言った。


「そうだ、中田殿にお礼に、私の秘密を」


「……見せよう」


眼帯を外す。


竜の右目。

静かに、青く光る。


https://kakuyomu.jp/users/mushimatsu/news/822139844444235578


「この目が見せた未来はな」


「天下取りでも、 戦勝でもない」


僕は黙って聞く。


「戦のない伊達だ」


「人が、 剣ではなく、湯を目指して来る未来」


「伊達の名が、恐れじゃなく、安心で呼ばれる未来」


政宗は、少し照れたように笑った。


「……変だろ?」


「いや」


僕は即答した。


「一番、強い未来です」


温泉街、芽吹く


最初は一軒の宿。

次に、湯小屋。

案内板。

馬を預かる厩。


子どもが走り、

商人が笑い、

湯に浸かった旅人が言う。


「また、来よう」


その一言が、

どんな軍勢よりも、強かった。


剣を置いた者。

争いに疲れた者。

何かを始めたい者。


誰もが、ここで一度、

肩の力を抜いた。


政宗は、その光景を見つめながら呟く。


「……これが、国づくりか」


僕は答える。


「ええ」


「壊さずに、続くやつです」


湯気の向こうで、

蝦夷(北海道)の空は、今日も広かった。

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